Columnコラム

DXの事例を紹介!DXを成功させるポイントなどもわかりやすく解説:DXコラム

更新日:2022年10月11日

DX推進に成功している多くの企業では、業務の効率化によって人手不足や労働環境の改善、顧客満足度の向上を達成しています。
海外だけでなく、日本においても多くの企業がDX推進に取り組み、成功事例を築き上げているのです。
本記事では、さまざまなDX成功事例をわかりやすく解説していきます。
今後のDX実現に向けて、ぜひ参考にしてみてください。

DXとは

DX推進・DX導入といった言葉は、「IT化」とは意味が異なります。

IT化・IT導入は、これまでのビジネスにおける連絡手段が電話や手紙だったのが、Eメールやチャットツールに置き換わったのが典型的な事例です。

一方でDXとは、自社に留まらず人々の生活全般に視野を広げて長期的にデジタル化を目指していく取り組みのことを言います。

DXは何の略か

DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略語です。

「Transformation」の中に「X」が入っていないにもかかわらず、「DX」と表記するのには以下のような理由があります。

  • 「DT」というプログラミング用語が存在するため紛らわしい
  • 「Trans」の訳は「交差する」という意味
  • 「X」というアルファベットそのものが交差している

こうした背景から、Digital Transformationの略語が「DX」と決定されました。

DXの定義

Digital Transformationとは「デジタルによって生活やビジネスをより良く変化させる」ことを表す言葉です。

例えば、ひと昔前までは自分が気になった風景は写真に撮って印刷し、アルバムに保管していました。それが携帯電話の写メに置き換わってデジタル化したことをIT化と呼び、SNSでそれらを発信し世界中の人々とシェアするという社会的な影響をもたらした文化変革が、DXと捉えられます。


DXによって、ビジネス面では業務の効率化や生産性の向上、従業員のワークライフバランス向上による満足度や生産性の向上などを目指しています。

日本のDXの成功事例

日本は世界デジタル競争力ランキングにおいて年々低下傾向にあります。しかし、海外企業に評価され活用されるような改革に成功した企業も、多く存在しています。

ここでは、以下5つの国内の企業に絞ってDXの成功事例をみていきましょう。

日本交通

日本交通は、AI配車を開発することでDXを実現したタクシー・ハイヤー会社です。

従来よりタクシー会社では、以下の課題を抱えていました。

  • 時期や地域ごとに異なるタクシーの需要を把握できない
  • 適切な場所に配車できず稼働率を上げにくい

こうした課題を解決するため、AIによって以下のデータ分析ができるシステムを開発したのが日本交通です。

  • 事故や遅延などの交通状況
  • 全国で行われるイベント情報
  • 気象状況
  • 地域
  • 時間

上記のデータ分析により、タクシーの需要予測が可能となりました。結果、需要のある地域・時間帯に合わせた配車ができるようになり、稼働率を上げることに成功しています。


また、従来タクシーの配車を依頼するには、タクシー会社に電話する必要がありました。そこで、乗車したい場所・時間とタクシー会社の指定をするだけで配車できる「GO」アプリの開発と普及を実現し、スマホ時代において、顧客満足度も向上しています。

ファミリーマート

大手コンビニの1社であるファミリーマートでは、以下のような課題を抱えていました。

  • 店舗運営のコスト
  • オペレーションの負荷
  • 非対面決済導入が進まない

そこでファミリーマートが進めたのが、無人決済システムの導入でした。

無人決済システムは、以下の流れでスムーズに決済できる仕組みとなっています。

  • 消費者が手にした商品を店内のカメラでリアルタイム認識
  • 購入を決めた消費者が決済エリアへ
  • ディスプレイに購入品の内訳・金額が表示
  • スマホや電子マネーで決済

こうしたシステム開発により、省人化やコスト削減、非対面決済を実現しました。消費者側も待ち時間なく買い物を済ませられるため、利便性向上により顧客満足度も上がっています。

トライグループ

「家庭教師のトライ」をはじめとする教育事業を手がけているトライグループでは、教育において以下のような課題を抱えていました。

  • 生徒の習得効率を最大限に高める必要がある
  • 習熟や演習段階における生徒のケアに集中すべきである

オンライン学習が普及する前から映像学習サービスに目を付けていたトライグループは、近年、中高生向けに以下の教育DXを実現しました。

  • 無料かつリモートで授業が受けられる映像授業サービス「Try IT」の開発
  • 過去の生徒の学習傾向を分析し、テスト前に効率よく学習できる仕組みを構築
  • オンライン授業に特化した教室を設立
  • オンライン授業中にスマホをシェイクすると生徒が講師に質問できる仕組み開発

スマホやタブレットにも対応したため顧客の幅が広がり、会員登録数は100万人を超えています。

日本郵便

物流業界大手の日本郵便では人手不足の現代において、山間部地域における配達の負担を特に大きな課題としていました。

こうした課題を解決するために、ドローンによる配達実験を実施し、通常では20分近くかかっていた配送業務が、ドローンの活用により10分程度で完了することがわかりました。今後同様のドローン活用を実施し、業務効率化を目指します。

鹿島建設

建設業界大手の鹿島建設では、建設業界の後継者不足を大きな課題としていました。

この課題に対して鹿島建設は、AIやロボットを活用することで、建築DXを実現しています。

  • 作業の半分はロボットに任せる
  • 管理の半分は遠隔で行う
  • すべてのプロセスをデジタルに

先端テクノロジーを活用し、複数の機械が自律的に施工を行うシステムの開発を進めました。ダム現場での実証実験の結果、自動化に成功し、建設業の担い手不足をDX推進により解決に導いています。

海外のDXの成功事例

世界デジタル競争力ランキングでTOP10入りすることの多いアメリカをはじめとした、多国籍企業の成功事例をみていきましょう。

Netflix

動画配信サービスを手がけるNetflixは、もとはDVDのオンラインレンタルサービスを行っていました。

このDVDレンタルでは、本数制限なし、延滞料金・送料・手数料全て無料という定額制のサービスでした。

デジタルツールの普及に伴い、動画配信サービスという新たなビジネスモデルに転換してから、DVDレンタルサービスは停止となっています。しかし、それまでの顧客データを活用し、レコメンド機能の設置やデータ分析の駆使により、顧客一人ひとりのニーズに合わせた動画を表示することに成功しました。

このシステムによって、Netflixは利用し続けられるプラットフォームの1つとなり、現代においては世界中に1億人以上の顧客を持ちます。

Domino's Pizza

宅配ピザチェーン店のドミノピザでは、注文が遅れることが日常茶飯事となっていた課題を解決すべく、デジタル技術を用いてさまざまなシステム開発を行ってきました。

Domino's Tracker®ピザの注文・焼き上がり・配達の準備などの進捗をリアルタイム共有
ピザプロファイルお気に入りの注文情報を5クリック(約30秒)で記録。次回の注文がスムーズに
AnyWareどこにいても、どの端末機器からも注文ができる

進捗を把握できること、電話を使わずスムーズな注文が行えることで、顧客のストレス軽減に成功しています。

今では、スマートウォッチ、Twitter、Slack、スマートテレビ、Amazon Alexa、Facebook Messengerなど様々なデバイスからピザの注文ができ、幅広い顧客層に対応しています。

Amazon

Amazonでは、経営理念である「地球上で最もお客様を大切にする企業」「地球上で最も豊富な品揃え」の実現を目的に、早くからDXに着手していました。

会社全体でビジョンやロードマップを確立し推進していく必要があるため、まずはDXによってどのような価値を生み出せるのかを会社全体がイメージしなければ進められないでしょう。

具体的な施策として、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 1クリックですぐに購入完了する「今すぐ買う」ボタンの設置
  • カスタマーレビューやレコメンド機能の設置
  • 注文履歴から購入の多い商品を機械学習で分析。顧客住所に近い倉庫の在庫を増やし最短即日のスピード配送

こうした施策によりユーザーにとってAmazonは重要な存在となり、世界的な変革を起こした企業であると言えます。

Nike

スポーツブランドのNikeにおいてもDXが進められています。なかでもモバイルアプリを活用したデジタル施策に力を入れ、さまざまな顧客ニーズに合わせたサービスを展開しDXを実現しています。

SNKRS Stashスマートフォンの位置情報で限定商品へのアクセスが可能に
Shock Dropアプリや最寄りのNike Storeで即時に購入可能
SNKRS新作や限定商品をアプリで購入可能
新商品のストリーミング配信の配信により新たな購買体験を提供
Nikeネットでシューズの購入が可能
30日以内・未使用品であれば、無料で交換・返品対応
NTCトレーニング動画の提供
ワークアウトの記録
Nike Fitスマホでスキャンした自分の足に合ったシューズがレコメンドされる
アプリに保存された情報を、オンラインや店舗で購入する際に活用可能

例えば、NTCを利用しワークアウトを行うユーザーが、ランニングの距離やタイムなどパフォーマンスが可視化されると、トレーニングを続けるモチベーションが上がります。

こうしてユーザーのワークアウトが習慣化するほど、Nikeの関連商品の売上にもつながるという仕組みです。

アプリで消費者の居住地や、どのような商品に興味があるか、何のスポーツに取り組んでいるのか、といった顧客情報のデータを分析することで、店舗や商品の配置を最適化できます。

Uber

アメリカのテクノロジー企業であるUberは、タクシーを利用する顧客側とタクシー会社側
双方の課題をデジタルによって解決をはかりました。

顧客の課題必要な時にタクシーがつかまらない
タクシー会社へ電話がつながらない
タクシー側の課題上記顧客ニーズにうまく応えられない
スムーズに顧客が見つからず稼働が上がらない

上記課題を解決するためにUberが開発したのが配車アプリで、以下の手順を踏むだけでスムーズな配車が可能となりました。

  • 顧客が配車アプリで配車を依頼
  • 近くにいる空きタクシーに依頼通知が飛ぶ
  • 通知を受けたタクシーがすぐに顧客の元へ向かう

今では世界中にサービスが拡大しており、タクシーを求める顧客と、顧客を求めるタクシー側のマッチングを実現しています。

DXの導入事例を種類別に解説

ここでは、以下の種類別にDX導入事例をみていきます。

社内DX

社内DXの導入成功事例としては、主に業務の自動化やペーパーレス化が挙げられます。

例えば、既存の紙書類をデータ化するためにはスキャン作業が発生しますが、スキャンした書類をさらに保存するという作業が従来では必要でした。

こうした課題に対しては文書管理システムを導入することで、紙書類のデータ化、保存、管理までを統合して行えるようになるため、無駄なく一気にペーパーレス化を進められます。

文書管理システムがあれば、時間や場所にとらわれずに書類にアクセス、つまり検索性の向上により業務効率のアップや顧客対応業務のスピードアップも達成できます。また、古い書類を引っ張り出してしまうというミスや、書類が持ち出されてしまうというリスクの軽減にも繋がる変革と言えるでしょう。

自治体DX

DXを活用した自治体の取り組みとして、AIチャットボットや電子申請はさまざまな自治体で実施されていますが、デジタル技術を用いた販促施策も一部の自治体では行われています。

例えば愛媛県では、販促動画の配信、視聴データの分析などのデジタルマーケティングを2018年から推進してきました。そのため、新型コロナウイルス感染拡大の影響で厳しい経営を強いられている県内事業者の支援も、スムーズに進んでいます。

楽天市場に開設した県産品の販売サイト「愛媛百貨店」で販促キャンペーンを実施し、1億円もの売り上げに繋げたのが、大きな成功事例と言えるでしょう。

蓄積してきた販売履歴や顧客情報などのデータを分析、出品内容を工夫し、顧客の属性と情報配信の中身をマッチさせる施策で、生産者支援の課題を解決しました。

製造業DX

製造業においても、続々とDXが進められています。

以下は製造業界においてDX推進が成功した事例の一覧です。

ダイキン工業株式会社工場のすべての設備をネットワークでつなぎ、情報収集の標準化を進めるための情報基盤である『工場IoTプラットフォーム』を整備
株式会社クボタ3Dモデル・AR機能を活用した故障診断ができる革新的サービス『Kubota Diagnostics』をリリース
株式会社今野製作所自社の業務プロセス、エンジニアリングプロセスにおける社内連携体制を可視化し売上を約2倍にした『プロセス参照モデル』

ダイキン工業株式会社

空調機器メーカーのダイキン工業株式会社は、製造業をDXすること、すなわちデジタルファクトリーの実現に成功しました。

大阪の堺に設立した工場のすべての設備をネットワークでつなぎ、製造現場のデータを発掘、それらのデータを見える化し分析を進めるなど、データを活用し製造ラインの生産性の向上のための『工場IoTプラットフォーム』を整備したのです。

このシステムは、海外でも広く使われています。

中小企業のDX導入事例

中小企業も、デジタル技術の導入によりDX推進に成功した事例があります。

ここでは、2つの中小企業の成功事例をチェックしてみましょう。

株式会社NISSYO

株式会社NISSYOは、主に変圧器の製造を行っている企業で、従業員150人ほどの中小企業です。

NISSYOでは、少子高齢化に伴う将来的な人手不足を大きな課題としていました。

そこで以下の施策を打ち立て、DXの導入と成功に繋げました。

  • 全社員にタブレット端末を配布
  • 設計図を全てオンライン上で管理しペーパーレス化
  • 生産現場でのloT導入

NISSYOでは半年に一度、企業の経営計画に沿った目標を社員が設定します。そのため、社員が経営計画に注目する機会があることによって、すべての社員が企業の方向性を理解している環境であると言えます。

DX成功の秘訣の一つには、企業内でDXに関する情報を共有することが挙げられるため、社員による目標設定の習慣はDXの成功に繋げやすいものであったと言えるでしょう。

株式会社アペックス

株式会社アペックスは、物流事業を主とした中小企業です。

物流業界では、年間労働時間が全産業平均より月30-40時間も長く、労働環境の悪化や慢性的な人手不足が大きな課題でした。

そこで株式会社アペックスでは、以下の施策を実施しました。

  • 掲示板・作業依頼・メールなどの管理を統合型コラボレーションツールの利用で一元化
  • 乗務員点呼にIT点呼機器を導入

こうしたデジタルツールを活用することで労働環境の改善をはかり、さらには賃金の改善に繋がることで、従業員の満足度が向上、効率化へ繋げることに成功しています。

DXを成功させるためには

DXを成功させるためには、以下3つのポイントを押さえておきましょう。

目的を明確にする

DXを成功させるためには、組織全体で目的を明確にする必要があります。

DXによって従業員の業務負担を減少させるためには、ITツールを導入するだけでは意味がありません。ITツールを活用したうえで従来の業務プロセスを変え、実際に業務工程の短縮を達成するところまで実現して初めてDXに成功した、と言えます。

業務工程の短縮、という目標を達成していなければ、余計なコストをかけるだけで終わってしまいます。

DXを実現した後に成し遂げたいことを明確にしておけば、適切なステップを踏みながら進められるはずです。

企業内でDXに関する情報共有をする

企業内でDXに関する情報共有することも、DX成功には欠かせません。

経営陣がDXの必要性を理解し意識していても、従業員の意識や業務状況と一致していなければ、取り組みを発展させられないためです。

例えば、経営陣が業務時間短縮を成功させるためにITツールを導入したとしても、そのツールを扱う従業員がツールの必要性や目的を理解していなければ、適切に活用されずに時間だけが過ぎてしまいます。

まずはスムーズに情報共有できる環境を整え、経営陣と現場との意識や情報の格差をなくしましょう。

これまでの業務内容やフローの見直し

DXの成功に向けて、これまでの業務内容やフローを見直しましょう。

課題と達成したい目標が明確になっても、これまでと同じ業務プロセスを続けていては、DXには繋がりません。

例えば、書類のスキャン・保存・管理の業務が分割して行われているために余分な労働時間が発生していないか、これらの管理を一元化できないか、といったように、業務内容や流れを見直すことで必要なツールも見えてくるはずです。

まとめ

数々のDX成功事例から、業務の効率化によって人手不足や労働環境の改善、顧客満足度の向上に繋げられることがわかりました。

DX推進のためには、DX人材の育成は急務と言えます。

ディジタルグロースアカデミアでは、デジタル人材の育成体系や研修プログラムが用意されています。

e-ラーニングやコンサルティングを活用し、会社のDXを主導する人材を育てましょう。

【監修】

日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ

2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。

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