Columnコラム

AI人材育成とは?課題や解決策、企業が行うべき手法を紹介

更新日:2023年11月22日

AI人材の不足に関する課題や需要の増加は、多くの企業や組織が直面している問題です。しかし、日本だけで2020年には約8万人、2030年には約36万人のAI人材が不足する見込みとされており、世界的にもAI人材の不足は深刻な問題となっています。

そこで本記事では、データを用いてAI人材の不足に関する現状や課題に触れつつ、解決策となる複数の育成手法について詳しく解説します。最後までお読みいただくことで、人材の育成や確保の重要性を認識し、自社や組織において適切な対策を講じることができるでしょう。

目次

    AI人材が不足している?

    昨今では、AIを活用する企業の増加に伴って、AIを開発するエンジニアが不足しています。その結果、AI人材の需要と供給のバランスは大きく崩れています。

    例えば、日本政府が出した推計では、2020年には約8万人、2030年には約36万人のAI人材が不足する見込みです。加えて、世界的に見ても、AI人材の不足は深刻な問題です。

    米国の調査会社Gartnerは、2019年には世界で約30万人のAI人材が不足しており、2020年にはその数が50万人に達すると報告しています。

    このようなAI人材の不足は、企業や組織の競争力やイノベーションを阻害するだけでなく、社会全体の発展にも影響を与える可能性があります。そのため、AI人材の育成や確保は、今後ますます重要な課題となっていくでしょう。

    そもそもAI人材とは?

    AI人材とは、機械学習やディープラーニングなどのAI技術を用いて、ビジネスや社会課題の解決に貢献できる人材のことです。

    人工知能(AI)の開発や運用に関わる人材の総称として使われており、以下の特徴や能力が求められます。

    • AI技術の基礎知識や応用能力を持つ
    • データ分析や処理のスキルを持つ
    • プログラミングや開発環境のスキルを持つ
    • ビジネスや社会課題への理解や関心を持つ
    • コミュニケーションやチームワークのスキルを持つ

    そして、AI人材は1つの分野に特化した専門家だけではありません。多様なバックグラウンドや視点を持ち、異なる分野や領域と連携できる柔軟性や幅広さも求められます。

    また、AI技術は常に進化しているため、最新のトレンドや技術に対応できる学習意欲や能力も必要です。

    AI人材の種類

    AI人材には、さまざまな種類がありますが、ここでは代表的な7つの職種を紹介します。

    1. データサイエンティスト
    2. 機械学習エンジニア
    3. ディープラーニングエンジニア
    4. AIエンジニア、AIプランナー
    5. 自然言語処理(NLP)エンジニア
    6. コンピュータビジョンエンジニア
    7. ロボットエンジニア

    データサイエンティスト

    データサイエンティストとは、ビジネスや社会の課題を解決するために、大量のデータを収集・分析・可視化する人材のことです。ビジネスやマーケティング、医療、教育など、さまざまな分野で活躍できます。

    主な業務は、機械学習や統計学などの数学的手法を駆使し、データから有用な知見や予測を導き出すことです。そのため、ビジネスの意思決定に貢献し、競争力を高めるための戦略を立案する上で不可欠な役割を果たしています。

    機械学習エンジニア

    機械学習エンジニアとは、機械学習というAIの一分野を用いて、ソフトウェアやシステムを開発する人材のことです。プログラミングや数学のスキルに加えて、機械学習の理論や手法に精通しています。

    主に、データサイエンティストが分析したデータ等をもとに、機械学習モデルを設計・実装・評価します。そのため、画像認識や自然言語処理などの応用分野でAIシステムを開発するという重要な役割を担うことになるでしょう。

    ディープラーニングエンジニア

    ディープラーニングエンジニアとは、ディープラーニングを用いて構築・学習・最適化し、高度な認識や生成などのタスクを実現する人材のことです。

    ディープラーニング(Deep Learning)は、人工知能(AI)の一分野であり、人間の脳の仕組みを模倣した深層ニューラルネットワーク(DNN)を用いて、高度なパターン認識や学習を行う技術を指します。

    ディープラーニングは、大量のデータを学習させることで、非線形な関数近似や特徴抽出を実現可能です。その結果、画像や音声、テキストなどのデータから意味のある情報を抽出し、音声認識や自動運転などの先端分野で役立ちます。

    AIエンジニア、AIプランナー

    AIエンジニアとは、AI技術全般に関する知識やスキルを持ち、AIシステムの企画・設計・開発・運用を行う人材のことです。

    AIエンジニアは、データサイエンティストや機械学習エンジニアなどの専門家と協力して、ビジネスや社会のニーズに応えるソリューションを提供します。そのため、プログラミングや数学だけでなく、システム工学やソフトウェア工学などの知識も必要です。

    一方でAIプランナーは、AI技術の可能性や限界を理解し、AIシステムの要件定義や仕様策定を行う人材を指します。クライアントや利用者の課題や目的を把握し、最適なAIシステムの構想や仕様を作成するため、ビジネスやマーケティング、デザインなどの知識を求められるでしょう。

    自然言語処理(NLP)エンジニア

    自然言語処理(NLP)エンジニアとは、自然言語処理を用いて、ソフトウェアやシステムを開発する人材のことです。チャットボットや機械翻訳などのサービスで活躍できます。

    主に、機械学習やディープラーニングなどの手法を用いて、テキストや音声の分析や生成、翻訳、要約、対話、推薦などの機能を実現します。

    また、データの収集や整理、モデルのトレーニングや評価、システムの実装やデプロイなど、幅広い作業を担当することもあるでしょう。

    コンピュータビジョンエンジニア

    コンピュータビジョンエンジニアとは、画像や動画をコンピュータに理解させる技術であるコンピュータビジョンに関するAIシステムを開発する人材のことです。

    主に、機械学習やディープラーニングなどの手法を用いて、顔認識や物体検出、セグメンテーションや姿勢推定などの機能を実現します。簡単にいうと、カメラやセンサーなどで取得した画像や動画をコンピュータに理解させることで、顔認識や物体検出などのタスクを実現するというものです。

    コンピュータビジョンエンジニアには、画像処理やグラフィックスなどの知識が必要となりますが、セキュリティや医療などの分野で重宝される存在です。

    ロボットエンジニア

    ロボットエンジニアとは、ロボットの動作や制御をプログラムすることで、移動や操作などのタスクを実現する人材のことです。機械学習やディープラーニングなどの最新の手法を駆使し、ロボットの制御や認識、学習や計画などの機能を実装する役割を果たします。

    例えば、工場では自動化された生産ラインの設計や監視、トラブルシューティングなど、農業では、自律型農業ロボットの開発や農作業の自動化、作物のモニタリングなどを行います。

    このように、自律型ロボットや人間との協働ロボットなど、新しい技術の開発と応用に取り組むことが求められる職種です。

    AI人材の育成手法

    AI人材の育成手法は、以下の7つが挙げられます。

    1. 教育プログラムの提供をする
    2. アドバイザーを採用する
    3. 実務経験を積む
    4. 継続的な学習をサポートする
    5. 成果や貢献度を評価する
    6. 内部コミュニティを構築する
    7. アウトソーシングと提携する

    教育プログラムの提供をする

    AI人材を育成するためには、まず基礎的な知識やスキルを身につける必要があります。そのためには、オンラインコースや書籍、ワークショップなど、AIに関する学習内容を体系的にまとめた教育プログラムの提供が有効です。

    AI人材は教育プログラムを利用することで、自分のレベルや目標に合わせて効率的に学習できます。

    アドバイザーを採用する

    また、AI人材の育成では、実際の業務やプロジェクトにおける活用を進めるため、経験豊富なアドバイザーのサポートも必要です。

    AIの専門家やコンサルタントなど、AIに関する知見やノウハウを持つ人材を採用することで、問題解決や技術選択、品質管理などの実践的なスキルを習得できます。

    実務経験を積む

    そして、AI人材を育成するためには、実際にAIを使って何かを作るという経験も必要です。具体的には、自分でAIのプロジェクトを企画したり、他のチームや企業と協力したり、コンペティションやハッカソンに参加したりします。

    AI人材は、得られた知識に基づいた実務経験を積むことで、創造性やコミュニケーション能力などの応用的なスキルまで発揮できる状態に仕上がるでしょう。

    継続的な学習をサポートする

    AI人材が一連の流れを踏襲した後も、継続的な学習をサポートします。なぜなら、AIは日々進化している分野であり、常に最新のトレンドや技術に対応する必要があるからです。

    例えば、定期的にオンラインコースや書籍などで自己学習したり、セミナーやカンファレンスなどで最新情報を入手したり、コミュニティやSNSなどで情報交換したりすることは取り入れやすい方法でしょう。

    AI人材に対する継続的な学習のサポートは、常に自分の知識やスキルを更新し、競争力を高める手段となります。

    成果や貢献度を評価する

    意外に見落とされてしまうのが、AI人材に対する成果や貢献度を評価するプロセスです。プロジェクトベースで評価基準や指標を明確にし、フィードバックや報酬を適切に与えることでモチベーションやスキルアップを促進します。

    また、必要に応じて報酬アップを行うことも有効でしょう。ただし、それぞれの職種において求められる成果や貢献度が異なるため、客観的に評価する仕組みを作り上げることが求められます。

    内部コミュニティを構築する

    AI人材に対して、内部コミュニティを構築する方法も覚えておきたい育成手法の1つです。コミュニティでは、AI人材同士が知識や経験を共有したり、問題解決やイノベーションに取り組んだりできます。

    また、所属意識やエンゲージメントを高めたり、モチベーションを向上させたりする効果も期待できるでしょう。さらに、コミュニティ内での交流や協力関係を通じて、AI人材のネットワーキング(人と人との関係を構築して相互に連携・協力し合うこと)やキャリアの発展につながることもあります。

    アウトソーシングと提携する

    最後に、自社内だけでなく、外部の専門家やパートナーとも連携する手段も検討しておきましょう。アウトソーシングでは、ここまでに触れてきた教育プログラム(研修)を取り入れたり、アドバイザーを雇用したりするなどを実現できます。

    AI人材に対する教育手法は多種多様であり、育てる職種によっても必要な体制が異なります。ゼロからスタートするよりも、外部と連携しながら徐々に内部体制を構築する方が途中で頓挫する可能性を下げられるでしょう。

    AI人材の育成における課題と解決策

    AI人材の育成における課題と解決策について、以下の3つのポイントを詳しく見ていきましょう。

    1. 高度なスキルが要求される
    2. 最新のトレンドと技術の追随が必要になる
    3. 人材の獲得競争が激化している

    高度なスキルが要求される

    AI人材の育成においては、高度なスキルが要求されるハードルの高さが課題としてよく挙げられます。例えば、AI人材には数学や統計学、プログラミングなどの基礎知識だけでなく、機械学習やディープラーニングなどの応用技術も必要です。

    加えて、ビジネスや社会における課題やニーズを理解し、解決策を提案できる能力も求められるでしょう。こうしたスキルを身に付けていくためには、長期的な学習と実践が求められます。

    解決策としては、高度なスキルをスムーズに獲得できるように、適切な教育プログラムを提供する方法が挙げられます。アウトソーシングをうまく活用し、必要に応じたスキルを身につけられる社内態勢を整えましょう。

    最新のトレンドと技術の追随が必要になる

    次に、AI人材には、最新のトレンドと技術の追随が必要となることも課題の1つです。例えば、近年では自然言語処理やコンピュータビジョンなどの分野で、ChatGPTなどの大規模な事前学習モデルが注目されています。

    取り上げたモデルは高い性能を発揮する一方で、膨大なデータや計算資源が必要であり、実装や運用にも高度な知識と技術が必要です。AI人材はこのような最新のトレンドと技術に対応できるように、常に学習し続ける姿勢が求められます。

    社内体制においては、技術や知識を習得したら終了ではなく、継続的な学習環境を整える工夫を凝らしましょう。

    人材の獲得競争が激化している

    最後に、AI人材の獲得競争が激化し、必要なリソースを確保できないことにも目を向けておく必要があります。なぜなら、急速な技術の発展に伴って発生した需要に対して、人材の供給が追いついていないためです。

    また、需要の高まりを受けて少しでも確保しようと、企業は高い給与や福利厚生を提供してAI人材を引き付けようとする動きも強まるでしょう。

    そのため、人材の不足を見越して社内から育て上げるという選択肢を選ぶ必要があります。加えて、育成した人材が辞めていかないためにも従業員を魅了する環境の整備にも力を入れると良いでしょう。

    まとめ

    AI人材の育成は、競争力を高め、持続的な成長を実現したい企業にとって非常に重要な課題として挙げられるものです。そのため、高度なスキルや最新のトレンドに対応する社内体制の整備、そして競争力のある人材の確保が求められます。

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