AI実装検定とは?S,A,B級の違いやその他の資格も紹介
更新日:2024年2月1日
2024年、AIエンジニアの需要は引き続き高まると予想されます。
実際、厚生労働省の掲載によると、LLM(大規模言語モデル)を活用した生成AI(ChatGPT等)や画像生成AI(DALL·E3等)を筆頭に続々とAI技術が生まれ続けています。
加えて、2023年1月に世界経済フォーラム(WEF)で取り上げられ、AI技術への注目が集まっている現状です。
こうした昨今、AI分野に興味はあるけれど、どのように学び、どの資格を取得すれば良いか迷っている方も少なくありません。
そこで、この記事では、取得しておきたいAI実装検定の基本から合格のポイント、さらには他のAI関連資格についても詳しく解説します。
目次
AI実装検定とは
AI実装検定とは、データサイエンスと人工知能(AI)の専門技術を評価する資格試験のことです。
特にディープラーニングに焦点を当てており、その難易度に応じて以下の試験レベルが用意されています。
- S級
- A級
- B級
ここからは、SとAの間にあるE検定、AとBの間のレベルであるG検定を含めて5つについて詳しく解説します。
S級
AI実装検定の最高峰であるS級は、AI技術の深い理解と応用が求められる資格です。
取得することで、ディープラーニングと自然言語処理(NLP)の高度な知識と実装能力を証明できます。
例えば、最新のモデルや技術について学ぶことで業界のトレンドを理解できることや、フレームワーク(PytorchおよびKeras)の活用によって研究開発プロジェクトで新しいソリューションの開発ができることなどです。
S級取得を目指すには、専門講座を受けるなどして、実装技術と理論知識の両方に磨きをかけることが大切です。
項目 | 詳細情報 |
---|---|
難易度(合格率) | 得点率70%以上(合格率は公式非公表) |
試験時間 | 60分 |
試験形式 | CBT択一式50問 |
試験費用 | 33,000円 |
試験内容(出題範囲) | ディープラーニングの様々なモデル:50題 |
試験日程 | 2022年8月1日(月)~ 2025年1月14日(火) |
A級
AI実装検定のA級は、S級に次ぐレベルですが、基本的なAIの知識と実践的な実装能力を問う試験です。
A級資格を取得するメリットは、ディープラーニングの基本的な概念と技術を理解し、適用する能力を証明できることです。
例えば、ディープラーニング実装に欠かせないプログラミング言語とライブラリの使用方法や、数列と行列、関数と微分などの概念学習により応用する能力を身につけることができます。
B級よりも広範に学習できるため、ディープラーニングのさらに高度な学習や専門的な分野へ進むための基礎を築きたい方に向いているでしょう。
項目 | 詳細情報 |
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難易度(合格率) | 得点率70%以上(合格率は公式非公表) |
試験時間 | 60分 |
試験形式 | CBT択一式60問 |
試験費用 | 一般料金14,850円、学割8,250円 |
試験内容(出題範囲) | 数学:20題 / プログラミング:20題 / AI:20題 |
試験日程 | 2022年8月1日(月) ~ 2025年1月14日(火) |
B級
B級は、AI実装検定の入門レベルで、AI初心者が基礎を学ぶための試験です。
主に、AIに関する基本的な知識と概念を幅広く理解し、その直感的な理解を深めることができます。
具体的には、AIシステムの基本的な構成要素である学習モデルと推論モデルについて学び、AIの記述に必要な基本的な数学とプログラミング言語に関する知識を得るなどです。
B級を目指す際には、機械学習の基礎やプログラミングの学習をしておくことをおすすめします。
項目 | 詳細情報 |
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難易度(合格率) | 得点率70%以上(合格率は公式非公表) |
試験時間 | 40分 |
試験形式 | CBT択一式30問 |
試験費用 | 一般料金9,900円、学割5,500円 |
試験内容(出題範囲) | 30題(AIの概要について) |
試験日程 | 2022年8月1日(月)~ 2025年1月14日(火) |
E検定とは
E検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)より認定を受けられる資格です。
主に、人工知能(AI)技術を実践的に活用するための知識とスキルが問われます。
E検定は、AI実装検定におけるS級とA級の間の水準を対象としており、AIをビジネスやプロジェクトで効果的に導入するための能力を測定します。
AI実装の深い理解と技能が求められるため、企業でAIの導入を進める担当者や、AIプロジェクトに関わる技術者にとって有用な資格です。
項目 | 詳細情報 |
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難易度(合格率) | 65%程度 |
試験時間 | 120分 |
試験形式 | 多肢選択式・100問程度 |
試験費用 | 一般:33,000円、学生:22,000円、会員:27,500円 |
試験内容(出題範囲) | 応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境より、JDLA認定プログラム修了レベルの出題 |
試験日程 | 2024年2月16日(金)~18日(日) |
G検定とは
G検定は、E検定と同様に一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)より認定を受けられる資格を指します。
AI実装検定におけるA級とB級の間のレベルにあたる資格試験で、AIについての基本知識を問うことを目的としています。
基礎とはいえ、広範な知識が求められ、AIの基本理論から応用までの柔軟な思考能力も必要です。
AIの基礎を学びたい方、より広範な理解を目指す方に最適な資格であり、データサイエンスや機械学習への関心がある人にとっては非常に価値のある選択と言えるでしょう。
項目 | 詳細情報 |
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難易度(合格率) | 60~70%程度 |
試験時間 | 120分 |
試験形式 | 多肢選択式・200問程度 |
試験費用 | 一般:13,200円、学生:5,500円 |
試験内容(出題範囲) | 人工知能(AI)とは、動向、分野の問題、機械学習の具体的手法、ディープラーニングの概要、手法、実装、数理・統計 |
試験日程 | 2024年3月8日(金)~9日(土) |
AI実装検定に合格するためには?
AI実装検定に合格するためには、以下に挙げた方法での学習がおすすめです。
- 公式教材で勉強する
- 動画教材で勉強する
- 実際にプログラムを動かす
公式教材で勉強する
AI実装検定を目指す場合、最初にするべきことは公式教材で学ぶことです。
必要な範囲が網羅され、無駄なく効率的に学べるためです。
公式教材は、検定の公式ホームページにて、B級、A級、S級と、それぞれのレベルに応じた勉強内容のリストがあります。
例えば、AI実装検定A級公式テキストでは、A級のテスト範囲に特化して学習できます。
ほかにも、確実にAIの基礎がわかる超AI入門講座や、中学生から分かるAI入門講座と呼ばれるYouTubeも挙げられるでしょう。
なお、S級においては特定の技術における実装例を自ら閲覧し、実際に動作できる環境で学ぶ必要があります。
動画教材で勉強する
学習をさらに深めたいなら、動画教材の活用が推奨されます。
動画では視覚と聴覚から情報を得られるため、理解しやすいことが大きなメリットです。
先ほど触れたYouTubeのAI実装検定公式チャンネルや、研修を提供するプラットフォームの学習コースから学びやすいものを選びましょう。
動画では教科書の知識を実際のコーディングや具体例を通じて学ぶことが可能で、検定で必要とされる実技スキルを磨くことができます。
実際にプログラムを動かす
また、AI実装検定に向けた準備として、実際にプログラムを動かす経験も不可欠です。
理論の勉強と並行して、Pythonのプログラミング言語でAIモデルを自ら構築し、動かす実践がS級に到達するまでに必要となるためです。
公式サイトや公式テキストには数多くのプログラム例があるため、コーディングを試したり、結果を分析したりすると良いでしょう。
必要に応じて、オープンソースのデータセットを活用したオリジナルプロジェクトをはじめてみるのも効果的です。
実際に手を動かし、検定に求められる実践力が身につくことで、合格への道が開けるでしょう。
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AI実装検定以外のAIに関連した資格
AI実装検定以外のAIに関連した資格を、以下の2つに分けて解説します。
- 国内
- 海外
国内
AI実装検定以外のAIに関連した国内の資格は、以下が挙げられます。
- 画像処理エンジニア検定
- 統計検定
- 人工知能プロジェクトマネージャー試験
- データサイエンティスト検定
画像処理エンジニア検定
画像処理エンジニア検定は、公益財団法人画像情報教育振興協会から認定を受けられる資格です。
主に、AIの実用化や機械学習に関連した画像処理の専門技術を評価します。
同資格は、ベーシック、エキスパートの2種類に分けられており、画像をどう捉え、処理し、解析するかという幅広いテーマが問われます。
統計検定
統計検定は、一般財団法人統計質保証推進協会が認定する資格です。
区分は、1~4級(準1級)の5種類に加えて、統計・専門統計調査士、データサイエンスにおける基礎・発展・エキスパートなどに分けられています。
そのため、データ分析および統計理論の基礎から上級知識までが試験範囲となっています。
データサイエンスにおける統計的方法を使ったアプローチやモデルの構築能力が問われるため、特にAI分野で重要とされる統計的思考やデータ解析スキルの向上に役立つ検定です。
人工知能プロジェクトマネージャー試験
人工知能プロジェクトマネージャー試験は、一般社団法人新技術応用推進基盤が認定する資格です。
AIの基礎はもとより、リスク管理、利害関係者の満足度管理、コミュニケーション能力など、プロジェクトマネージャーとしての広範囲な知識が求められます。
また、実際のAIプロジェクトで求められる要件定義や計画立案などの実践的なスキルも証明できます。
データサイエンティスト検定
データサイエンティスト検定は、一般社団法人データサイエンティスト協会による認定資格です。
検定では、データの収集やクリーニング、検証からモデル構築、機械学習アルゴリズムの適用に至るまで、一連のデータサイエンススキルが求められます。
- アシスタント
- アソシエート
- フル
- シニア
上記、4段階で構成されていることから、ビジネスインサイトを導き出す分析能力や実業務への応用能力まで問われることになるでしょう。
Pythonエンジニア認定試験
Pythonエンジニア認定試験は、Odyssey CBTの認定資格です。
主に、Pythonの基本文法、データ構造、アルゴリズム、データ分析ライブラリの利用などを、以下の3つから学べます。
- 基礎試験
- データ分析試験
- 実装試験
AI実装に直結するプログラミングスキルが問われるため、Pythonスキルを確実に証明したい技術者や求職者にとって価値のある資格試験です。
海外
AI分野の海外資格は、以下が挙げられます。
- Microsoft Certified:Azure AI Engineer Associate
- Professional Machine Learning Engineer
Microsoft Certified:Azure AI Engineer Associate
Microsoft Certified:Azure AI Engineer Associateは、Microsoftが提供する認定資格です。
主に、クラウドサービス、Azureを駆使してAIソリューションを設計、構築、展開するための専門的な知識を証明します。
- Azure AIソリューションの計画と管理
- 意思決定サポートソリューションの展開
- コンピュータビジョンソリューションの構築
- 自然言語処理技術の実践
- 知識探索とドキュメント分析の実施
- 生成AIソリューションの開発
上記の範囲で作られたAI-102と呼ばれる試験を受ける必要があります。
広範な知識とスキルを求められるものの、高いレベルのAIエンジニアを目指す方や、転職や昇進等を目指す方にとって、この認証は非常に価値あるものと言えるでしょう。
Professional Machine Learning Engineer
Professional Machine Learning Engineerは、Google Cloud認定に含まれる資格の1つです。
主に、機械学習モデルの開発から運用まで、またデータを活用した意思決定を支援するスキルを証明します。
- MLモデルのフレームワークと実装の理解
- プロジェクトのライフサイクルの管理
- データの処理、分析、可視化
- モデルの品質向上とデプロイ手法
- MLのセキュリティ、プライバシー、法規準拠
すでにAIや機械学習領域で経験を積むエンジニアだけでなく、新たに挑戦しようとしている技術者にとっても有効な資格です。
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まとめ
AI実装検定は、AI技術を実務で活用する能力を証明する国内資格です。
AI実装検定にはS級からE検定までの階級があり、実務に即した知識と技術が必要で、
合格するためには公式教材や動画教材を活用し、実際にプログラムを動かすことが重要です。
国内外にはAIに関連した他の資格もあり、専門性をさらに高めたい場合には併せてチャレンジするのが良いでしょう。
しかし、資格取得後も技術の進化に追いつくために、新しい情報のキャッチアップが欠かせません。
そのため、継続的な学習と実践を通じて、最新の知識とスキルを身につけることができる環境を整えるのがおすすめです。
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