Case Studyお客様事例

現場の理解と共感から始める、全社一丸となったDX

日本総合住生活株式会社様

(右から三番目)田﨑滋樹様 日本総合住生活株式会社 取締役(DXBX戦略)
(右から二番目)辻寛高様 日本総合住生活株式会社 DXBX戦略本部
(右から一番目)楢橋礼子様 日本総合住生活株式会社 DXBX戦略本部
(左から二番目)大平祐輔 株式会社ディジタルグロースアカデミア
(左から一番目)大庭奈波 株式会社ディジタルグロースアカデミア

日本総合住生活様では、2022年3月にDX(デジタルトランスフォーメーション)BX(ビジネストランスフォーメーション)実行戦略策定のための社内ディスカッションに向けた啓発動画を開発しました。今回は、DXBX戦略本部の田﨑様、辻様、楢橋様に動画開発に至った背景や動画の活用について、大平と大庭がお話を伺いました。

日本総合住生活様が今回の動画開発を始められたきっかけについて教えてください。

辻様: 

2021年9月にDXBX戦略本部を立ち上げ、本格的にDXBXを進めていこうということで取組みをスタートしました。しかし、近頃“DX”という言葉を耳にするものの、「そもそもDXとは何か?」という疑問が従業員の中にあったり、「本社の一部の人だけがやっていることではないのか」と思われたりしがちです。そういった疑問や誤解に対していち早く手を打ち、社内啓発をして広くDXBXを認知してもらうための取組みとして、動画を作ることになりました。DXは全社一丸となって進めるものなので、全従業員の意識の啓発を図ることが重要です。

マンション管理・住宅リニューアル業界においても、やはりデジタル化は求められているのでしょうか?

辻様: 

当社では多くの集合住宅を管理していますが、他の業界と同様にデジタル技術を使って業務を変革していくことは避けては通れないと考えています。現在、DXBXを進めるうえでの羅針盤となる「DXBX実行戦略」の策定を進めており、その中で具体に明記していきたいと考えています。

田﨑様:

我々の業界は、やはり人手不足が重大な課題です。マンションの管理人や清掃員、住宅リニューアルの職人など、現場を左右する人たちが少子高齢化により急速に減少してきている中で、DXの推進は喫緊の課題です。当社も例外ではなく、マンション管理に関わる人材が採用できなくなってきています。

また、世の中の風潮としても、ネット申し込みやキャッシュレスが当たり前になっている中で、デジタルを活用してサービス価値を向上させることについて当社はまだ達成できていない、ということも課題意識としてありました。

DXBX戦略本部はどのような役割を担っているのでしょうか?

辻様: 

まず当社のDXBXは、これまで蓄積された「技術力」「現場力」「対応力」「企画提案力」の四つの力(強み)を更に強くし、また当社が主に管理している団地に精通していることを生かし、新しい「総合住生活サービス」を創出・展開することを目的としています。この目的を達成するためにDXBX実行戦略を作成し全社を引っ張っていく役割を担っています。

大平: 

「強みを更に強くする」というのは非常に良い言葉ですね。多くの会社が課題を解決するための手段としてDXを試みていますが、御社ではそれだけでなく既存の強みを伸ばすためのDXであるということは、我々としても印象強く残っています。

全社的にDXを進めるにあたって、他の部署との連携も図られているのでしょうか?

辻様: 

DXBX戦略本部は30名程の組織ですが、当社は社員数約1,700名、有期従業員まで含めると約8,000名規模の会社になります。その規模の中でDXBX戦略本部だけでDXを遂行できるものではないので、本社の各部署や各拠点の部長などがDXBX戦略本部を兼務し推進しています。DXBX戦略本部だけでは広げられなかった発想や取組みを他の支店から吸い上げて横展開し、さらに発展させていくということも役割の一つです。現場の人たちの方が気づける部分も多いので、その気づきを集めていくことは大切な取組みであると思っています。

田﨑様:

DXBX戦略”本部”という名称についてですが、従来の縦割り組織となっている各部署と、並列ではなく、社長を中心に総括する役割を持つため、組織横断的な“本部”という位置づけになっています。

大平: 

各部署への水平展開がDXBX成功の肝であると感じていますが、組織の縦割りを打破するということがDXBX戦略本部の重大な役割なのですね。

辻様: 

そうですね。単なる一つの縦割りの組織ではなく、社長がDXBX戦略本部のトップを兼務しているので非常に進めやすいと感じています。

今回の動画開発でディジタルグロースアカデミアを選んでいただいた理由について教えてください。

辻様: 

実施の背景としては、我々がDXBXを進めるにあたり「社内啓発をどうするか」という課題について検討していたところ、ディジタルグロースアカデミアさんをご紹介いただきました。他社を含めて検討した中でも、より現場の従業員へメッセージが伝わりやすいような動画や、我々の考えを理解してより良い動画にしていこう、という意図も感じられたことから、ディジタルグロースアカデミアさんを選ばせていただきました。またタイトなスケジュールにもかかわらず、ご協力いただけたことも非常に有難いと感じました。

田﨑様:

我々としては、「DXBXの意識を現場に浸透させる」ということが主な目的で、単に誰かが話しただけでは伝わらないのでは…と懸念していた時に、アニメーション形式のeラーニングで社長のアバターを登場させる手法など多くの選択肢をご紹介いただき、日本総合住生活の企業風土に対しても効果的な動画が作成できるのではないかと感じました。

今回開発された動画の内容はどういったものですか?

辻様: 

DXBXの基礎となる、分かりやすい解説をした入門編のような動画です。今、我々DXBX戦略本部は社長や取締役が全国の支社・支店を回り、DXBX実行戦略について各支社・支店からの意見をヒアリングしています。その際に口頭でもDXBXについて説明しているのですが、やはり時間に限りもあり、「DXとは何か?」という入口の部分は事前に理解しておいてもらったほうが意見交換もスムーズに行えます。ディスカッションの土台になるような部分を、わかりやすくご理解いただくための動画です。

大平: 

昨今DXがニュース等でも頻繁に取り上げられているだけに、個人個人が間違ったDX像を持たないようにするためにも、共通認識としての「DXとは何か?」を持っていただくことは非常に重要ですね。

辻様: 

そうですね。やはりDXという言葉ひとつでも、メディアによって書き方は様々です。「当社が目指すDXBXとは何か」を少しでも理解していただいた上で意見交換会でより具体的に説明すると、DXBXについて更に深い議論ができるかと思います。

「日本総合住生活としてのDXBX」を理解いただくことがポイントだったのですね。受講者にDXを自分ごととして捉えてもらうために工夫されたことはありますか?

辻様: 

自分ごととして捉えてもらうために、まずDXBX戦略本部のDX像の資料に加え、実際に現場の工事や事務作業の効率化などに取り組んでいる事例もご説明したり、我々の業界の参考になるような他社の取組み事例を紹介したりして、現場の方が気づきを得られるようにしています。また実行戦略の意見交換会で全国を回ること自体も有効だったと考えています。オンラインで実施することも検討しましたが、対話することが大切で、真剣に聞いていただける土壌をつくることで、自分ごととして捉え、深く考えてもらえるのではないか…という想いから全国で30回ほど説明会を実施しました。

大平: 

動画の中でも、自社事例としてAI-OCR(画像データの文字部分を認識し文字データへ変換する技術に人工知能を組み合わせて自動化したもの)の事例等を取り上げましたが、やはり他社事例よりも自社事例の方が受講者にも刺さりやすいのでしょうね。

田﨑様:

その通りです。今こういう実証実験をやっていて、これが数年後には実際のサービスになる、ということがイメージとして伝わりやすいと思います。今後も、常に新しい生の事例や情報を得られる場を作り出したいですね。

社長との意見交換会の前に動画を視聴するという形をとっていらっしゃいましたが、「動画」という形は有効でしたか?

辻様: 

はい、動画は自社のポータルサイトに掲載していますが、現場の従業員もいるので空いた時間で見てもらえる環境を作ることが出来ました。

田﨑様:

今回は単発で動画を視聴してもらうものではなく、社長とのディスカッションが前提で動画を視聴していただきました。動画を視聴することで従業員の意識も高まり、社長とのディスカッションもより多くのご意見が上がりますので、動画+ディスカッションを合わせて実施するという方法を取ったことは有効であったと思います。

動画を視聴していただいた方の中から、より深い質問やご意見をいただけましたか?

辻様: 

全国を回っているとよく「当社が進めようとしているDXBXがよく分かった」と言われます。DXという言葉の意味は各会社によって微妙に異なります。DXという言葉はメディア等で目にしており認知度は十分にあると思いますが、「日本総合住生活が目指すDXとはこういうものだ」ということを動画で見た後に、更に社長が自身のメッセージとして説明しているのを聞くことで、当社が目指すDXについて腹落ちしてもらえたと思います。

田﨑様:

DXを業務効率化によって利益を増加させていくものとして捉えている会社も多くあると思いますが、「日本総合住生活におけるDXはデジタルによって効率化を目指すものの、その効率化によって生まれた余力を利益に転嫁することはしない」と当社の社長は述べています。あくまで付加価値向上とライフワークバランスのためにやる、DXによって従業員を減らすことは絶対にしない、という事も社長から発信されており、従業員の共感を得られていると思います。

大平: 

よくAIが人間の仕事を奪うと言われることもあり、不安に感じる人もいると思います。そんな中で、社長のメッセージはDXを理解していないことから生まれるネガティブイメージを払拭することにも貢献されているでしょうね。

田﨑様:

そうですね。10人でやっていた業務にロボットを導入して6人に削減する、ということではなく、あくまで負荷が高い業務の一部分をロボットに代行させて、余剰した人の力をサービス向上へ向けてもらうという目指す姿を、動画と社長のメッセージから正しく理解していただいていると思います。

今後のDXへ向けた取組みの方向性を教えて頂けますか。

辻様: 

社長とのディスカッションを通じてDXBX実行戦略を確定させようとしています。来年度から始まる次期中期経営計画へとつなげていくものですが、各部署の実行戦略に対する具体的なロードマップを今年度の12月までに作り上げていく予定です。例えばDXBX実行戦略では2030年をイメージした取組みを検討しているのですが、部署ごとのスケジュールや具体的な取組みに落とし込みながら策定していきます。

最後に、今回ディジタルグロースアカデミアを選んで良かった点を教えてください。

辻様: 

まずは当社の企業風土に寄り添ってわかりやすい動画を作成していただいたことですね。DXBXの啓発につなげられたと実感しています。また、我々は急ピッチでDXBXに向けて進めているので、通常3か月かかるものを、1か月半というタイトなスケジュールにも前向きにご協力いただきました。さらに、単純に動画を作るだけでなく、我々のDXBXについてご理解いただけているので、ディスカッションをしながら良い動画を作り上げられたことが、ディジタルグロースアカデミアさんを選んで良かった点だと思います。

田﨑様:

ディジタルグロースアカデミアさんを選んで良かったことは、スピーディーかつ当社が望んでいる形のものを提供していただいたことです。元々お持ちのノウハウを組み合わせることによって迅速に内容を作り上げられていましたが、当社からすれば完全オーダーメイドの動画を作成していただきました。

どんなにDXに詳しい講師に話をしてもらっても、やはり現場の従業員に共感を得られないと全員が実行してくれません。現場の従業員から「なるほど、そういうことね」と共感を得ることができたのは、やはりディジタルグロースアカデミアさんを選んだからこそだと思います。

ありがとうございました。

【編集後記】

今回取材させていただき改めて共感したのは「自分ごと化」の大切さです。どれだけ会社としてDXを推進しようとしていても、現場の従業員の方々が「自分たちの目指すDXってどういうことなのか」「なぜDXをしなければならないのか」について十分に理解していないと組織を動かすことはできないのですね。DXは単なる業務効率化だけでなく業務やビジネスを「変革」していくものです。全社一丸となって取組むための意識改革はどの会社においても外せない取組みであると感じます。

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