Case Studyお客様事例

お客様への提案まで伴走サポート!
現場で学び実践で身につく、価値提案のノウハウ

(左から1番目)小西様 株式会社アイネス 開発本部 DX開発第二部長
(左から2番目)若林様 株式会社アイネス 開発本部 DX開発第二部 開発管理課・人材開発センター 主任
(左から3番目)藤崎様 株式会社アイネス 開発本部 DX開発第二部 開発管理課・人材開発センター
(右から2番目)神宮司 剛 株式会社ディジタルグロースアカデミア 執行役員/ユニットD部長
(右から1番目)赤木 智規 株式会社ディジタルグロースアカデミア ユニットD マネージャー

課題
  • DXに関する企画・提案について、座学で身につくスキルに限界があるため、より実践的な研修を実施したい
取り組み
  • 実顧客への提案を想定した模擬提案伴走支援
    ―顧客ヒアリングによりニーズ把握
    ―付加価値を付けた業務変革提案を検討
  • ベースとなるスキル・知識理解
    ―ロジカルシンキングやヒアリング など
効果
  • 実顧客へのヒアリングから、課題設定→提案書作成→プレゼンまで実践的に体験した
  • 顕在化している課題への提案ではなく、ビジネス課題から潜在ニーズを発見し提案するスキルを習得した

課題

DXの進展により業界のビジネスモデルが変化 ―HowからWhyへ
神宮司

―御社がDX人材育成に注力する背景についてお聞かせください。

藤崎さま

これまで、弊社のビジネスはお客様の要件に応えることが主なスタイルでした。

しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展によって業界に変化が生じ、お客様の事業全体を把握して価値を高める提案をするスキルが求められるようになりました。

つまり、How(どうやって)ではなく、Why(なぜ)から始めなければならなくなったのです。従来は、すでに表面化しているニーズに対してどのように解決するかを考えるだけで十分でした。しかし、これからは、お客様が何に困っているのかをしっかりと見極めて仮説を立て、目的に応じた解決策を提案するというビジネスモデルを構築する必要があります。

小西さま

システムに関することはSIer(System Integrator:エスアイヤー)に外注するのが当たり前だったときは、お客様から「こんなシステムを作ってください」と依頼されたものを、いただいた要件通りに作っていました。

しかし、DXの進展によってお客様自身がITを積極的に使うようになり、現在ではSIerに依頼するとコストがかかるため、お客様の会社で内製化する流れが増えています。そうなると、我々のビジネスも変化せざるを得ません。従来のようにシステムを受託して納めるだけのビジネスモデルでは成り立たなくなります。

流通業でよく聞く「中抜き現象」に近いかもしれませんが、お客様の会社でシステムを内製できる時代において弊社の価値は何かと考えたとき、我々の価値は、ITを理解する専門的な存在として、より高次元的な視点でお客様のビジネス課題を解決することにあるのではないかという結論に至りました。

したがって、前述の通りHow(どうやって)からではなくWhy(なぜ)から考えられるようになることが、これから必要になるスキルでありDXの本質でもあると考えています。

神宮司

―なるほど。DXの進展に伴う業界の変化に迅速に対応するためには、Why(なぜ)から考えてお客様に課題を気づかせる、価値提案ができる人材を育成する必要があったということですね。価値提案のスキルを身につける必要性について、社員のみなさんの反応はいかがでしたか?

藤崎さま

価値提案のスキルを身につける必要性について、初めは社員の理解を得るのが難しかったです。価値提案は、これまで経験したことのないコンサルティングのようなスキルなので、

DX人材育成という言葉が出始めた頃に研修に参加した社員は、「DX提案とは何か」やその必要性についての理解が追いついておらず、研修の意義を実感しにくい状況だったと思います。価値提案の必要性について頭では理解できるものの、最初の頃はまだ自分事として捉えるのが難しかったようです。

しかし、DX人材育成による社員の知識の向上や、世の中の変化に伴う意識の変化により、自分事として価値提案のスキルを身につける必要性を感じている人が増えているように思います。

会社の事業戦略と個人の成長の両軸から課題を設定する
神宮司

―アイネスの人材育成方針について教えてください。

藤崎さま

私たちが人材育成を進めるうえで、一貫して変わらない方針があります。

それは、会社の事業戦略と個人の成長を一致させた人材育成を行うことです。

弊社では、この方針をもとに人材の役割を定義し、情報処理推進機構(IPA)の「iコンピテンシ ディクショナリ(iCD)」を活用して個人のスキルを可視化しています。

i コンピテンシ ディクショナリ(iCD)とは

組織においてITを利活用するビジネスに求められる業務(タスク)と、それを支えるIT人材の能力や素養(スキル)を体系化したもので、「タスクディクショナリ」と「スキルディクショナリ」で構成されている。
さまざまな企業や組織が人材育成に利用している。

藤崎さま

前述の通り、事業戦略と個人の成長を一致させることが弊社の方針ですので、会社として事業に必要な役割を定義したうえで、「iコンピテンシ ディクショナリ(iCD)」の結果に基づいて個人が伸ばしたいスキルを考え、上司と共有しながらスキルアップを進めています。

小西さま

さらにいうと、自治体向けや民間向けなど、部門ごとに開発の目標レベルを設定していて、キャリアステップによる専門領域に合わせたITスキル研修を用意し、自立的に選択する仕組みを整備しています。毎年の計画を作成する際に、各部門長に組織で必要とされるスキルをヒアリングし、各部門のニーズに合わせた人材育成を行うための研修を実施しているのです。

神宮司

―なるほど。事業戦略と「iコンピテンシ ディクショナリ(iCD)」の両面に基づいて、各部門に必要なスキルを見出し、事業部と連携して研修を実施するということですね。
これは非常に良い取り組みですね。

iCD活用企業認証制度について

株式会社アイネスは、「i コンピテンシ ディクショナリ(iCD)」を活用した取り組みと成果が評価され、「iCD活用企業認証制度」のGold(シングルスター)レベルを取得しています。

出典:スキル標準ユーザー協会「「iCD活用企業認証制度」Gold 認証企業一覧」

取り組み

お客様への提案までサポート!3か月間の伴走型研修
神宮司

―昨年度、「模擬提案伴走支援」の研修を提供させていただきました。
3か月にわたり事業部の方々にも参加いただきましたが、本研修を受講された率直な感想はいかがでしたか?

【図1】アイネス様で実施した3か月間の研修プログラム
出典:株式会社ディジタルグロースアカデミア(※詳細はお問い合わせください)
藤崎さま

3か月という長期の研修は、参加者にとって容易ではなかったと思います。しかし、最後に実施したアンケートでは、課題把握や情報収集、お客様視点で考えることの重要性を再確認できたという意見がベスト3に挙がりました。

例えば、事前に予測していたお客様の課題が、実際にヒアリングしてみると違ったという体験を通じて、無意識のうちに思い込みによる提案を行っていたことを実感したという声がありました。また、これまではお客様の要望に対してハードの組み合わせやプログラムを考えることが主でしたが、今回の研修では課題解決のためにどのようなサービスを導入すべきかといった価値提案力が鍛えられ、情報収集力の重要性を学ぶことができました。

論理的思考や実践によって、ヒアリングの重要性を実感
藤崎さま

研修を通じて、受講者のマインドの変化も大きかったと思います。

例えば、ロジカルシンキングやMECE(ミーシー)といった、論理的思考の基本を学ぶことができました。私自身も、これまで会社でMECEに考えることを求められたことがなく初めての体験だったので、研修を受講する前後でマインドが大きく変わるくらい印象に残っています。

若林さま

SIerとしてITの知識があっても何故ヒアリングをするかというと、お客様の本当の要望を聞き出すためです。お客様の課題を理解しているつもりでも、自分が予想していたことと全く違う回答が返ってきたときに、初めてヒアリングの本当の重要性を実感できます。これは、実践だからこそ得られる気づきです。

成果

DXによって挑戦・進化し続ける企業を目指して
神宮司

―本研修を受講したあと、参加者の皆さんに変化はありましたか?

小西さま

例えば、Aさんは4月から新しいソリューションに取り組んでいます。

以前は特定のお客様の既存システムを担当していましたが、今は自治体向けのDXに関わる役割を担っています。

今回の研修で学んだことを活かしてお客様と一緒に現状分析を行い、現在も新しいソリューションを作るためにお客様の業務フローや課題の整理に取り組んでいます。

神宮司

―とても素晴らしいですね!研修で学んだことを活かせる環境を用意してくださっている事務局の方にも感謝です。アイネス様が、本研修の実施に際しディジタルグロースアカデミアを選んでいただいた理由について教えてください。

藤崎さま

伴走型の事業企画や提案研修のプログラムは、DX人材育成の名のもとに各社が多くのプログラムを展開していますが、正直なところ、それほど大きな差はないと感じています。
ただ、御社のプログラムには特に良いと感じる点が2つあります。

1つ目は、デジタル人材向けに特化した良質なコンテンツを提供している点です。
御社は独自の動画プラットフォーム「みんなデ」を持っており、コンパクトにまとまった分かりやすいeラーニング動画が見放題であることが素晴らしいと思います。忙しいなかで長期間の研修に参加する人たちが、自分の時間でインプットをコントロールでき、非常に助かりました。

2つ目は、弊社の課題を良く分かってくださっている点です。
元SEである神宮司さん(ディジタルグロースアカデミア)が弊社の状況を理解し、社員の足りない部分を把握してくださっているため、的確にアドバイスをしてくださるのは非常にありがたかったです。SEとしてのご経験から、コンサルタントとして何をすべきか、どの部分にギャップがあるかを理解してくださるので、私たちの要望に柔軟に対応していただける点が大きな魅力です。

神宮司

―ありがとうございます。私自身も自分事として感じるところが多かったので、ご一緒させていただけてありがたいです。最後に、今後の展望を教えてください。

藤崎さま

今年度の研修プログラムは、BPRに特化した内容です。基礎編と実践編に分け、より業務での再現性があるスキルを身につけてもらいたいと考えています。最初に目標を設定し、最後に振り返りとアクションプランを作成してもらうなど、ただ受講するだけでなく、研修後に実際に活用できるように意識してもらうことを重視しています。

また、今年度から新しい中期経営計画が始まりましたので、それに沿った人材育成を進めています。

【図2】アイネス様 2026年度における中期経営計画のビジョン
出典:株式会社アイネス「2026中期経営計画(概要)」2024年p.2
藤崎さま

図2の通り、弊社では『挑戦・進化し続ける企業~お客様と共に未来をつくる』というビジョンを掲げています。また、3つのバリューとして「for Customer」「Change」「Collaboration」(3C)があります。

「for Customer」は、今回の研修で実施した、お客様に寄り添う顧客価値の追求です。

「Change」は、AIなど新技術の提供を指します。今回の研修でも、生成AIの活用が話題にあがりましたが、今後はAIを活用したビジネスがさらに身近になるでしょう。

「Collaboration」は、お客様との共創や他社との協働を指します。よりスピーディーに新たな価値を提供するために、今後は研修でも他社と連携することを意識する必要があると考えています。

これら3つのバリュー(3C)は、今回の研修に通じる部分が多く「for Customer」「Change」「Collaboration」の精神をもって取り組んでいくことが重要だと感じています。

神宮司

―中期経営計画が発表されたことで裾野が広がり、お客様に対する価値提案の機会も増えそうですね。

藤崎さま

そうですね。中期経営計画でもお客様全体をみて考えることが求められていますが、人材育成も同様の方針で進めています。現場でもその必要性が認識され始め、意識が高まってきています。この取り組みは今後ますます重要になると思います。

担当者のコメント

神宮司 剛Tsuyoshi Jinguji

株式会社ディジタルグロースアカデミア 執行役員
デジタル人材育成 コンサルティングユニットD 部長

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