社員に寄り添い、データを活用し、
「人にやさしい」デジタルな企業へ進化する
フジッコ株式会社様
(右から一番目)岡山浩之様 フジッコ 経営企画本部 経営企画部 DX推進グループ
(左から一番目)大平祐輔 株式会社ディジタルグロースアカデミア
(左から二番目)大庭奈波 株式会社ディジタルグロースアカデミア
- いわゆるKKD(経験・勘・度胸)による意思決定が主であり、データの活用が十分でない
- これまでのeラーニング施策は実施自体が目的化しており、ビジネスの成果に至らなかった
- デジタルによる業務効率化やデータ活用を推進する人材の選抜・育成が必要
- DXへの適正を可視化する「DXアセスメント」を希望者が受検
- DX人材育成eラーニングプラットフォーム「みんなデ」を、DXアセスメントの受検者へ提供
- DXアセスメントによる個々のDXプロジェクトへの適性把握
- 隙間時間を利用して楽しみながらデジタルに関する知識・スキルを取得できる環境を整備
- 個々の弱みを補い、強みを伸ばす学習コースを設計し、社員のキャリアアップや成果創出に貢献
フジッコ様の目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)について教えてください。
弊社は食品製造業として、コロナ禍を契機に店舗販売だけでは売上拡大が難しい状況に直面しています。変化の激しい市場で生き残り、成長を続けるためには、デジタルの積極的な活用が不可欠です。デジタル活用を経営戦略として推進するため、DX推進グループが発足されました。
フジッコではこれまで、経験、勘、度胸(KKD)を重視する文化が根強く残っており、遅くまで残って仕事をする人や、頑張りをアピールするのが得意な人が評価される風潮があります。しかし、この方法では生産性や成果の質を正しく評価することができません。業務プロセスを標準化し、データを用いて成果を評価することで、生産性の向上や売上拡大に貢献した人が適切に評価されるようになり、より「人にやさしい」職場を実現することができると考えています。
フジッコではこうしたデジタルを活用した業務効率化を「DX1.0」と定義し、「DX1.0」によって産み出された時間を活かして、デジタルを活用した既存事業の売上拡大や事業創出を実現していくことを「DX2.0」と定義しています。
「DX1.0」や「DX2.0」を実現するために、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。
DX1.0では、主にデジタルを活用した業務効率化に取り組んでいます。
本社主幹の業務はデジタル化が進んでいる一方、生産部門や営業事務所ではまだ多くのアナログ業務が残っています。現場によって業務プロセスが統一されておらず、データの集約や、担当者異動時の引継ぎや業務の習熟に多くの手間や時間を要する状況です。そこで、いきなりデジタルを導入するのではなく、まず過去の習慣に縛られずにその業務の必要性を再評価し、不要な業務はやめることで時間の確保を目指しています。それに加え、デジタル技術によって業務プロセスに統制をかけ、標準化の実現に取り組んでいます。
しかし、デジタル技術が得意でない人や、デジタル技術の導入に対して抵抗感を持つ方もおり、デジタル技術を学ぶことに対するハードルを下げることも重要です。そのために、できるだけ専門用語を避け、誰にでも理解しやすい表現を心掛けて説明しています。さらに、工場や営業所を訪問し、対面でデジタルの利点や業界効率化の提案を伝えています。アナログ的なアプローチではありますが、現場の方への伝わりやすさを意識し、直接現場の方の声を聞くことは、デジタル活用の支持を得るために重要な過程であると考えています。
DX2.0では、取引先や消費者の情報を十分に活用し、売上拡大していくことを目指しています。
これまで、取引先との商談記録や人脈情報が部門最適に管理されており、会社全体のリソースとして活かされておらず、潜在的な機会損失が生じていると想定しています。今後は、このような情報を会社の大切な情報資産として有効活用できる環境を整備し、情報収集の効率化や商談の成約率の向上、ひいては売上拡大につなげていきます。
消費者の情報については、個人情報漏洩のリスクの恐れから、消費者データを十分に活用できていませんでした。しかし、消費者に商品を届けるためには、ターゲットとなる消費者像を戦略的に考え、潜在的なニーズをデータで把握することが重要です。これまでのID-POSデータ※に加え、より詳細な消費者のデータを収集することで、取引先に対して消費者のニーズに基づいた効果的な提案が可能になり、成約率の向上も期待できます。全員が消費者データの有用性を理解し、ニーズに合った商品を確実にお届けすることで、さらなる企業としての成長を遂げたいと考えています。
- ※顧客の購入履歴を個別に特定し、販売場所や日時、商品、購入者情報などを記録したデータ
今回、DXアセスメント・みんなデの導入に至った理由を教えてください。
これらの取り組みは、DX推進グループ主導で行われていましたが、このグループのメンバーだけでDXを実現するには限界があります。そこで、意欲ある社員がデジタルの知識を学び、業務プロセスの変革やデータ活用に取り組むスキルを身に付けることができるよう、ディジタルグロースアカデミアをパートナーに迎え、DXに対する個人の適性を可視化する「DXアセスメント」と、DX人材育成に特化したeラーニングサービス「みんなデ」を導入しました。
アセスメントツールを検討する上で、DXをする人材を選定する選定のために、Excelなどのツール操作やビジネススキルではなく、DXに対する意欲や適性が重要であると考えていました。また、経産省のDXスキル標準に準拠し則ったスキルマップを作りたいと考えておりましたので、ディジタルグロースアカデミアのDXアセスメントが経産省の方針に準拠していたことも決め手となり、「DXアセスメント」を導入しました。
「みんなデ」は、学習コースをフジッコ社員に分かりやすい構成にカスタマイズできることや、業務プロセスの改善、データ活用、製造業向けにDXを解説しているコンテンツが含まれていたことで、導入を決めました。
DXアセスメント・みんなデをどのように活用されていますか。
DXアセスメントにより、DX適性の評価レポートが個々にフィードバックされます。その結果をもとに、自身の弱点を補ったり、長所をさらに伸ばしたりすることができるよう、DX適性別の12個の教育コースを設計しました。これにより、デジタル技術の習得の促進や、キャリアアップに寄与することを期待しています。
また、DXアセスメントやみんなデは任意受講としています。本来DXは、誰かに言われて出来るものではなく、変革マインドをもって、業務効率化や、取引先・自社の売上拡大のために行動することが重要だと考えているため、意欲のある人材がDXの推進を担うことを狙いとしています。
DX人材育成の施策に対する、社員の皆様の反応はいかがでしょうか。
みんなデを受講していて「楽しい」という声が多いです。約10分と短い動画が多く隙間時間に視聴できることや、具体的に何が学べるのかが動画のタイトルに書いてあり、分かりやすいことが好評を得ています。また、DXアセスメントの結果を基にしたコース設計も評価されており、どの動画を最初に視聴すべきか迷うことなく、スムーズに受講を開始できるとのコメントもいただいています。
eラーニングを「自由に受けてください」だけでは、どう活用してほしいのか、という提供側の意図が伝わりません。フジッコ社員に分かりやすいコース構成にカスタマイズすることで、学習への最初の一歩を踏み出しやすくなっていると思います。
今回、DXアセスメントとeラーニングサービス“みんなデ”の導入にあたり、特に苦労した点や工夫した点について教えてください。
フジッコでは、過去にもeラーニングを導入してきましたが、実施すること自体が目的化してしまった経験があります。そのため、今回の「みんなデ」導入では、eラーニングに対して懐疑的だった経営陣に対して、学んだ成果を業務に還元する道筋を具体的に示す必要がありました。
DX人材育成の取り組みに対する理解と納得を得るために、まずはディジタルグロースアカデミアから、経営陣を対象にしたDXを理解するためのワークショップを実施いただきました。DXの必要性を再認識し、自らが方針を考えていただくことで、DX人材育成を進めやすくなったと言えます。
そして、今年新設されたDX推進の専門組織が持続的に活動を続けるためには、適切な人材のアサインが必要になります。これまで同様の、勘や経験に頼った人材選抜でなく、DXアセスメントとeラーニングの受講実績というデータをもとに、個々の興味や適性、意欲に基づいた判断を行うことを目指しています。適材適所を実現するための手段としての「DXアセスメント」と「みんなデ」であることを理解いただき、導入を実現することができました。
DXアセスメントやみんなデを受けた方には、今後どのような役割を期待されていますか?
会社を一緒に変えたい人が、立場に寄らず自発的に集まるコミュニティを作りたいと考えています。そして、そのメンバーが情報や意見を活発に交換し合い、業務効率化を進め、商品開発や営業活動へのデータ活用や、適切なKPI管理を実現していくことを期待しています。
最後に、ディジタルグロースアカデミアをパートナーとして選んで良かった点があれば教えてください。
ディジタルグロースアカデミアさんとは2年ぐらいのお付き合いですが、根気強くコミュニケーションを重ね、フジッコの状況に合わせて提案してもらえたことは非常に助かりました。また、DXリテラシー協議会などの公的な機関の方針に則った教育プログラムを提供してもらえたことも良かったと思います。
担当者のコメント
大庭 奈波Nanami Oba
株式会社ディジタルグロースアカデミア
「人にやさしい」職場の実現を目指してDXに取り組まれているフジッコ様。経営層や現場の理解を得るために、丁寧な対話を重ねられている点が、社員に寄り添ったDXの推進に繋がっていると感じました。DXは一部門だけでなく、全員が取り組むべきものであり、そのために全社員の支持を得ることは、企業が変革し、成長し続けるために必要なプロセスであると考えます。
DX人材育成・研修・
コンサルティング
デジタル人材育成にお悩みの方は、
ぜひ一度ご相談ください。