【業界別】ビッグデータの活用事例!知っておくべきメリット・デメリットも紹介
更新日:2022年11月21日
ビッグデータは、幅広いビジネスシーンで活用され注目を集めています。
ビッグデータを活用できれば、過去の膨大な実績データから傾向の分析や高精度な予測が可能です。
たとえば商品の需要予測をすることで、製造量や在庫を過不足なく管理し、業務効率化やコスト削減にも一役買います。
ビジネスシーン以外にも、行政や医療業界などの様々な分野で膨大なビッグデータが活躍しています。
目次
そもそもビッグデータとは
ビッグデータとは、人間では全体把握が困難を極める巨大なデータ群を指します。
総務省などがビッグデータをいくつかの種類に分けてはいますが、ビックデータの明確な定義はありません。
しかし、ビックデータとは一般的に以下「5つのV」を高いレベルで備えていることが特徴だとされています。
- Volume(量)
- Variety(多様性)
- Velocity(速度あるいは頻度)
- Veracity(正確性)
- Value(価値)
なお、具体的なビッグデータの内容としては、普段の生活においても利用する機会の多い以下のようなものがあります。
- ソーシャルメディアデータ(SNS)
- マルチメディアデータ(動画、音声、画像)
- ウェブサイトデータ(行動履歴、購買履歴)
- カスタマーデータ(販促データ、会員データ)
- センサーデータ(位置情報、加速度、温度)
- オフィスデータ(文書、メール、社内ツール)
- ログデータ(アクセスログ、エラーログ)
- オペレーションデータ(POSデータ、取引明細)
ビッグデータは、収集・蓄積・分析によって、あらゆるビジネスシーンで様々な成果を生み出すことが期待されています。
ビッグデータを活用するメリット・良い点
ビッグデータを活用することのメリットとして、おもに企業においてはターゲットにあったマーケティングが行いやすい点が挙げられるでしょう。
たとえばいつでもリアルタイムに商品やサービスの需要を高い精度で予測できるため、ニーズに合わせたマーケティング展開がしやすいといえます。
従来のビジネスでは、経験値や感覚に頼って現状を把握するケースも多々ありましたが、現在ではデータによってリアルタイムで状況の分析が行われ、さらには状況がひと目でわかるように可視化(表やグラフなど)までが可能となっています。
客観的な数値情報に基づいた状況把握が瞬時に可能となるため、ビジネスの成功に向けた様々な取り組みが効率的に行えるでしょう。
また、マーケティングにおいては、新商品の販売や広告活動によってどのような効果があったのか検証することが大切です。
蓄積されたビッグデータによって高精度な効果検証を行えるため、マーケティング状況を正確に把握し次のビジネスチャンスにもつなげられるのが大きなメリットです。
ビッグデータを活用するデメリット・問題点
ビッグデータ活用の問題としては、以下のようなものがあります。
- 個人情報保護に注意が必要
- プライバシーの侵害につながる可能性がある
- データの収集が難しい
収集される情報の多くには個人を特定できるものも含まれているため、取り扱いには注意が必要です。
個人情報の流出のような問題が指摘されると、企業の社会的信頼を大幅に下げかねません。
また、ビッグデータの収集と解析を行うことが、個々人のプライバシーの侵害とされる可能性もあるでしょう。
膨大なデータが必要ですが、たんにデータを集めるだけでなく、規制の遵守や個人情報保護のためのインフラ整備や運用体制の確保などの課題対応も必要です。
ビッグデータの活用事例
ビッグデータの活用事例を、業界別に詳しく見ていきましょう。
- 医療業界
- 製造業界
- 観光業界
- 教育業界
- 飲食業界
- 農業業界
- 行政関係(自治体)
医療業界
医療業界においては、DPCとNDBが代表的なビッグデータ活用事例として挙げられます。
DPCとは、患者の診断名と、その診断に対して行われた医療行為の組み合わせで分類された情報をデータとして蓄積するものです。
NDBとは、全国の医療機関の診療報酬明細書を集計したものを指します。
病気の原因や新たな治療方法を解明する医学研究のために、上記のデータが用いられます。
治療方法を解明するには大規模な臨床研究が求められ、そのためにも膨大な情報が必要となるのです。
国民のみならず世界中の人の健康を守り続けることにもつながるため、臨床研究はビッグデータを用いた大きな取り組みの一つであるといえるでしょう。
製造業界
製造業において活用されるデータ・アナリティクスは、もとは製造コストや間接費の削減に貢献するケースがほとんどでした。
しかし今では扱えるデータ量や収集範囲の大幅な拡大にともない、製造工程のオートメーション化だけでなく、ビジネス全体の変革を実現します。
日本の製造業界における代表的な企業富士ゼロックスでも、ビッグデータによって自社製品の品質とサービス改善に役立てています。
従来、コピー機が故障した場合には顧客からの申告内容に基づき作業員が派遣されてから、原因の特定と修理を行っていました。
しかしデジタル化が進んだ現代においては、常時コピー機から送られる機器のパフォーマンスデータから、故障の検知や、故障前の手当を実現しています。
作業者の派遣が必要な故障の場合であっても、故障箇所や原因が特定された状態で訪問することになるため、事前に適切な準備を済ませてから現場に向かうことが可能です。
大量のコピー機から送られるパフォーマンスデータは製造にも活用されるため、故障を引き起こしやすいパーツを特定したり、製造プロセスの改善が行われたりと、様々なシーンで活躍します。
観光業界
観光業界においては、とくに位置情報のビッグデータが活用されています。
現代はスマートフォンやタブレットの普及により、GPS機能による位置情報データが多量に蓄積される時代です。
こうしたビッグデータから、人々の行動分析を可能としています。
とくに近年ではSNS投稿に付加される位置情報や投稿内容をデータとして蓄積・分析することで、観光客の行動パターンを把握し、どの地域が観光資源と適しているかの判断材料としても使われているのです。
また、ある観光事業者はスマートフォンのアプリを活用して、観光客の混み合う時間帯や人気の高いショップや、観光客の構成(家族連れ・カップル・友人同士)を把握することで、まちづくりや観光客向けサービスの展開、広報活動などに役立てています。
教育業界
教育・学びに関連するビッグデータには、たとえば学習履歴や行動履歴が挙げられます。
これらのデータを活用し、学習の評価、成績と学習行動の因果関係の分析、学習者の問題点を抽出するのがラーニング・アナリティクスです。
こうしたデータの活用によって、表やグラフを用いた学習状況や分析結果の表示や、現在の履修状況から次に受講すべき教科を推奨するレコメンド機能、受講者の苦手領域を取り上げ効率的な学習を進めるサービスなど、個人に合わせた画期的な学習機能が搭載されているのです。
飲食業界
飲食業界においては、IDレシートやBIツールとしてビッグデータが広く活用されています。
IDレシートとは店舗のレジで商品が購入された際に記録されるデータのことで、実際に買われた商品や買った人の属性等を分析し、より効果的・効率的な販売活動をサポートします。
BIツールとは、経営面の意思決定のために日々蓄積される膨大なデータの分析結果を活用するものです。
IDレシートやBIツールの活用により、市場調査や分析が可能となるため、企業のマーケティング戦略に役立つでしょう。
農業業界
農業業界では、センサーイノベーション(ネットワーク技術とセンサー技術を組み合わせたloT)の進歩によってさらなる発展を目指しています。
農業業界において発生するデータは、環境・生体・栽培管理データに大別され、各データを効率的に集めるための技術開発が進んでいるのです。
たとえば生体データは作物そのものの状態を知ることができるため、目視や手作業での情報収集は従来より行われていました。
現在では、最新技術によって開発された糖度センサーや野外で簡単に使える生体センサーなどが登場したことで、幅広い生体データを効率よく収集できるようになり、農業業界の新たな発展が推し進められているのです。
行政関係(自治体)
行政・自治体でのビッグデータ活用事例としては、情報伝達システムの構築や日常業務の支援などが挙げられます。
たとえば兵庫県加古川市で構築し利活用されている「行政情報ダッシュボード」では、AEDの設置場所、防災関連施設、バリアフリー施設などを地図上で確認できるようになっています。
こうした情報を確認できるのは、加古川市のオープンソースのほかにも、国が管理するe-StatやRESASなどの情報も用いられているためです。
またダッシュボード上では、災害に関する情報も確認できます。
Jアラート、Lアラート、Vアラートの情報や、地域の安心・安全メールの配信も行われ、住民の生活に寄り添うためのビッグデータ活用が見受けられています。
ビックデータを活用できる人材を育成しよう
正確な顧客ニーズの抽出や業務効率化によってビジネスを成功させるために、まずはビッグデータを活用できる人材を育成しましょう。
ビッグデータを扱える人がいなければ、膨大なデータを持て余すだけになってしまいます。
DX人材育成会社のデジタルグロースアカデミアでは、ビッグデータを活用して取り組みが行われる「DX」に関する研修や、いつ・どこにいても受講できるe-ラーニングの整備から企業別コンサルティングまで、幅広いサポートを提供しています。
ビッグデータを活用し事業を成功させるための人材育成をご希望であれば、ぜひデジタルグロースアカデミアにご相談ください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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