Case Studyお客様事例

ツールの使い方だけでなく、マインド・ビジネススキルも併せた育成が生産性向上のカギ。大林組のデジタル人材育成からデジタル変革を学ぶ。

株式会社大林組様

(左から三番目)安井勝俊様 株式会社大林組 デジタル推進室デジタル推進第一部長
(左から二番目)倉形直樹様 株式会社大林組 デジタル推進室
(左から一番目)川本俊介様 株式会社大林組 デジタル推進室
(右から二番目)大平祐輔 株式会社ディジタルグロースアカデミア
(右から一番目)大庭奈波 株式会社ディジタルグロースアカデミア

大林組様では、2021年5月から2021年10月にかけて全従業員向けのデジタル人材育成コンテンツの企画・開発を行っています。建設業におけるDXに先駆けてデジタル人材育成に取り組まれている大林組様ですが、建設現場やIT・デジタル専門の人材だけではなく、全従業員向けにデジタル人材育成プログラムを実施するに至った経緯やその先に描いている思いを、大林組デジタル推進室の安井様・倉形様・川本様にお伺いしました。

大林組様が今回の育成プログラムを始められたきっかけについて教えてください。

安井様:

建設業では、解決しなければならない課題が3つあります。一つ目は「労働時間の削減」です。2024年4月から建設業でも時間外労働の上限規制が適用されますので、長時間労働の是正をしなければなりません。二つ目は、建設業就業者減少の問題です。労働集約型の建設手法を根本から見直し、従来の方法に囚われない新たな建設手法を生み出さなければ、現在のビジネスの維持自体が困難となります。最後の三つ目は、属人化の課題です。これまでの主力世代の引退に伴い、従来の強みであった“多くの知・技”が失われていくため、“知・技の体系化と継承”が喫緊の課題となっています。そういった課題が取り巻く環境の中で、生産性向上は喫緊の課題です。

それらを解決するための一つの手段がデジタルです。一口にデジタルといっても、それを作る側の人だけでは課題は解決されません。同時にデジタルを使う側の人のデジタルリテラシー向上も重要であると考えていますので、デジタルを使う人に向けた教育プログラムを実施したいと考えました。

デジタル人材育成の取り組みは人事部ではなく、デジタル推進室が主導して進められているのは何故でしょうか?

安井様:

教育においてもデジタル技術やICTに関する知識や目利き力は必要です。そのためデジタル推進室が主導して進めています。ただ、これまでのICT系の教育は、ツールを入れました、やり方を教えます、という教育内容でして、スキル向上や生産性向上に対してはあまり効果が見えませんでした。

デジタルを積極的に使ってもらうためには、これからは意識改革や在り方から教育しなければ、という思いをもってデジタル推進室が取り組んでいます。

今回の人材育成プログラムを企画するにあたって、ディジタルグロースアカデミアをパートナーとして選定いただいた経緯をお教えください。

安井様:

策定にあたっては、他の企業様にもRFI(情報提供依頼)、RFP(提案依頼)を行いました。その中で必要なデジタル人材の育成体系や研修プログラムをパッケージとして保有しており、スピード感を持って人材育成着手を支援いただけるという、ディジタルグロースアカデミアさんのご提案内容がしっかり腹落ちしました。また、人と人が仕事をする上でパートナーとしての相性が良かったというところも、ディジタルグロースアカデミアさんを選んだポイントです。

今回の育成内容はどういったものでしょうか?

安井様:

今回のプログラムでは、全従業員が十把一絡げに同じ教育を受けるのではなく、世代ごと・役割ごとの特性を掴み、それぞれどういった人材になってほしいかを定義した上で、教育施策をつくって実施しております。

まず目的意識をしっかりもってもらうために、マインドセットの変革は全従業員が対象です。次に、デジタルネイティブと言われる86世代・96世代は、これから将来を担っていく人材になりますので、デジタルエリートとして育ってもらうためにデータ分析・データ活用など高度な教育を実施していくつもりです。さらに、若い世代のデジタル活用を妨げないように、管理職層に対しても、しっかりとデジタルの必要性を理解してもらうための教育施策を実施します。

開発されたコンテンツの特徴やポイントはどのようなものでしょうか。

安井様:

マインドセットやオンライン会議ツール、データ活用に関する教育プログラムを開発しています。

マインドセットの変革に関しては、コロナ下ということもあり、まずはソフトなところでアニメーションによるeラーニング形式でマインドセットの変革ができればと考えております。

オンライン会議ツールは業務の要になりますので、オンライン会議ツールをしっかり使いこなしていただくための施策も考えました。ただ使えばいいということではなく、なぜ会社がオンライン会議を推奨するのか、という意図もしっかり理解した上で、オンライン会議をしてもらえるよう、企画しております。

データ活用に関しても、単にツールの使い方を教えるのではなく、オンライン研修を通してデータ活用の勘所・ポイントをしっかりと理解いただくということを中心に、ツールの使い方まで言及していくものです。

ツールの操作方法に留まらないというところが特徴的な考え方ですね。

安井様:

そうですね。オンライン会議ツールのプログラムで言えば、会議の在り方やプロセスから見直すような教育内容です。いかに会議を効率的に進めるかを考え、「紙の資料は用意しない」「事前にデジタルで配布する」「事前に資料をしっかり読み込み、会議では議論をすべき箇所にフォーカスする」ことによって、会議を5分・10分前に終わらせるということを実践していきたいですね。

最近だと自動文字起こし機能などもありますので、聴覚に障がいがある方も会議に参加できたり、その場で議事録作成をしたり、会議中に資料を共有しながら書き込んだりと、そういった効率的な会議のやり方を教育していきます。

デジタルツールの機能や使い方ももちろん大切ですが、それだけでなく、会議の進め方などのビジネススキルのところまで含めた複合的な育成ではないと生産性向上はあり得ないと考えております。

デジタル人材の育成による最終的に目指すゴールはどのような状態でしょうか?

安井様:

一つは、デジタル技術をつかった「革新的な生産性向上」です。デジタルを使っただけで生産性が向上する訳ではないですが、やはりデジタルは生産性向上に非常に関係しています。そして、デジタルのポテンシャルをしっかりと理解した上で、今の本業である建設業のビジネスモデルの変革や、新規事業の創出まで持って行きたいと考えています。

今回開発されているプログラムの全社展開はまだこれからという段階かと思いますが、関係者の方などの反応が得られていましたら、お教えいただけますでしょうか。

安井様:

マインドセットの変革の教育コンテンツであるアニメーション教材は、最近YouTubeなどでも使われているVYONDを使ったアニメーション動画であり、親しみやすく理解しやすいという声を聞いています。

今後のデジタル人材育成の展望をお教えください。

安井様:

この先は、システムの市民開発が進んでいくと考えています。プロでないと作れないものはもちろんプロに任せますが、システムを欲している方が自分の一番欲しいと思うものをスピーディーに作れるので、市民開発スキルを身に付けてもらいたいと考えています。

まだまだ全従業員向けに市民開発向けの教育をしている会社は少ないと思われます。その中で御社が今後、全従業員向けに市民開発の教育を進めていくというのは、デジタル人材育成に力を入れていらっしゃることが伺えますね。

安井様:

そうですね。また開発したシステムが野良プログラムにならないよう、しっかりガバナンス・統制を利かせてモニタリングをしながら、昔のEUC(エンドユーザーコンピューティング)の二の舞にならないよう気を付けながら進めていきたいと思います。

最後に、教育プログラムのパートナーとして、ディジタルグロースアカデミアを選んでよかった点をお教えください。

安井様:

単に請負としてではなく、伴走者として一緒に考えていただけたことが非常によかったです。DXレポートにも書かれているように、発注者・請負という話ではなく、対等な立場で一緒に考えていく、ということを実現できる会社がディジタルグロースアカデミアだと思います。

また、コンサルティングというコンセプチュアルなところだけではなく、多くの教材を作成されていて、ノウハウもスキルもあるので、アウトプットが非常に速かったです。動画作成の時も、会話をしながら「ちょっと作ってみたんですけどこんな感じでどうですが」と、小出しでアウトプットしていただきました。ある意味教育のアジャイルや教育のDevopsというものを実践されているのかなと思います。

コンサルティングだけだと、枠組みだけ決めてあとは他のベンダーさんに任せてください、と非常にレスポンスが悪かったりするのですが、動画作成まで伴走いただいたところも御社を選んでよかったと思います。

倉形様:

ディジタルグロースアカデミアさんは考えを押し付けるというよりも、一緒に考えていただける会社でした。例えばプログラムの概要文を、「見てもらう」気にさせるため、ユニークでキャッチーな文言にするなど、柔軟な対応をしていただけたので、面白い取り組みが出来たと思います。

川本様:

ツボをしっかり抑えてくれているなあ、という印象でした。こちらがやってほしいところを理解して、様々なアイデアを出していただきました。一緒に作っているという感じがして、安心感がありました。こちらが意見をだしたらそれもしっかり聞いてもらえて、その上でディジタルグロースアカデミアさんの回答を頂ける、というプロセスを踏んだことで、新しい見方・考え方を発見できるかなと思っております。

本日はありがとうございました。

【編集後記】

今回のインタビューを通じて、DXにおけるマインドセットの変革の重要性を感じました。デジタルと聞くとプログラムを書いたり、ソフトウェアを使いこなしたりするというイメージがまだまだ持たれています。しかしながら、デジタル変革のための教育といっても、ただデジタルツールの使い方を教えれば良いというものではなく、なぜそのツールを使うのかという背景や利点の理解を深めたり、そもそもの業務のあり方から見直したりするということが、生産性向上につながっていくのだと感じました。

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