Case Studyお客様事例

上司と部下がチームで目に見える成果を創出する、
現場発のデジタル変革・BPR

伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社様

(左から一番目)菅谷賢吾様 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 デジタル戦略室
(左から二番目)宮﨑良太様 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 IT推進部 ITソリューションチームチーム長代行
(左から三番目)大平祐輔 株式会社ディジタルグロースアカデミア
(左から四番目)大庭奈波 株式会社ディジタルグロースアカデミア

課題
  • 属人化されたルーチンワークや煩雑なExcel業務など、生産性の低い業務がある。
  • 新ITツールを社内でアナウンスしても全社的な活用が困難だった。
  • 過去に実施した上司のみ、または部下のみ参加の研修では、明確な成果が上げるのが難しかった。
取り組み
  • 各部門の上司と部下がチームとなり、チーム間で競い合いデジタルを用いて業務効率化に取り組む、“BPR CUP”を企画・実施
  • ※BPR:ビジネスプロセス・リエンジニアリング 業務を目的目線で抜本的にプロセスを見直す事
効果
  • 多くの部署が多様なツールを利用して業務効率化した
  • 組織や階層を超えてITツールやデータが活用されるようになった
  • 見えていなかったデータの可視化が進み、より正確な判断、意思決定が可能になった

伊藤忠丸紅鉄鋼様が目指すデジタル化と、具体的な取組の内容について教えてください。

業務改善への取り組みとしての「BPR CUP」の開催

伊藤忠丸紅鉄鋼は、鉄鋼業界において、システム関連ツールも長期間で使い続けてきました。手作業によるExcelのデータ転記や、改修が困難なExcelマクロなどの課題がありました。デジタル化を進めることで、非効率的な業務を改善し、より便利な環境設定が必要となっていました。

改善に向けた取組として、弊社では「BPR CUP」を実施しています。これは各部門から上司と部下でチームを組成し、各チームが競い合いながら、ITツールを活用して業務課題を解決するプログラムです。この取り組みでは単に研修を受けて終わりではなく、Power QueryやPower BI、Power Automate、Kintoneなどのツールを用いて、実際に困っている業務の課題を解決します。

上司と部下がチームになり、競い合うことによる効果

弊社では以前、ペーパーレスを目的として社員間で競争しながら紙の使用を減らすというイベントを実施したところ、ファイルやキャビネットの数を大幅に削減することができました。この成果を次に活かすべく、業務全体のデジタル化・効率化を進めるために「BPR CUP」を競争というコンセプトに含めて企画し、実行しました。

過去には、上司や部下それぞれが受ける研修を実施していましたが、部下が一生懸命取り組んでも上司に評価されずに終わる、または上司が受けた研修について、その意図が部下に伝わらずに終わってしまうことがありました。

そのため、業務のデジタル変革が必要な本取組では、組織のチェンジマネジメントが必要であると考え、ソリューションの作り手は部下がメインとなりますが、上司にも参加してもらい、現在の実業務課題を解決するツールの活用を一緒に考えてもらいました。BPR CUPでは、評価者と被評価者が一緒に同じ取り組みに対応することで、継続的に業務改善に取り組んでいます。

伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 IT推進部 ITソリューションチームチーム長代行 宮﨑良太様

BPR CUPのパートナーとして、ディジタルグロースアカデミアを選定いただいた理由は何でしょうか。

今回、ディジタルグロースアカデミアにはBPR CUPのパートナーとして、Excel・Power Query・Power BIの講師を担当いただきました。以前からデータ分析研修の講師をお願いしていましたが、非常に丁寧でわかりやすい指導で、我々の業務に対する深い理解を持った対応に、社内での評判が非常に良く、BPR CUPでも講師としてディジタルグロースアカデミアさんにお願いいたしました。

BPR CUPにて、ツールを活用することで、どのような具体的な取組と成果が生まれてきていますか?

BPR CUPの具体的な取り組み内容
  1. 1BPRや各ツールに
    ついての講義
  2. 2業務課題の
    洗い出し
  3. 3業務への実装
  4. 4プレゼンテーション
  1. BPRや各ツールについての講義では、過去の失敗事例や反省点を共有することで、同じ失敗を繰り返さないこと、ITツールの基本機能や操作方法を理解する講義を実施しました。
  2. 業務課題の特定では、実際に困っている業務のフローを書き出してもらいました。このプロセスを通じて課題を明確にし、優先順位を付けてもらいました。
  3. 実装のフェーズでは、Power Queryを活用して、データの転記や集計といった手動で時間がかかっていた業務の自動化、Power BIでデータの可視化を行いました。
  4. プレゼンテーションでは、各チームが選定した業務課題とその改善手法、改善の成果について動画で発表し、事務局と講師が評価を行いました。
単純な業務の効率化に留まらず、データ活用も推進

Excelのみの場合、情報を共有することや、組織横断的にデータを共有できないこともあったのですが、Power BIにより情報を横串で見て、多様な角度から分析し、以前は見過ごされがちだったデータに気づくこともきました。Power BIのレポートは作成者だけでなく、上司や他部署の方含めてそのレポートを参照することもできます。さらに、他部署の社員がレポートをカスタマイズして自分の見たい切り口で見たいという場合には、自主的に変更を行って、継続的な改善が実現できています。

部署によってはPower BIやPower Queryの利用を促進するための自主的な勉強会を開きました。

伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 デジタル戦略室 菅谷賢吾様

全社内にデジタルツールを普及させる上で苦労されたことはありますか。またそれをどのように乗り越えているのでしょうか。

いままで、社内イントラや研修を通じてITツールの利用を促していたものの、一方通行となっていることもありました。BPR CUPを通じて実際に成功体験を持っている社員がインフルエンサーとなり、ツールの利便性を広めることでデジタル化が徐々に浸透してきました。また、上司と部下がペアで取り組んだ結果、役職・部門を問わずツールが広まって、他部署の取り組みを参考に広がっていくこともありました。

社内にはITに強い社員は多くはありませんが、徐々に組織全体としてのITリテラシーの底上げを目指しています。データを集約したレポート、を通じて今までは見なかった人もデータを見るようになり、ITツールを使う人、作る人、双方が徐々に増えてきています。

BPR CUPを繰り返し開催する事による、社内の反応はいかがでしょうか?

実際の業務で使える成果物を作ることに対する高評価

社員の反応は良く、自分達の実際の課題解決につながる点が高く評価されています。BPR CUPは、ただ学ぶだけの研修ではなく、実業務で活用できるレポートやアプリを作ります。外部のベンダーに開発を依頼するとコストがかかり、業務との要件のズレが発生し、変更にも時間がかかることがあるため、業務知識を持つ社員自身が作ることは効率性や柔軟性があります。

また、良い取り組みに対しては、社内で褒めあい、社内イントラで報告することで、周りの社員が本取組や成果物を知るきっかけとなります。そうした中で、DGA様に、参加した社員のフォローだけでなく、取組を見た他の社員の新たな業務改善相談の講師をお願いし、フォロー体制を確立することで、会社全体でさらなる業務効率化を目指す意識が醸成されてきました。

取引先の業務も効率化することの重要性

BPR CUPには、社内業務にとどまらず、取引先の業務も効率化する取り組みをした社員もいます。弊社は商社ですので、取引先の業務問題を解決支援は重要です。鉄鋼業界において、取引先を巻き込んだ業務効率化を進め、業界全体の課題解決や生産性向上にも寄与したいと考えています。

BPR CUPの成果を受けて、伊藤忠丸紅鉄鋼様としてのさらなる今後のデジタル活用の方向性をお教えください。

今後は個人開発のツールだけでなく、全社的な情報基盤としてデジタルツールやデータの活用を拡大していく予定です。弊社では扱うデータ量が多いため、データ収集に多大な時間や労力がかかったり、データの集約が出来ていない業務も多数存在します。今後は分散している情報を一元化、可視化しデータ収集のプロセスの手間も極力減らしていく考えです。

社内外の情報を集約する過程では、さまざまなステークホルダーの協力が必要になります。そのためには、トップダウンと部門横断的なアプローチを組み合わせ、関係者の方々に対するメリットも理解した上で了解を得ながら進めていくべきと考えます。

ディジタルグロースアカデミア 大平祐輔・大庭奈波

最後に、ディジタルグロースアカデミアを選んで良かった点を教えてください。

ITに詳しくなく、要件が完全に固まっていない中でご相談させていただくことがあります。ディジタルグロースアカデミアさんは、弊社の意図とやりたいことを汲み取っていただき、社内の業務や業界慣習についても深く理解していただきながら非常に丁寧に対応していただきました。相談に来た社員の技術的な支援だけでなく、モチベーション維持まで行っていただき、多くの社員が最後までやり切ることが出来ました。社員のリテラシー向上や業務改善の達成に大きく貢献していただいたと思います。

担当者のコメント

大庭 奈波Nanami Oba

株式会社ディジタルグロースアカデミア

今回のインタビューを通じて、伊藤忠丸紅鉄鋼様のデジタルトランスフォーメーションに対する真摯な取り組みと、成果に結びつけるための創意工夫が見えました。特にBPR CUPにおける「上司と部下がセット」というアプローチは、従来の人材育成の枠を超え、実務に根ざした学びの場を提供している点が印象的です。企業が全社員を巻き込んでデジタル活用を進めるためには、「成果を生み出すこと」「取り組みがきちんと評価されること」が重要であると感じました。読者の皆様にも、これからのデジタルツールを活かした働き方のヒントを提供できれば幸いです。

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