Columnコラム

経済産業省が掲げるDX推進スキル標準とは?導入された背景や人材類型を解説

更新日:2024年11月28日

「経済産業省のDX推進スキル標準とは?」「デジタルスキル標準との違いとは?」と疑問をお持ちの方はいませんか。

DX推進スキル標準とは、経済産業省が掲げる「デジタルスキル標準」を構成する指針のひとつです。企業はDX推進スキル標準を活用することで、人材の確保や育成に取り組むことができます。

今回の記事では、DX推進スキル標準の概要や人材類型、活用方法について解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

    【基礎知識】DX推進スキル標準とは

    ここでは「DX推進スキル標準を初めて聞いた」という方に向けて、DX推進スキル標準の基礎知識を解説します。

    経済産業省が掲げる「DX推進スキル標準」

    DX推進スキル標準とは、経済産業省が掲げる「デジタルスキル標準」を構成する指針のひとつです。

    経済産業省によると、デジタルスキル標準とは「ビジネスパーソン全体がDXに関する基礎的な知識やスキル・マインドを身につけるための指針」を指します。

    デジタルスキル標準を構成する指針は、以下の通りです。

    デジタルスキル標準を構成する指針 概要
    DX推進スキル標準 全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準
    DXリテラシー標準 DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準

    引用:経済産業省「デジタルスキル標準

    以下で2つの指針の違いを確認していきましょう。

    DXリテラシー標準との違い

    DX推進スキル標準とDXリテラシー標準は、「対象者」や「狙い」が異なります。

    DX推進スキル標準 DXリテラシー標準
    対象者 DX推進人材
    (IT技術を用いて組織やビジネスモデルを変革していく人材)
    ビジネスパーソン全体
    狙い DX推進人材の採用や教育 DXに必要なスキル・マインドの教育

    以下で詳しく確認していきましょう。

    対象者

    DX推進スキル標準はDXプロジェクトの中心メンバーである「DX推進人材」を対象にしているのに対し、DXリテラシー標準は「ビジネスパーソン全体」を対象としています。

    DX推進スキル標準では、データサイエンティストやソフトウェアエンジニアなど、DX推進を推進する人材が区分されています。

    狙い

    DX推進スキル標準は、DX推進を担う人材を採用したり、教育したりする際の指針として活用されています。

    一方、DXリテラシー標準の目的は「DXに必要なスキル・マインドの教育」です。DXプロジェクトに直接関わらない人材であっても、共通言語でコミュニケーションしたり、内容を理解したりするために必要な基準として位置付けられています。

    DX推進スキル標準が設置された背景

    データ活用やデジタル技術が急速に進化する現在、企業の競争性を高めるためには「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が必要不可欠となっています。

    しかし、DXを推進していく人材が不足しており、DXの取組みが遅れているのが現状です。

    そのような背景がありデジタルスキル標準が設置され、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルが明確化されました。

    特にDX推進スキル標準はDX推進人材の採用・育成に特化しており、リスキリングの促進や実践的な学びの場の創出、能力・スキルの可視化を実現するという狙いがあります。

    DXの基本的な知識については、以下の記事を参考にしてください。

    関連記事

    DX推進スキル標準の人材類型

    経済産業省の資料での、DX推進スキル標準の人材類型

    人材類型 概要
    ビジネスアーキテクト DXの取り組みで目的設定、導入、効果検証を一気通貫で推進する人材
    デザイナー 製品・サービスの方針や開発のプロセスを策定・デザインする人材
    データサイエンティスト DXの取り組みで、データを収集・解析する仕組みの設計・実装・運用を担う人材
    ソフトウェアエンジニア DXの取り組みで、デジタル技術を取り入れた製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材
    サイバーセキュリティ サイバーセキュリティリスクの対策をを担う人材

    引用:経済産業省「デジタルスキル標準ver.1.0

    以下でそれぞれについて詳しく確認していきましょう。

    ビジネスアーキテクト

    ビジネスアーキテクトは、目的設定を行い導入し、導入後の効果検証までを一気通貫して推進する人材のことです。

    関係者をコーディネートする役割を担い、デザイナーやデータサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティと関わりながら目的実現を目指します。

    ビジネスアーキテクトを目指すためには、「ITストラテジスト試験」や「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」などの試験が特に有用とされています。

    デザイナー

    デザイナーは、ビジネスや顧客・ユーザーの視点を総合的に理解し、製品・サービスの方針・開発プロセスを策定したり、製品・サービスのありかたを設計したりする人材です。

    デザイナーは「グラフィックデザイナー」や「サービスデザイナー」、「UX/UIデザイナー」などの職種に細分化できます。

    デザイナーの種類にもよりますが、「応用情報技術者試験」や「ITストラテジスト試験」、「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」、「システムアーキテクト試験」などが知識・スキル習得に有用です。

    データサイエンティスト

    データサイエンティストは、データ活用を取り入れた業務変革、および新規ビジネス実現を目指して、データを収集・解析する仕組みの設計・実装・運用に対応する人材のことです。

    データサイエンティストは大きく「データエンジニア」、「データサイエンスプロフェッショナル」、「データビジネスストラテジスト」に分けられます。

    データサイエンティストを目指している方には、「システムアーキテクト試験」や「データベーススペシャリスト試験」、「応用情報技術者試験」などの試験がおすすめです。

    ソフトウェアエンジニア

    ソフトウェアエンジニアは、デジタル技術を取り入れた製品・サービスを提供するために、システムやソフトウェアの設計・実装・運用を行います。

    ソフトウェアエンジニアは役割に応じて、「バックエンドエンジニア」や「クラウドエンジニア/SRE」、「フロントエンドエンジニア」、「フィジカルコンピューティングエンジニア」に分けられます。

    スキル取得においては「システムアーキテクト試験」や「ネットワークスペシャリスト試験」、「データベーススペシャリスト試験」などが役立つとされています。

    サイバーセキュリティ

    サイバーセキュリティは、業務プロセスに必要なデジタル環境において、サイバーセキュリティリスクへの対策を講じる人材のことです。

    サイバーセキュリティは大きく「サイバーセキュリティエンジニア」と「サイバーセキュリティマネージャー」に分けられます。

    有用な資格としては「情報処理安全確保支援士試験」や「ネットワークスペシャリスト試験」、「応用情報技術者試験」などが挙げられます。

    DX推進スキル標準の活用方法

    それでは、DX推進スキル標準はどのように活用できるのでしょうか?

    以下で、活用方法を詳しく解説します。

    組織・企業

    組織・企業においては、DX推進スキル標準を参考にすることで、DX推進に必要な人材確保の取り組みを強化できます。

    例えば、社内のデジタルスキルがどれくらいかを可視化したり、自社の研修内容を見直したりすることが可能です。

    採用活動では、ロールの定義やスキル項目、学習項目例を参考にすることで、職務記述書を作成できるようになります。

    個人

    DX推進スキル標準は、個人にとっても有益なものです。

    例えば、DXプロジェクトにアサインされた場合、DX推進スキル標準を参考にすれば自分のスキルや不足している知識などを客観的に把握できるようになります。

    他にも、DX関連のコンテンツには様々なものがありますが、自分に必要なコンテンツを選択することが可能です。

    研修事業者

    DX推進スキル標準は、研修事業者、いわば学習コンテンツを提供する会社にも活用されています。

    DX推進スキル標準を参考にすることで、スキル習得を目指す組織・企業、および個人に向けて、必要な内容の説明や、アウトプット・実践のための機会を提供することが可能です。

    学習効果が高い研修コンテンツの提供も行えるようになります。

    まとめ

    今回の記事では、DX推進スキル標準に興味がある企業の担当者に向けて、DX推進スキル標準の基礎知識や人材類型、活用方法について解説しました。

    DX推進スキル標準はビジネスパーソンの中でも、DXに特化した人材の確保を目指す上で有効な指針です。

    社内のデジタルスキルを向上させたい企業は、DX推進スキル標準を活用して、人財育成計画を策定したり、実践的なスキルが身に付く研修を実施したりしましょう。

    ディジタルグロースアカデミアのサービスでは、DX人材の育成をサポートしています。企業の課題に合わせた提案が可能なので、ぜひ一度お問い合わせください。

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