Columnコラム

リスキリングとは?リカレント教育、アンラーニングとの違いや補助金・助成金について紹介

更新日:2023年5月1日

現代のビジネス環境が急速に変化していることから、従業員のスキルアップが求められるようになりました。

これに対応するため、従業員に新しいスキルや知識の習得を促して再教育をサポートする「リスキリング」が注目されています。

本記事では、リスキリングの定義や必要性、リカレント教育やアンラーニングとの違いについても解説します。

重要性や必要性について再確認し、リスキリングを通じて自己成長や企業の競争力向上を狙う参考にしてください。

リスキリングとは

「リスキリング」とは、従業員へ新しいスキルや知識の習得を促して再教育をサポートすることを指します。企業側は従業員に対して時間的余裕を与えたり、研修やセミナーを開催したりするなどの支援を行います。

現代のビジネス環境が急速に変化したことにより、新しいテクノロジーやビジネスモデルが次々と登場しました。これにより、従来のスキルや知識だけでは対応できなくなってきています。

しかし、多くの業界・業種で人材不足が課題として取り上げられる昨今において、対応できる人材の確保は非常に難しい問題です。

これを受け、リスキリングによって既存の従業員へ新しいスキルを身につけてもらい、人材を確保しようという動きは自然に強まります。

その結果、競争力を確保しつつ変化する時代に対応するため「必要な人材の確保」において、リスキリングはますますその重要性を高めています。

リカレント教育との違い

リカレント教育とリスキリングには、以下の違いがあります。

項目 リカレント教育 リスキリング
目的 自己のスキルアップを目指す 従業員に新しいスキルや知識を習得させる
学びの主体 従業員自身 企業
実施主体 個人 企業
仕事から離れる必要性 あり(休職・離職) なし
目的となるスキル 自己が必要としたスキル 現在の仕事に必要なスキル
必要性 キャリアアップに役立つ 企業の競争力の維持

リカレント教育とは、生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返すことです。一方、リスキリングは、従業員が現在の仕事に必要なスキルを向上させることを目的としています。

また、学びの主体や実施の主体が異なることで、仕事から離れる必要性にも違いがでます。

アンラーニングとの違い

アンラーニング(学習棄却・学びほぐし)とリスキリングには、重視するものに違いがあります。

アンラーニングでは、不要なスキルを捨てることが重視されます。一方でリスキリングでは、新しいスキルを身に付けることが重要です。

ただし、リスキリングにおいても、場合によっては過去のスキルを捨てる必要性が高まることがあります。例えば、過去に身に付けたスキルが今後必要とされない場合や、新しいスキルを身に付けるために古いスキルを捨てる必要がある場合などです。

アンラーニングとリスキリングには違いがあるものの、どちらも自己成長のために必要なプロセスとして覚えておきましょう。

なぜリスキリングが話題となっている?

では、なぜリスキリングが話題となっているのでしょうか。その背景には、以下の要因があると考えられます。

  • DX推進に必要な人材が不足しているため
  • 世界中でリスキリングに関する議題が上がっているため

DX推進に必要な人材が不足しているため

まず、DX推進に必要な人材が不足していることでリスキリングへの注目度が高まっていると考えられます。

変化が激しい時代において新しい技術は次々と登場するため、それに対応できる知識や技術を保有した従業員の確保が必要となります。しかし、多くの企業では従業員のスキルアップに対する投資が不十分であったり、人材の確保が難航したりしているため、DX推進に必要な人材が不足しやすい状態です。

そこで企業がリスキリングに取り組むことで既存の従業員のスキルアップを実現し、企業のDX推進に貢献できる人材の育成を進められます。これによりリスキリングの重要性が高まり、同様に注目度も上がっていると見込まれます。

世界中でリスキリングに関する議題が上がっているため

また、世界中でリスキリングに関する議題が上がっていることも一つの要因です。

急速な技術革新によって職場で求められるスキルや知識が変化し、従業員は常に最新のスキルを身につける必要があることは先述した通りです。これに加えて、新型コロナウイルスの影響によって多くの業種で業務内容が変化したこともリスキリングの普及に拍車をかけました。

例えば日本政府では、岸田内閣総理大臣が2023年6月までに支援策を整備し、5年間で1兆円を投入すると表明しています。

また、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」には、リスキリングと成長分野への投資推進、キャリアアップのための転職支援制度の新設、労働者のリスキリングを支援する企業への助成率引き上げなども示されています。

世界的にも、ダボス会議(スイス東部の保養地ダボスで開催する年次総会)において『リスキリング革命(Reskilling Revolution)』が取り上げられたことを受け、欧米諸国の企業を中心としたリスキリングへのお取り組みも進んでいます。

このように世界中でリスキリングに関する議題が上がり、今後もその重要性は高まる見込みです。

リスキリング制度を導入するステップ

リスキリング制度を導入するステップは、以下の4つです。

  1. 学習する内容を決める
  2. プログラム内容を決める
  3. 対象者を選定する
  4. 学習後、実践で活かす場を設ける

1. 学習する内容を決める

まず、リスキリング制度を導入するにあたって「学習する内容」を決めます。効率的な学習を行うためには、何を学ぶかを明確にする必要があるためです。

例えば、IT業界で働く人がリスキリングを行う場合、プログラミング言語やデータベースの知識を身につける必要があります。一方で営業職の人がリスキリングを行う場合は、コミュニケーション能力やマーケティング知識を身につけることが必要です。

学習する内容を決める際には、現在の業務内容や将来的な方向性を考慮することが大切です。また、社員の意見を取り入れることも時には必要でしょう。

2. プログラム内容を決める

学習する内容が決まったら、研修・オンライン講座・社会人大学・eラーニングなどのプログラム内容(実施方法)を決めます。

プログラム内容を決める際には、社員の意見やフィードバックを取り入れることが大切です。また、外部の専門家による研修や、教育機関との協力も検討することでより質の高いプログラムを作成できます。

3. 対象者を選定する

全社員に対して適切な内容でリスキリングを進めるため、内容ごとに対象者を選定します。

対象者を選定する際には、まずは業務内容や役割に応じて必要なスキルや知識を洗い出し、その上で現在のスキルや知識の評価が必要です。また、将来的な業務展開や市場動向を考慮し、必要なスキルや知識を予測しましょう。

なお、就業時間外で実施するとモチベーションを低下させる恐れがあるため、できる限り就業時間内として設定しておきます。

4. 学習後、実践で活かす場を設ける

学習後、実践で活かす場を設けることは、社員のスキルアップにつながり、企業の成長にも繋がります。

スキルを学んで終わってしまっては、リスキリングが目的となってしまって役立たずに時間を浪費してしまうだけとなるためです。

実務に活かす場を設けられると、効果の検証や見直しも行えます。業務効率や生産性は向上したのか、費用対効果は十分に得られたかなどを検証し、改善点を見つけた上で見直しを進めて繰り返しましょう。

リスキリングを導入する際の注意点

リスキリングを導入する際の注意点は、以下が挙げられます。

  • 全体的に取り組む
  • 業務内容に適したプログラムを選定する
  • モチベーションを維持させる

全体的に取り組む

リスキリングは、個々の従業員だけでは成果が期待できないため、全社的に実施することが大切です。大きな業務変革が難しくなること、継続の難易度が高くなり成果が見えづらくなることも懸念されるためです。

組織全体において能力の再開発を促進するためにも、例えばインセンティブや定期的な発表会などの施策を実施しましょう。

インセンティブであれば、従業員に対して積極的にリスキリングに取り組むように促せます。また、定期的な発表会は従業員が学んだことを共有することができ、組織全体のスキルアップや成果の実感に繋がります。

業務内容に適したプログラムを選定する

リスキリングを進める際には、業務内容に適したプログラムを選定します。なぜなら、プログラムが業務内容に合わない場合、従業員のスキルアップにつながらず、時間とコストの無駄になってしまうためです。

プログラムを選定する際には、まず自社の業務内容を把握し、必要なスキルや知識を明確にすることが大切です。そして、その上で市場で提供されている以下の方法などからプログラムを比較検討し、最適なものを選定しましょう。

  • 研修
  • オンライン講座
  • 社会人大学
  • eラーニング

また、プログラムの選定に加えて、従業員が実際に学ぶことができるよう、学習時間や場所、教材などの環境整備も同時に行うことも有効です。

モチベーションを維持させる

リスキリングを実施する際には、モチベーションを維持させることにも目を向けます。

例えば、社員のスキルアップや業務効率化などの目的を明確にすることで、同じ方向を向いて一緒に進められることから社員のモチベーションを高めやすくなります。

また、スキルや性格に合わせたカリキュラムを作成し、無理なく学べるように配慮することも大切です。加えて、社員が学んだスキルを実際の業務に活かし、成果が出ているのかを可視化する方法も有効です。

リスキリングに活用できる補助金・助成金

リスキリングに活用できる補助金・助成金は、以下の2つが挙げられます。

  • 人材開発支援助成金
  • 教育訓練給付制度

人材開発支援助成金(厚生労働省)

リスキリングに活用できる補助金・助成金として代表的なのが、人材開発支援助成金です。

名称 人材開発支援助成金
目的 職務に関連した専門的な知識や技術を習得させる職業訓練などを計画を立てたうえで実施し、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する
対象 事業主や労働者、特定の訓練、経費などが対象
雇用関係助成金共通の要件あり
種類
  • 特定訓練コース
  • 一般訓練コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 特別育成訓練コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障がい者職業能力開発コース
  • 人への投資促進コース
  • 事業展開等リスキリング支援コース
申請 訓練開始日から1ヶ月前までに「訓練実施計画届」「年間職業能力開発計画」と必要な書類を各都道府県労働局へ提出
訓練終了日から2ヶ月以内に「支給申請書」と必要書類を提出
必要書類
  • 訓練実施計画届
  • 年間職業能力開発計画
  • 支給申請書
  • その他必要書類
申請期限 訓練実施計画届は訓練開始日から1ヶ月前まで
支給申請書は訓練終了日から2ヶ月以内

リスキリングで利用する際には、人への投資促進コースまたは事業展開等リスキリング支援コースが該当します。

教育訓練給付制度(厚生労働省)

教育訓練給付制度も、リスキリングに活用できる補助金・助成金の一つです。

名称 教育訓練給付制度
目的 労働者のスキル向上やキャリアアップ支援
雇用の安定や就職促進
対象 雇用保険加入者(アルバイト、パート、派遣社員も可)
種類 専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練
申請 ハローワークで支給要件照会申請
教育訓練修了後に必要書類を提出
必要書類
  • 教育訓練給付金支給申請書
  • 教育訓練修了証明書
  • 領収書
  • 本人・住所確認書類
  • 個人番号確認書類
  • 振込先の通帳またはキャッシュカード
  • 教育訓練経費等確認書
  • 返還金明細書(必要な場合に限る)
申請期限 教育訓練修了日の翌日から1ヶ月以内

教育訓練は3つの区分に分類され、給付率が異なります。オンラインや夜間、土日に受講できるタイプも用意されているため、働きながら活用できるのが利点です。

まとめ

リスキリングによる従業員のスキルアップにより、企業の競争力を高めるなどの成長戦略に欠かせない取り組みです。

リスキリングには、全社的に取り組むこと、業務内容に合わせたプログラムを選定すること、モチベーションを維持させることが大切です。また、補助金・助成金を活用することで必要となるコストを削減できるでしょう。

ディジタルグロースアカデミアは、今注目されているリスキリングにおいて、企業や従業員の成長を支援するプログラムを提供しています。

特に、デジタルトランスフォーメーションに関するスキルアップやキャリアアップに必要なプログラムを幅広く取りそろえており、企業のデジタル化に貢献する人材育成を行っているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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