DX推進部門とは?役割や組織図、部門作りの成功ポイントを紹介
更新日:2023年12月12日
DX推進部門は、企業内でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために設立された専門部署です。その主な目的は、全社的なDX戦略の策定と実行を主導することです。
しかし、DX推進部門の構築にはさまざまな課題が存在します。そのため、成功するためには組織全体の協力やリーダーシップ、適切なリソースやスキル、成果の測定と評価などが必要です。
この記事では、DX推進部門の目的と役割、組織構造と業務内容、DX推進部門を成功させるために必要な方法について解説します。DX推進部門を効果的に運営し、効率的なDXを実現するために、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
DX推進部門の目的と役割
DX推進部門の目的は、DXの実現に向けて全社的なDX戦略を策定し、実行することです。また、組織体制の変革や人材育成を通じて、DXを推進することも目的のひとつです。
このDX推進部門には、大きく分けて以下の5つの役割があります。
- 戦略立案と計画
- 技術導入と革新
- 組織全体の変革
- 業務プロセスの改善
- データ活用と分析
戦略立案と計画
まず、DX推進部門では組織全体のDX目標設定と戦略立案を行います。
役割 | 内容 |
---|---|
目標設定 | 現状分析や市場調査を行い、デジタル化が必要な領域や課題を特定する |
戦略立案 | デジタル化の方向性や優先順位を決め、具体的なアクションプランやKPIを策定する |
また、推進と管理を実行するために、プロジェクトのスコープやスケジュール、予算、リソースなどを管理し、プロジェクトメンバーやステークホルダーと連携することもあります。さらに、プロジェクトの進捗や成果をモニタリングし、必要に応じて計画の見直しや改善策の実施も担うことになるでしょう。
技術導入と革新
DX推進部門では、以下の新しいデジタル技術の導入と活用も担当します。
- クラウド
- AI(人工知能)
- IoT(モノのインターネット化)
- ビッグデータ
そのため、IT部門や外部ベンダーと連携し、技術の選定や導入方法、運用方法などを決定する必要があります。技術の導入後は、効果の測定や評価を実施し、フィードバックや改善の提案も行います。
組織全体の変革
DX推進部門の役割には、組織全体の変革を実行することも含まれます。ここで言う「組織構造とプロセスの変革」とは、組織の枠組みや業務の流れをデジタル化に適した形へ変えることです。
例えば、組織の階層や役割を見直したり、業務の自動化や標準化を行ったり、コミュニケーションやコラボレーションの方法を変えたりします。また、デジタルリテラシーの教育やトレーニングを行い、組織全体のデジタルマインドセットを形成する役割も変革の一部です。
業務プロセスの改善
DX推進部門は、業務プロセスの改善も支援します。具体的には、事業部門のニーズや課題を把握し、最適なデジタル技術やソリューションを提供します。
具体的には、紙ベースの書類やファイルを電子化したり、オンラインで申請や承認の業務を行ったりするなどです。業務プロセスの改善だけでなく、効果やROI(投資利益率)を測定し、フィードバックや改善の提案も技術導入と同様に実施することもあります。
データ活用と分析
最後に、DX推進部門では、データ活用と分析を実施してデータ駆動型の意思決定を支援することもあります。例えば、売上や利益などのKPI(重要業績評価指標)の分析や、新しいビジネスチャンスの発見、顧客満足度の向上案の提案などです。
累積されたデータには、市場や顧客の動向、ニーズを把握できるものや、競合他社や業界の動きの調査に使えるものが多く含まれます。そのため、DX推進部門がデータを収集し、分析する能力を持つことで、企業の競争力を強化し、持続的な成長を達成しやすくなります。
DX推進部門の組織構造
DX推進部門は、以下に挙げた4つの部署から構成され、それぞれ異なる専門性と能力を持ち、DXの実現に向けて連携しています。
- IT部門
- 業務部門
- データ/アナリティクス部門
- マーケティング部門
IT部門
まず、IT部門は、ITスキルとプログラミング専門知識を活用して、DXを支援します。また、他の部署と協力して、ビジネスシステムの変更もサポートします。
サポートには、業務効率化や顧客満足度向上のために、クラウドやAIなどの最新技術を導入したり、既存のシステムを改善したりするなどが挙げられるでしょう。
DXを成功させるためには、技術的な知見と実行力が不可欠です。そのため、デジタル変革の主導と実施に重要な役割を果たす部署とも言えます。
業務部門
次に、業務部門はDXイニシアティブを主導し、ビジネス運営に合わせて実施します。主に、ビジネスプロセスとニーズを分析し、効果的なデジタル変革を推進する役割を担います。
業務内容としては、業務フローの見直しや改善策の提案、KPIやROIの設定と測定などが挙げられるでしょう。そのため、業務部門はDXのプロセスにおけるビジネス目標と戦略を明確にし、実現可能性と効果を検証するために機能する重要な部門となります。
データ/アナリティクス部門
データ/アナリティクス部門は、業界トレンド、市場動向、顧客行動に関する研究と開発を行います。そのため、データ管理と分析を通じて、ビジネス決定とDXイニシアティブを導く役割を担います。
具体的には、データ収集や整理、可視化やダッシュボード作成、予測や洞察抽出などが主な業務です。データ/アナリティクス部門では、会社全体のデジタルリテラシーの向上が重要視され、データドリブンな意思決定とイノベーションを促進する中核となります。
マーケティング部門
マーケティング部門は、デジタルツールとプラットフォームを利用したマーケティング戦略の強化を行います。例えば、SNSやウェブサイト、メールなどのデジタルチャネルを活用して顧客とのコミュニケーションや関係構築を行ったり、オンラインでの商品やサービスの販売や紹介を行ったりします。
マーケティング部門は、DXによって生まれる新しい価値提案や競争力を発信します。そのため、目標に合わせて市場トレンドと顧客ニーズを理解することが大切です。場合によっては、DXプロセスの一環で外部パートナーとの協力も必要となるでしょう。
DX推進部門の業務内容
DX推進部門の担う役割を踏まえて、担うことになる業務内容は以下が挙げられます。
役割 | 概要 |
---|---|
DX戦略の策定と実行 | 企業全体のDX目標を設定し、戦略を立案、管理する |
技術導入と革新 | 最新のデジタル技術を導入し、技術革新を推進する |
組織変革の主導 | 組織構造とプロセスを変更し、デジタルリテラシーを向上させる |
業務プロセスの改善 | 効率的な業務プロセスの改善と最適化を図る |
データの活用と分析 | データ分析を通じてビジネスに価値をもたらす |
その他にも、DXを推進するために必要となる内部人材の育成を実施し、必要に応じて外部人材の獲得も担います。そのため、IT企画の考え方や、問題の発見・解決の方法を研修として取り入れたり、自部門内で業務の可視化や改善改革の方向性を検討できる人材を育成したりするなども行います。
このように、DX推進部門は業務内容を通じて企業のデジタル化を効果的に推進し、持続可能な成長を支援する業務内容が多くなるでしょう。
DX推進部門作りに成功させるためには?
DX推進部門作りに成功させるためには、以下を押さえることが大切です。
- リーダーシップの確立
- 明確なビジョンと戦略の策定
- 組織全体との連携
- 適切なリソースとスキルの確保
- 成果の測定と評価
- 教育とトレーニング
リーダーシップの確立
まず、DX推進部門においては、経営層や各部門との強い連携を実現するためのリーダーシップが必要です。DXの方向性や意義を社内全体に伝え、共感を得ることで、DXプロジェクトの成功を支えるためです。
DX推進部門の責任者は、経営層と定期的にコミュニケーションを取り、DXのビジョンや戦略を共有し、承認や支援を得ます。また、各部門とも協力関係を築き、DXに関するニーズや課題を把握し、解決策を提案することも大切です。
明確なビジョンと戦略の策定
次に、方向性や優先順位を明らかにし、組織全体の一致やモチベーションを高めるために、明確なビジョンと戦略を決定します。また、策定する際には、技術的な側面だけでなく、ビジネスモデルの変革や新しい価値提供の方法も含みます。
- 自社の強みや弱み
- 市場や競合の動向
- 顧客や社会のニーズ
などを分析し、デジタル化によってどんな価値を創出できるかを明確に定義しましょう。さらに、その価値創出に向けてどのようなアクションプランを実施するか、目標とするKPIは何にするかまで決めると失敗を減らせます。
組織全体との連携
さらに、組織全体との連携を積極的に取ることも重要です。DX推進には、IT部門、業務部門、経営層など、組織全体の協力が不可欠だからです。
具体的には、業務部門のメンバーをDXプロジェクトのチームに参加させ、業務プロセスの改善や新しいサービスの開発などへ積極的に関わらせます。また、業務部門のフィードバックや評価を受け入れ、DXプロジェクトの改善に活かすなども有効です。
連携を強化し、業務部門がDXを主導する体制を構築できれば、デジタル化における現場のニーズや課題を正確に捉えて効果的な解決策を導くこともできるでしょう。
適切なリソースとスキルの確保
他にも、DX推進部門では、内製化を進めるための適切なリソースとスキルを確保しておきます。また、技術スキルだけでなく、ビジネスや業務の視点から変革をリードする能力も必要です。
例えば、デジタル技術に精通したエンジニアやデザイナーなどの専門家や、ビジネスや業務に関する知識・経験を持ったコンサルタントやマネージャーなどが挙げられるでしょう。
適切なリソースとスキルを確保できると、DX推進部門が保有する自律性や競争力を高め、結果としてDXを力強く進めることにつながります。
成果の測定と評価
曖昧になりやすく、忘れてしまいやすい成果の測定と評価も積極的に実施しましょう。DX推進部門の取り組みが、本当に効果を上げているかどうかを判断するためです。
コストや時間、品質、顧客満足度などの指標を定期的に測定し、目標と比較したり、測定したデータを分析し、問題点や改善点を明らかにしたりします。その結果、進行中のプロジェクトの調整や、改善策の導入が可能になり、効率性や効果性を高めることができます。
教育とトレーニング
最後に、DX推進部門に対して教育とトレーニングを実施することも非常に効果的です。
具体的には、社内向けにデジタル技術やツールの使い方や活用方法などのトレーニングを実施したり、ビジネスモデル変革や新しい価値提供方法に関する最新の事例や知見などを共有したりします。
また、学習する方法は、社内研修やワークショップ、外部の専門機関やコンサルタントを招くなど多岐にわたります。教育とトレーニングでスキルアップや意識改革を行い、より効果的なデジタル化を実現しながら企業の持続的な成長を支援できる体制を整えましょう。
まとめ
DX推進部門は、IT部門、業務部門、データ/アナリティクス部門、マーケティング部門から構成されます。業務内容には、DX戦略の策定と実行、技術導入と革新、組織変革の主導、業務プロセスの改善、データの活用と分析などが挙げられるでしょう。
DX推進部門は、企業のデジタル化を効果的に推進し、持続可能な成長を支援する役割を果たします。部門を設立して成功させるためにも、適切な人材を育成しましょう。
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