Columnコラム

教育DXとは?導入の効果や事例などを詳しく解説:DXコラム

更新日:2022年10月05日

世界中で推進されているDXは、日本の教育現場にも導入され始めています。

幼稚園から小中学校、高等学校、専門学校や大学、学習塾に至るまで、様々な教育機関で変革が起きようとしているのです。

子どもたちが、長い学校教育を通してより良い学びを得るために、教育DXの推進は急務とされ、国をあげた取り組みが進んでいます。

教育DXとは

教育DXとは、児童生徒の学習環境や教員の教育手法、事務的業務など、学校教育の現場にデジタル変革をもたらすことを意味します。

単にITツールを取り入れること、例えば紙の教科書をデジタルに切り替えることは、教育DXとは言いません。

つまり、学習ツールのデジタル化は教育DXの取り組みのうちの1つにすぎず、教育や学習の内容が紙の教科書の時と変わらなければ、「教育のデジタル変革」とは言えません。

デジタル化を進め、その技術を活用することで、これまでにないより良い学習環境を構築していくことが求められているのです。

教育DX導入のメリット

教育DX導入には、以下のようなメリットがあります。

指導内容が充実する

教育DXが導入されるメリットの1つとして、個別指導の充実があります。

例えばデジタル教材の1つであるAIドリルは、生徒の学習進捗状況や理解度に応じて個別に最適化された問題を出題するシステムです。

簡単すぎず、難しすぎることもない問題への取り組みは、生徒の学習効率を大きく上げられると考えられています。

生徒の学習状況やレベルがAIによってデータ化されるため、教員側も生徒一人ひとりにあった指導を行いやすくなります。

教員の事務作業が減少する

教育DXを導入するメリットとして、教員の事務作業を軽減できる点が挙げられます。

生徒だけでなく、教員もデジタル端末を所持することになれば、例えば校内テストを紙面で作成する手間や採点といった作業負担の軽減が見込めます。

また、生徒ごとの学習状況もデジタルで管理できるため、宿題のチェックや紙の通知表の管理などの手間も省けるでしょう。

学習の効率化

教育のデジタル化を進めることで、生徒の学習の効率化も期待できます。

教育のデジタル化とは、従来の紙の教科書ではなくデジタル教科書やデジタル教材を使って学習を進めていくことです。

デジタル教科書では、紙の教科書の内容だけでなく音声やアニメーションなどが加わるため、より高い学習効果を得られると期待されます。

2024年の教科書改訂に向けて、文部科学省はデジタル教科書を本格導入するべく取り組みを進めており、2022年現在では全国の小中学校でデジタル教科書の無料配布による実証実験が行われている段階です。

教育DX導入の課題

教育DX導入においては、主に以下の2点が大きな課題として考えられています。

ITツールの整備の遅れ

教育DX導入の課題としては、ITツールの整備がまだまだ遅れていることが挙げられます。

教育DX推進のためには、1人1台にPCやタブレット端末が必要となり、さらにはクラウド環境も整えなければなりません。

そもそもこうした環境を整備するためには、導入初期に高額な費用が必要なだけでなく、ランニングコストもかかります。

国がどこまで費用面を負担するのかについては不透明な部分もあり、なかなか導入に踏み切れないケースもあるようです。

特に費用面の問題が解決したら、インフラ整備は急速に進むと考えられるでしょう。

指導者の知識・経験不足

教育DXの導入が進まない理由として、教員側のICTリテラシーの不足が挙げられます。

いつでもデジタル教育を進められる設備が整っていたとしても、例えば教員が紙のテストや課題を与え続けていれば教育DXは進まないのです。


ただし、学校の教員は学校教育のスペシャリストではありますが、デジタル技術の導入、活用のスペシャリストではありません。教員や職員のリテラシーを向上させるためには、デジタル端末の販売業者が開く学校向けセミナーに参加したり、DX人材育成会社の力を借りたりする外部リソースの活用も可能です。

未来の教室プロジェクトとは

「未来の教室」プロジェクトとは、経済産業省が提言する、デジタル技術を活用した新たな教育への取り組みのことです。

将来を担う生徒たちの能力を育成するために、教育改革を行っていきます。

なお、デジタルによる教育改革は、以下を三本柱として進められます。

  • 学びのSTEM化(探究・プロジェクト型学習など)
  • 学びの自立化・個別最適化(個性に対応した学習計画など)
  • 新しい学習基盤作り(ICT環境の整備など)

経済産業省は3年程度の短期の工程で、教育DX推進のためのコンテンツ開発を目指しています。時間を要する取り組みであるため、「すぐに実行できることは明日からでも実行」と早め早めの取り組みも行われています。

文部科学省が進める教育DXのプラン

小中学校・高校などの学習指導要領の改訂を進める文部科学省も、教育DXを進めています。

文部科学省の代表的な取り組みの一つに、GIGAスクール構想というものがあります。

GIGAスクール構想

GIGAとは、「Global and Innovation Gateway for All」の略で、訳すと「全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉を」となります。

GIGAスクール構想とは、以下の三本柱で改革を推進するものです。

  • ICT環境の整備(校内ネットワークの整備など)
  • ソフトの充実(AIドリルの技術実証など)
  • 指導体制の強化(教育DX人材の養成など)

なおGIGAスクール構想の目標としては、時間や距離などの制約を取り払って全ての子どもそれぞれに合った教育を提供することや、学校内における業務の効率化を図ることなどがあります。

現状では、生徒1人に1台の端末配布を達成した学校でのデジタル授業や、オンライン授業などが開始しており、今後数年で急速にGIGAスクール構想に基づいた教育DXが進むと考えられます。

高等教育のDX

2021年に文部科学省が「デジタルを活用した大学・高等教育高度化プラン(Plus-DX)」をスタートし、高等教育の現場においても、教育DXが進むこととなります。

遠隔授業の実施が余儀なくされた時期に、繰り返し学習できることや、かえって質問がしやすい環境である、といった好意的な意見が多く見受けられたことから、早急な普及を目指すことになったという背景があります。

PlusDX

PlusDXとは、大学・短期大学・高等専門学校において行われる教育DX推進のための取り組みです。

単にデジタル技術を取り入れるだけでなく、今後は全国規模で教育の高度化を目指すための施策が打ち立てられます。

これまでは通学しなければ行えなかった実験や実習も、VRを用いた遠隔受講が可能となるでしょう。

自大学だけでなく、他大学とのコミュニケーションも実現しやすいため、より大きな研究の成果が現れることの期待もあります。

教育DXの導入事例

教育DXは実際にどのように導入されているのか、以下のツール別にチェックしていきましょう

Schoo Swing

Schoo Swingは、高等教育機関、つまり大学や専門学校向けに特化した学習管理プラットフォームです。

学習データの活用で学びを可視化し、教育の最適化を実現します。

対面学習とオンライン学習体験の組み合わせを1つのツールで実現できるため、幅広い授業形態に対応可能な仕組みです。

一方的にインプットするだけでなく、双方向でのコミュニケーションが実現するためより効果的な学びを得られます。

全学生の出席情報や課題提出状況、確認テストの結果などのデータの蓄積によって、AIによる教育活動の検証や分析が行われるため、教員の負担が軽減される上に教育の質の向上も目指せます。

atama+

atama+は、塾生や予備校生向けに特化した学習システムで、全国3,100以上の塾で活用されています。

個人に合わせた専用カリキュラムが作られるため、簡単すぎず難しすぎることもない問題が用意される仕組みです。

AIを活用した学習システムのため、生徒がなぜ間違えたのか、どこでつまづいているのか、といった分析や解説まで行われます。

また、どの問題に時間がかかっているのかといった情報が講師のタブレットにリアルタイムで飛ぶため、困っている生徒をすぐに把握でき、スムーズにサポートに入れます。

人間の講師とAIでフルサポートできるのがatama+のシステムの特徴です。

Classi

Classiは、高等学校を中心に、中学校や専門学校などでも活用されている教育プラットフォームです。

全国の高校の2校に1校でClassiが導入されています。

生徒の学習状況を一元管理できるため教員間の情報共有がスムーズになり、より一貫した指導を行いやすいのが特徴です。

データ管理の負荷が軽減されるため、教員は生徒への指導やコミュニケーションに注力できます。

Google for Education

Google for Educationは、幼稚園から高等学校まで幅広い教育機関を対象としたICTツールです。

ビジネスの場でも活用されることの多いGoogleのツールは、教育DX推進にまで展開しています。

Googleドキュメントやスプレッドシート、Google meetやChatなどのコミュニケーションツールなど、Googleが元からもつツールやシステムをフル活用したものであり、世界中の教育機関で使われているのが大きな特徴です。

教育DX推進において課題の一つでもあるセキュリティ対策に関しても、Googleが元来持ち合わせているセキュリティシステムが大きな安心要素となるでしょう。

CBT

CBT(Computer Based Testing)とは、デジタルを活用して実施される試験のことです。

これまで校内テストは紙で行われることが一般的でしたが、今後はデジタル端末の活用によって採点処理の効率を大幅に上げられるようになります。

これまでは教員が生徒一人ひとりのテストを採点していましたが、その採点業務が自動化されるため他の業務や生徒とのコミュニケーションに注力できます。

また、音声や動画を用いた試験も可能となり、より多角的に生徒の学習理解度をはかれる点も大きな特徴です。

まとめ

世界中で取り組みが進んでいる教育DXが、日本でも徐々に拡大していることがわかりました。

教育DXをさらに推進させるためには、ITツールの整備や教員のICTリテラシーを高めることが何より必要なことです。

DX人材育成会社ディジタルグロースアカデミアでは、DXに関する研修が充実している上に、いつどこにいても受講できるe-ラーニングの整備からコンサルティングまで、幅広いサポートを提供しています。

教育DXを進めるためにも、まずはこうしたサポートの活用もご検討ください。

【監修】

日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ

2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。

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