社内DXの進め方や浸透させるためのポイントを紹介
更新日:2022年12月7日

新型コロナウイルスの流行によりDX推進が急速に進んでいます。
DXを実現するためには、まず企業のなかでも部門ごとに、または一部の業務プロセスの改善から進めていくことが求められています。
社内でDXの取り組みを実行し、部門ごとの変革を重ねることで、会社全体の組織やビジネスモデルの変革にもつながるでしょう。
本記事で社内DXの概要や必要性、社内DXを進めるポイントなどについてチェックし、小さなところからでもDX推進の取り組みを始めていきましょう。
目次
社内DXとは

DXとは、デジタル技術を活用し業務プロセスやビジネスのモデルの変革を行うことです。
そのために、まずは企業単位ではなく、部門単位で行える変革を検討し実現することが優先事項となります。部門のなかでもさらに一部の業務プロセスの見直しやデジタル化を進めることで、業務スピードの改善や生産性向上が見込めるでしょう。
こうした小さなところから変革を進めることを、社内DXといいます。
企業単位での新たな価値創出には長期的な視点が必要ですが、社内DXなら短期的にプロジェクトを進められるため、取り組むハードルも下がります。
社内DXは必要?必要な意味

社内DXが必要とされている背景には、以下の理由が挙げられます。
- 業務の効率化・生産性の向上
- BCP(事業継続計画)対策
社内のみで行われる小さな取り組みが、大幅な業務効率の向上や大きな価値創出に直結することはありません。しかし、部門単位の業務効率化や顧客に対して一部のサービスをシステム化するだけでも、ささやかな利便性向上によって満足度が高まることもあるでしょう。
こうした取り組みを1つ1つ行うことで、全社的なDXにつながる見込みです。
業務の効率化・生産性の向上
社内DXに取り組むのは、業務の効率化や生産性の向上のためにも必要です。
業務のデジタル化・システム化を進めることで、多くの企業が悩まされている人材不足の課題を解決しやすくなります。
たとえば、経理課で請求書や発注書などの書類をデジタル化できれば、手書きにかける時間や紙の書類管理の手間を減らせます。
こうした一部の業務プロセスをデジタル化するだけで、一人一人の負担を削減でき、部門全体の生産性向上にもつながるでしょう。
BCP(事業継続計画)対策
社内DXを進めることは、BCP対策にも有効です。
災害が起きて業務が停滞することになれば、会社の事業自体がストップします。
そうなると、商品やサービスを必要とする顧客ニーズに答えられなかったり、経営状況が悪化したりするなど多くのリスクを抱えるため、BCP対策は急務とされています。
非常事態に優先すべき業務をピックアップし、優先度の高い順に対策を行っていくことが大切です。
社内DXの進め方!ポイント

本章では、社内DXを進めるためのポイントを確認しましょう。
- 企業の改善点を把握し、目的を明確にする
- DX推進が可能な社内環境を作る
- システムを導入し、業務の効率化を図る
- 新しいビジネスモデルの構築を行う
企業の改善点を把握し、目的を明確にする
社内DXを進めるときのポイントの1つは、企業の改善点を把握しDXの目的を明確にすることです。
DXによってどのようなビジネスモデルを創出したいのか、市場にどのような価値提供をするのか、を明確にできれば、社内のどの部分からDXを進めていけば良いのかが見えてきます。
全社的なDXの目的や戦略が見えないままデジタル化を進めるだけでは、変革を目指すのは困難です。
ただし、これまで慣れ親しんだ業務を新しいシステムに変革させようとする場合、反対意見が出てくることもあるでしょう。
変化に対する恐れや、自分の仕事がなくなるのではという不安から生まれる意見でもあるため、こうした不安を払拭した上で、経営層や社員全体で、目指すビジョンを具体的・明確にすることからはじめます。
DX推進が可能な社内環境を作る
社内DXを進めるためには、DX推進が可能な社内環境を作ることが大切です。
経営層が社内DXに関する発信や研修を行うことで、社内全体でDXを進めるための意識が高まったり、必要な人材確保が進んだりすることが考えられます。
自社でDXを進める理由について社員の理解が深まるほど、よりDXに取り組みやすい環境を整えやすくなるためです。
デジタルデータやIT技術を導入し、こうした技術の活用をサポートする部門の設置からはじまり、IT人材の確保と育成を行う過程で、トラブルが発生することもあるでしょう。
プロセスを進めたりトラブルをできるだけ防いだりするためにも、経営層や社員全体で社内DXに関する知識やスキルをつけておく必要があります。
システムを導入し、業務の効率化を図る
社内DXでは、まずシステムを導入して業務の効率化を図ることが大切です。
例えば、人の手で行われている定性的な業務がある場合、自動化できるものはシステムに行わせてヒューマンエラーを減らし、社員のリソースを本来注力すべき事柄へ向けます。
具体的には、マーケティングにはCRMやSGAといったツールを導入したり、他部門と連携できるようなツールを利用し業務の効率化を図ったりするなどです。
このように業務を効率化し、社員のリソースを確保するためにも、現在の業務を洗い出して導入すべきシステムの検討を進めてみてください。
新しいビジネスモデルの構築を行う
業務の効率化を行った後は、新しいビジネスモデルの構築を進めましょう。
一部門や部分的な業務効率化だけではなく、年単位で社内全体に広く浸透させて、その先を見据えた動きがデジタル化する社会を生き抜く競争力を得るために必要だからです。
将来を見据えて動き出す場合、社外へシステムを外注するだけに限らず、IT人材の育成や教育を充実させることも必要です。
社内DXを進めていくためには、既存の業務効率を見直し、新しいビジネスモデルの構築を目指していきましょう。
社内でDXを浸透させるためには?

社内でDXを浸透させるためにできる取り組みは、まずDX研修を行うことです。
社員全員の理解を得るためには、経営トップがDXを知る必要があります。
経営層向けのセミナーに参加して、最新のデジタル技術やDX成功事例について学べると、社内での取り組みに活かせるでしょう。
社内全体で従来のやり方が変わっていくことを受け止めたり、社員の自立性・自発性を育てるために権限を渡したりする決断力も大切です。
経営層から現場の社員が目線を揃えてDXを進めるために、社員一人ひとりに経営層と同じように顧客、市場、競合などの動向や自社の置かれる状況を把握してもらうことで、自分ごととして捉えて変革に向かうことができます。
部門を飛び越えた連携を行うことにより、全社的にDX推進の取り組みが浸透するでしょう。
社内DXを推進している企業はどれくらいある?

社内DXは、アメリカを始めとした先進国では積極的に進められていますが、日本ではまだ取り組み始められていない企業が多いのが現状です。
全社的に、または部署ごとにDXを進めている企業の割合は、日本では5〜6割に対し、アメリカでは8割にものぼります。
なお、DXへの取り組みすら始めていない、という企業は、日本企業が3割強に対し、アメリカは1割強です。
日本においては、DX推進を担う人材の人数と質の不足が課題としてあげられています。
また、情報が少ないために取り組み方がわからず進められていない企業があるのも実情です。
ただし、アメリカに後れをとっているとはいっても、半数以上の国内企業がDXを進めている事実はあります。
早めに取り組み始めることで、国内で優位性を強化することができるでしょう。
補助金を利用してDX推進を行う

DX推進にコストがかかるために取り組みを始められない場合であれば、補助金の利用を検討しましょう。
DXに役立つ補助金には以下のようなものがあり、いずれも国や自治体から出されます。
- IT導入補助金2022(経済産業省・中小企業基盤整備機構)※2022年現在(2023年以降の最新情報はチェック!)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(中小企業庁・中小企業基盤整備機構)
- 中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁・中小機構)
- 戦略的基盤技術高度化支援事業
このような補助金制度によって、国をあげてDXを推し進めていることがわかります。
銀行の融資とは異なり、補助金は返済する必要がありません。そのため、システム導入のコストをできる限り抑えることが可能です。
自社のニーズや事業形態に合った補助金を選び、DX推進の取り組みを進めていきましょう。
まとめ

社内DXを進めることで、大きなビジネス変革を生み出せる可能性があります。
まずは、DX推進に必要な人材の確保や育成が大きな課題といえるでしょう。
DX人材育成会社のデジタルグロースアカデミアでは、DXに関する研修や、いつ・どこにいても受講できるe-ラーニングの整備から企業別コンサルティングまで、幅広いサポートを提供しています。
デジタル化やDXによって事業を成功させるための人材育成をご希望であれば、ぜひデジタルグロースアカデミアにご相談ください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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