データドリブンマーケティングに重要な15の指標とは?成功させるためのポイントも紹介
更新日:2023年2月14日
客観的なデータに基づいてマーケティング施策の計画・改善をするデータドリブンマーケティングは、昨今、多くの企業で注目されています。
世の中でIT化・DXが加速している背景から、以前に比べて企業が収集できるデータ量が多くなりました。
そのため、多くのデータが必要なデータドリブンを導入しやすくなり、注目され始めたといえます。
本記事では、データドリブンマーケティングの指標や事例、成功するためのポイントなどをまとめています。
データドリブンマーケティングの導入を検討する際の参考にしてください。
データドリブンマーケティングとは
データドリブンマーケティングとは、下記のようなデータを取得して客観的な情報から意思決定する手法です。
- ユーザーの行動履歴
- 売上情報
- ビッグデータ
客観的なデータによって消費者ニーズの予兆をキャッチしやすくなるため、競争で先手を打てるチャンスが生まれます。
また、データドリブン(data driven)は「データによって動かされる」という意味があり、ビジネスにおいてマーケティングの他に経営などでも取り入れられています。
データドリブンマーケティングの15の指標とは
ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院非常勤教授マーク・ジェフリーの「データ・ドリブン・マーケティング 最低限知っておくべき15の指標」によると、データドリブンマーケティングを進める上で重要となる指標として以下の15個が紹介されています。
- ブランド認知率
- 試乗
- 顧客満足度
- 解約率
- オファー応諾率
- 正味現在価値
- 顧客生涯価値
- 利益
- 内部収益率
- 投資回収期間
- 直帰率
- クリック単価
- トランザクションコンバージョン率
- 口コミ増幅係数
- 広告費用対効果
1. ブランド認知率
ブランド認知率は、自社ブランドがどのくらい認知されているかを測る指標です。
たとえば、「ミネラルウォーターと言えば?」と質問して真っ先に挙げたメーカーが、その人にとって第一想起されるブランド認知です。
定量的に測定できるため、わかりやすく有益な指標であるといえます。
2. 試乗
顧客が購入判断のために商品のお試しをする行為です。
「自動車に試乗した人は該当車両を購入する可能性が飛躍的に増加する」というデータのもと、お試しを定量的に測定してデータ化した指標になります。
データドリブンマーケティングとして、シンプルで合理的な指標です。
3. 顧客満足度
顧客が商品・サービスに対して満足しているかを表す指標です。
CSAT(Customer Satisfaction)と記載される場合もあります。
顧客満足度が高い購入者はリピーターになる可能性が高く、口コミや評価によって副次的効果も期待できます。
4. 解約率
既存顧客のなかから、商品・サービスを購買中止する人の割合を表した指標です。
サブスクリプションや定額課金サービスにおいては、比較的簡単に測定できます。
商品を店舗で販売してもらうメーカーに関しては、顧客データの取得が難しいため、販売代理店に対する解約率を見ます。
新規顧客獲得に労力がかかる商品・サービスのような、解約率を低く抑えたいケースで参考になる指標です。
5. オファー応諾率
ダイレクトメールをはじめとするオファーの送付数に対して応諾した顧客の比率を表した指標です。
インターネットを介したWebマーケティングでは、クリック率・コンバージョン率などで細かな指標が計測できます。
6. 正味現在価値
正味現在価値とは、現在価値から費用を差し引いたものです。
NPV(Net Present Value)と記載される場合もあります。
ファイナンス(金融・財政)の観点では、現在と将来では同じ価格でも価値が違うとされています。
そのため、マーケティングでは「将来の売上-将来の費用=将来の利益」という計算に基づき、正確な利益を算出するのです。
7. 顧客生涯価値
顧客生涯価値は、顧客獲得費用を差し引いた上で下記を考慮しながら現在価値を算出します。
- 顧客から得られる利益
- 顧客に対するマーケティング費用
- 対応費用
- 取引継続率
現在価値を算出した結果、顧客が企業にどのくらいの価値をもたらすかを表した指標です。
8. 利益
売上高から費用を差し引いたものが利益です。
誰でもイメージしやすくシンプルな指標です。
9. 内部収益率
IRR(Internal Rate of Return)とも記載される内部収益率は、キャンペーンや施策の際の投資利回りを指します。
マーケティング施策を実行した結果、どのくらいの収益が得られるのかを表した指標です。
10. 投資回収期間
累計支出と同額の累計利益が得られるまでの期間を表した指標です。
マーケティング施策にかかった費用を回収するまでに必要な期間を測れます。
11. 直帰率
直帰率とは、一般的にユーザーがwebサイトに訪れて最初にアクセスしたページから遷移せずに離脱した割合を表しています。
直帰率が高いと、ページの表示速度やコンテンツの質など、webサイトに改善の余地がある可能性を把握できます。
12. クリック単価
リスティング広告・ディスプレイ広告などで、一回クリックされるのにかかる費用がクリック単価(CPC)です。
そして、リスティング広告の場合、クリック単価は80~1,000円ほどと幅広い設定になっています。
正確に単価を把握しないと知らないうちに費用が膨れ上がる可能性があるため、注意が必要です。
13. トランザクションコンバージョン率
顧客がインターネット上で広告をクリックして、商品・サービスを購入した割合を表す指標です。
最適にリスティング広告やディスプレイ広告を打ち出し、最小限の費用から最大限の効果を得るために活用します。
14. 口コミ増幅係数
商品・サービスのwebページへアクセスされたうち、どれだけの数がシェアからのクリックによるものかを表した指標です。
口コミによる社会的影響の大きさを分析する際に使用されます。
15. 広告費用対効果
収益を費用で割って、投資対効果を測定する指標です。
各広告媒体の費用対効果を把握すると、優先すべき広告が明確になります。
データドリブンマーケティングの事例
とあるアパレルECサイトでは、専用ツールを導入してデータドリブンマーケティングを実施した結果、わずか数分の分析で購入率を大幅に改善しました。
この分析では、まず購入者がどんな行動をとっているのかを確認しています。
多くの購入者が取る行動パターンをもとに、スムーズなページ閲覧ができるサイトへと改善したところ、大きな効果が見られたそうです。
客観的なデータに基づき、顧客が快適に利用できるサービスを提供するのが重要である結果が見えた成功例といえるでしょう。
データドリブンマーケティングを成功させるためには?
データドリブンマーケティングを成功させるには、下記を実行してください。
経営層がデータリテラシーを身につける
データドリブンマーケティングを実行し成功へ導くためには、担当する部門だけでなく経営層もデータリテラシーを身につけ、手法の重要性を理解してもらいましょう。
既存の手法である程度うまくいっていた場合には、新しい施策に否定的な考えを持たれる場合もあります。
データドリブンマーケティングの実行に際し、企業全体で協力し合えるように、経営層に手法の必要性やメリットを正しく理解してもらうのが重要です。
効率的にデータリテラシーの理解を深める場合には、外部研修への参加も検討すると良いでしょう。
全社的に取り組む(社内でDX人材を育成する)
データドリブンマーケティングが適切に実行しづらい背景には、ITやDXに関する知識がない・システムを扱える人材がいないなどの要因があります。
そのため、全社的にDX人材を育成して、データドリブンマーケティングが実施できる環境を整えるのが大切です。
ツールやインフラのみが整備されても、使用する知識やスキルがないと意味がないため、まずは人材育成に力を入れましょう。
KPIツリーをしっかりと組み立てる
データドリブンマーケティングを始めるには、根幹となるKPIツリーを組み立てます。
データドリブンは多くのデータから分析する手法ですが、情報量があれば良いというわけではありません。
正確な分析をするために、自社の目的に合った質の高いデータが必要です。
そのため、自社が特に重要視するデータを明確にし、最終目標であるKGIを達成できるように正しくKPIを設計してください。
実施後は評価をして改善していく
データドリブンマーケティング実施後は、必ず効果を検証します。
PDCA(計画→実行→評価→改善)を回して、継続的な業務改善を目指しましょう。
課題を見つけ改善を繰り返しながら何回も施策を重ねていくにつれて、データドリブンマーケティングの成功率が高くなります。
データだけに囚われない
データドリブンマーケティングは、重要視したいデータがないからといって実行できないわけではありません。
類似事例を参考にする方法や、将来的なデータドリブンマーケティングへの移行を見越して施策を実行する選択肢もあります。
データばかりに捉われず、仮説も立てながら事業を進めれば新規事業にもデータドリブンマーケティングを導入しやすくなります。
まとめ
IT技術の発展やDX推進に取り組む企業が増加している背景から、データドリブンマーケティングを実施しやすい環境が整ってきました。
客観的なデータによる意思決定は、消費者ニーズの予兆をキャッチしやすく、競争で先手を打てるチャンスが掴めます。
データドリブンマーケティングを実施するためには、企業全体のデータリテラシー向上とDX人材の育成が重要です。
ディジタルグロースアカデミアでは、データ分析やDXに関する研修を実施しています。
人と企業が成長し、事業のDXを加速させるための有益な学びをサポートします。
データドリブンマーケティングに対応できる人材育成は、ぜひディジタルグロースアカデミアにお任せください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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