Columnコラム

DX認定制度のメリットとは?受けられる支援や申請方法について

  • 更新日:2023年4月4日

DX認定制度とは、国が推進するデジタル化に向けた取り組みのことです。認定にはDXにおける一定の評価基準が設けられており、企業はDX認定制度に取り組むことでDX推進を一気に加速させられます。

特に、DXが進んでいると認定された企業に送られるDX銘柄やDX Selectionは、デジタル化によって磨き上げられたビジネスモデルを有することをアピールできる称号です。

制度の概要、認定を受けるメリットとデメリット、申請する方法をまとめました。

社内のDX推進を加速したい、DX認定の申請方法や優遇措置について詳しく知りたいという方はぜひご一読ください。

目次

    DX認定制度とは

    DX認定制度は、企業がデジタル化を進める上での準備状況をチェックするための公式な制度です。この制度は、2020年5月に改正された「情報処理の促進に関する法律」に基づいており、企業がデジタル技術を駆使してビジネスモデルを一新するための体制が整っているかを評価することを目的としています。同制度における審査は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が担当し、その結果に基づいて認定が与えられます。

    対象者

    DX認定制度は、事業のデジタル化を推進するためのもので、あらゆる事業者が利用できます。具体的には、以下の幅広い対象者をカバーしています。

    • 会社・公益法人
    • 個人事業主・自営業者・フリーランス
    • 中小企業

    また、DX認定制度では、東京証券取引所に上場している企業の中から、特に優れたデジタル化の取り組みを行っている企業を特別に選定します。

    1. DX-Excellent企業:業界をリードする革新的な取り組みを行っている企業。
    2. DX-Emerging企業:将来性のある成長途中の企業。

    DX認定制度における選定には、投資家やその他のステークホルダーからの評価を高める効果があり、企業価値の向上にも繋がります。

    申請書の項目

    1. 企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定
    2. 企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)の決定
      • ① 戦略を効果的に進めるための体制の提示
      • ② 最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示
    3. 戦略の達成状況に係る指標の決定
    4. 実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信
    5. 実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握
    6. サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施

    DX推進はDXによって、企業の経営ビジョンやビジネスモデルがどのような変革を遂げるかを事前に整理しておく必要があります。

    段階を追ってどのようにDXを進めるか具体的な方法を定めたのち、達成指標を数字で示せるように目標も定めておきましょう。DX認定制度に申し込む場合においては、詳細な目標の言語化・数値化は必須です。

    さらに、DX推進は企業の一組織やチームが主導して進めることも多い現状です。社内外問わず、関連部署に詳細を伝えられるような情報伝達システムについても考えておく必要があります。

    また、既存のシステムから新たなシステムに切り替える際の問題点も事前に洗い出し、情報漏洩を防ぐための安全措置をきちんと準備しておきましょう。

    費用

    DX認定制度の申請手続きや認定適用時、認定の維持において、費用は発生しません。必要な書類の雛形についても、IPA公式サイトから無料でダウンロードできます。ただし、申請書類の準備や作成にかかるコストは考慮する必要があります。例えば、新規・更新のいずれにおいても、認定申請書と更新チェックシートの作成が必要です。

    申請の手続き

    DX認定制度の手続きは、以下3つのステップで構成されています。

    • 申請要件の確認
    • 書類のダウンロードと作成
    • Web申請システムで申請・提出

    同制度へ申請する前に、各項目において条件を満たしているかを確認します。その後、認定申請書と申請チェックシートの2つをダウンロードし記入しましょう。最後に、GビズIDへ登録し、DX推進ポータルと呼ばれるシステムで書類を提出して申請できれば完了です。なお、申請においては必要に応じて補足資料(戦略資料・証跡資料等)も添付可能です。

    認定されるまでの期間

    申請から認定取得までの期間は、審査期間(標準処理期間)として約60営業日を見込む必要があります。ただし、これは標準的な期間であり、内容や混雑具合によっては60日を超えることもあります。また、更新においては標準処理期間に関係なく、認定更新の適用日までに審査が実施される点にご留意ください。いずれにおいても、不備等は事務局によってメールによる通知が行われます。

    認定の有効期限・更新

    DX認定制度の有効期限は、新規・更新を問わず2年間と定められています。更新する場合においては、2年が過ぎてからではなく、失効する60日前に書類の提出を行います。加えて、認定後に認定書へ記載した法人名・住所・代表者指名において変更があった場合、それを速やかに経済産業大臣へ届け出る必要があることにご留意ください。

    デジタルガバナンス・コードとDX認定制度の関係

    デジタルガバナンス・コードの「基本的事項」は、DX認定制度と直接対応しています。DX認定制度は、デジタル技術を活用した経営ビジョンを持つ企業が、デジタルガバナンス・コードの「基本的事項」に適合しているかを審査する仕組みだからです。企業がこの基準に合致すると、「DX認定事業者」として認定され、DX認定制度のロゴマークの使用が可能となります。

    デジタルガバナンス・コードとは

    そもそもデジタルガバナンス・コードとは、経済産業省が2020年11月に打ち出し、2022年9月にブラッシュアップしたデジタル時代の行動指針のことです。このガイドラインは、目指すべきデジタル社会「Society5.0」を見据え、企業が取り組むべきポイントを明らかにしています。小規模から大企業まで、あらゆるビジネスに適用されるデジタルガバナンス・コードは以下の3つに分けられ、情報処理の推進に関する法律を基盤に策定されています。

    • 基本原則
    • 推奨方針
    • 事例紹介

    DX認定制度でも利用されるデジタルガバナンス・コードは、規模や形態を問わず全ての事業者に適用され、DXを加速する上で不可欠なものとして位置付けられています。

    DX認定制度の施行された理由

    DX認定制度が導入された背景には、国が企業のDX推進を後押ししたいという狙いがあります。

    DX認定制度は、国がDXに取り組む企業に対して与える称号のことです。具体的にはデジタルガバナンス・コードによって評価され、4段階のレベルによって構成されています。

    デジタルガバナンス・コードとは、経営層が情報処理促進法(情報処理の促進に関する法律)に対応して定めた企業の行動指針のことです。経営ビジョンや事業戦略が、DX推進のために必要な社内環境の整備を意識したものになっているかどうかが判断軸となります。

    認定企業にはDX認定ロゴマークが付与され、優れたビジネスモデルが認められた企業はDX銘柄やDX Selectionに選ばれます。税金の控除や支援制度などもあるため、あらゆる側面でメリットのある制度といえるでしょう。

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    DX認定制度の4つのレベル

    DX認定制度には、企業のDXに対する取り組みをわかりやすくするための4つのレベルがあります。

    • DX-Excellentレベル
    • DX-Emergingレベル
    • DX-Readyレベル
    • DX-Ready以前レベル

    DX認定制度には、企業のDX進捗度合いを評価するという側面があります。客観的指標で社内のDX推進が評価されるため、今後のDXに向けた指針も定めやすくなるでしょう。

    DX-Excellentレベル

    DX-Excellentレベルは、DX推進が実務にもっとも反映されている企業に与えられる称号です。他のレベルがDX推進の準備や期待値が評価軸とされているのに対し、DX-Excellentレベルでは、DXによる業務フローの改善や実績を評価することがポイントです。

    優れたビジネスモデルを有する証として付与される“DX銘柄”と“DX Selection”は、このレベルから選ばれます。

    DX-Emergingレベル

    DX-Emergingレベルは、DXの準備が整っており今後の展望について期待感が持てる企業に与えられる称号です。仕組みを整えて積極的なアクションを起こすと、成果がなくとも評価対象となります。

    DX-Excellentと同様、DX-Emergingからも“DX銘柄”と“DX Selection”が選ばれます。

    DX-Readyレベル

    DX-Readyレベルは、DX推進が進められる体制を整えられた企業に与えられる称号です。

    DX認定制度においてもすべての基礎となるレベルで、取得により名刺や自社サイトに使用が許可されている“DX認定”が付与されます。

    DX認定制度のメリットとは

    DX認定制度を導入するメリットは以下の4つです。

    • DX推進による企業の成長が見込める
    • 企業イメージの向上が期待できる
    • 様々な支援を受けることができる
    • DX銘柄への応募資格が得られる

    DX推進による企業の成長が見込める

    企業がDX認定制度に取り組めば、会社がデジタル技術を取り込めるようになり、さらなる成長を見込めるメリットがあります。

    どの業種・業界であってもDX推進は急務の課題です。デジタル技術と無縁の会社でも、DX認定制度をきっかけにテクノロジーを導入すればいっきにDXが推進できるでしょう。

    企業イメージの向上が期待できる

    DX認定制度に取り組めば、企業の世間的イメージも向上します。そもそもDX推進が叫ばれる背景には、2025年の崖のようにデジタル化が進まないために起こりうる経営上のリスク回避があります。

    将来的な市場競争力の維持を念頭に置き、DXによる業務改革を行える企業は経営状態も良いと考えられるため、社会的なイメージも良くなるでしょう。

    様々な支援を受けることができる

    DX認定制度には、税制の優遇措置が受けられるというメリットもあります。

    具体的にはDX投資促進税制と呼ばれる措置です。DX推進に必要な要件を満たした企業が利用できる措置で、設備投資に対して3%ないし5%の税額控除か30%の特別控除が適用されます。

    他にも 繰越欠損金における控除上限の特例の創設という措置も利用できる場合があるため、DX推進を考えるならこうした支援が受けられないかどうか調べておきましょう。

    DX銘柄への応募資格が得られる

    DX認定制度に取り組めば、DX銘柄への応募資格が得られます。

    DX銘柄とは、DX-ExcellentもしくはDX-Emergingに該当する企業が受けられるレベルのことです。東京証券取引所に上場している企業であり、DX推進における優れた実績があがっていることも応募要件となります。

    2022年の実績では33社が選定されました。優れたビジネスモデルを社内外にアピールするため、DXにて体制強化を考えるならぜひ目指したい称号といえるでしょう。

    DX認定制度で受けることのできる支援とは?

    DX認定制度に認定されることで利用できる支援は、以下の3つです。

    • 税額控除、もしくは特別償却
    • 金融による支援措置(中小企業対象)
    • DX認定制度ロゴマークの使用

    税額控除、もしくは特別償却

    DX認定制度によって得られる支援の一つに税額控除・特別償却があります。いずれもDX推進に必要な環境構築に取り組んでいる企業が対象です。

    適用要件には以下のような項目があります。

    • 新規取得したデータと既存データが連携されていること
    • クラウド技術が活用されていること
    • DX認定制度を受けていること
    • DX推進によって製品の製造原価が8.8%以上削減されること
    • 売上や生産効率における目標が定まっていること
    • 売上高比が投資総額の0.1%以上であること

    税額控除については3%ないし5%、特別償却については30%が適用されます。2年間の時限措置のため、申請利用は素早く行うと良いでしょう。

    金融による支援措置(中小企業対象)

    DX認定制度を利用する中小企業については、金融における支援措置も用意されています。具体的には低利率で融資が受けられる、信用保証枠が拡大されるといった措置です。DX推進のために借り入れる資金について適用されます。

    DX認定制度ロゴマークの使用

    DX認定制度に認定されれば、DX認定制度のロゴマークも使用可能になります。DX認定制度は国が主導するDX推進キャンペーンであり、DX認定されればデジタル化の進んだ優良企業であることがアピールできるでしょう。

    企業のイメージアップ・業務推進にも大きく貢献するため、DX認定制度ロゴマークは取得後も積極的に活用することをおすすめします。

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    まとめ

    DX認定制度は経済産業省主導のもと、DXを推進する企業を国が支援する制度です。

    DX認定が受けられた企業は優れたビジネスモデルを有することがアピールできるだけではなく、税制面や制度面で有利な措置を受けられる点に大きなメリットがあります。

    特に、DXによる優れた実績を有する企業に与えられるDX銘柄やDX Selectionは、企業の成長性や市場競争力を社内外に存分にアピールできる称号です。

    DX人材を育成して会社のDX推進を図り、DX認定制度に申し込めるよう社内体制を整えていきましょう。

    ディジタルグロースアカデミアでは、DX人材の育成に取り組んでいます。DX認定を受けるためのDXにも精通しているため、人材育成とDX認定の取得を同時に進められます。

    DX推進のゴールとしてDX認定制度を受けたい、社内のDX推進を担うDX人材を育成したいという人はぜひ一度お問い合わせください。

    【監修】

    日下 規男
    ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ

    2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
    2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。

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