DX推進するためのロードマップの作り方とは?フレームワークも紹介
更新日:2022年12月2日
企業がDXを推進していくためには、ロードマップの作成が必要です。
企業内の現状や部署ごとのタスクを明確にし、より効率的に取り組みを進めていくことが大切であるためです。
本記事では、ロードマップの作り方の手順を1つずつチェックします。
超短期・短期・中期・長期の各ステップを踏みながらデジタルツールの導入や課題の分析、人材育成を行うことで、大きな変革を生み出せるようになります。
目次
DX推進をしていく上でロードマップの作成は重要?
DXを推し進めるためにはビジョンが重要といわれますが、ロードマップを作成することも同じくらい大切です。
ロードマップ作成によって、組織や社員が優先的に取り組むべき課題が明確になるためです。
タスクが明確でなければDXを進めるのにも遠回りをしてしまい、ただでさえ長期的な視点で進めなければならないDXへの取り組みが、より先送りになってしまいます。
DX推進への取り組みをはじめていても効率的に進められなければ、導入したシステムがレガシー化してしまったり、すでに顧客や市場のニーズが変わってしまったりすることも考えられるためです。
効率よくDXを推進し早期に実現するためにも、ロードマップの作成は重要事項といえるでしょう。
DX導入に向けた企業のアクション
全社的なDXを進めるためには、超短期的な目標から長期的な目標まで幅広く設定し、小さなものから1つ1つ達成していく必要があります。
本章では、どのような課題をどれくらいのスパンで取り組むべきか、チェックしましょう。
直ちに(超短期)取り組むアクション
DX推進に向けて、企業が直ちに取り組むべきアクションは、以下2点です。
- DXに関する知識を身に付ける
- 業務のデジタル化を行う
DX推進のために具体的な戦略の策定を行ったり、企業内の体制づくりを進めたりするためにも、まずはDXに関する知識をつける必要があります。
基礎知識だけでなく、より実践的な理解が必要となるため、まずはセミナーの受講や成功事例の探求などに力を入れましょう。
従来の業務をデジタル化できないか検討し、デジタルツールの導入や活用するための教育を進める必要もあります。
DX推進の第一歩のためには、まず業務のデジタル化が欠かせないため、部署ごとに適したツールを調査しましょう。
短期的対応
DX推進に向けて、企業ができるだけ早く行ったほうが良いとされる短期的アクションは、以下3点です。
- DX推進に向けた体制を作る
- 企業の現状を把握する
- DX戦略の策定
ここではまず、DXに取り組むための体制の整備が求められます。
全社でDXを進めるためには、1つの部署で取り組みを行うことは困難です。そのため、部署間の連携や情報共有が可能となる体制づくりを行いましょう。
また企業の現状を把握して課題を洗い出せれば、労働環境や業務効率を改善するための戦略を立てられるようになります。
多くの課題のなかで優先的に取り組むべき事項を見つけ、まずは明確な目標を持って社内DXを進めましょう。
中長期的対応
企業がDXを進めるために中長期的に取り組むべきアクションには、以下3点が挙げられます。
- 目標を設定する
- DX人材を確保・育成する
- 振り返り改善していく
DX実現に向けた目標を設定し、全社で共有します。
社員や経営層が同じ目線で目標を捉えることができれば、次はDX人材の確保や育成に力を入れることになるでしょう。
DXを推進するためには、DXに関して充分な知識をもち、企業の目標に合った戦略の策定をすることや改善しつづけられる人材が必要です。
DXの取り組みをはじめたら、PDCAサイクルを回すことで、より良いDX運用ができるようになります。
DX推進するためのロードマップの作り方
DX推進するためのロードマップを作るには、以下の手順を踏みます。
- ビジョン・目標を定める
- 現状を分析する
- KPI(重要業績評価指標)を設定する
- 業務のデジタル化を行う
- ビジネスモデルのデジタル化を行う
1. ビジョン・目標を定める
DXを推進するためのロードマップを作るには、まずビジョン・目標を定めます。
DXのゴールとなるビジョンを明確にしておけば、デジタル技術を活用したDXの成功像が浮き彫りになるでしょう。
ビジョン・目標を明確にするためには、経営層の一部の意見のみで進めずに、各部署からの意見を積極的に集めることが大切です。
それぞれの意見を集めた上で時間をかけて調整すれば、全社の誰もが納得できるビジョン・目標を定めることができます。
2. 現状を分析する
現状の分析とは、企業における業務に関する課題を把握することです。
競合のリサーチを行ったり、社内で従業員に向けたアンケート調査を実施したりすることで、社内の現状分析が必要となります。
また、より効率的にDXを進めるために、自社の強みを明確にすることも大切です。
社内全体で強みを強化できれば、業務効率化の推進や競合との差別化も可能となります。
3. KPI(重要業績評価指標)を設定する
作成したロードマップが正しく機能しているか確かめるには、KPIの設定が必要です。
誰もがひと目で現状を把握できるようなKPI設定を行いましょう。
短期・中期・長期といった各段階でどれだけの数値がクリアできていたら良いのかを見極め、数値設定をします。
4. 業務のデジタル化を行う
DX推進においては、アナログやレガシーシステムで行われている業務のデジタル化は必須です。
適切なデジタルツールを導入することで、どのような業務効率化が可能となるか、業務効率化によってどれだけの業務的余裕が生まれるのか、などを明確に数値化しましょう。
こうしたデジタル化は企業の全部署で一度に行うのではなく、最終的に組織の足並みが揃うように優先順位をつけて進めます。
部署単位で小さなところから少しずつデジタル化を進めることも、ロードマップ策定時に決めるべきことの1つです。
5. ビジネスモデルのデジタル化を行う
ロードマップ策定における最終地点は、ビジネスモデルをデジタル化することです。
ビジネスモデルのデジタル化では、これまでのロードマップの過程を踏まえ、どのような企業価値を生み出せるかを考え出します。
企業理念や行動方針にも踏み込んだ変革が必要な場合もあるため、ぶれずに明確なゴールに向かって取り組みを進めていくことが大切です。
ロードマップを作成するための分析手法(フレームワーク)
DX推進に向けたロードマップを作成する際に活用できるフレームワークは、企業の課題や特徴などの現状分析に必要となります。
3C分析 |
以下3点に着目
|
顧客の心理・行動に対する自社および他社の戦略を比較 自社の強みや現状における課題点を浮き彫りにする |
---|---|---|
SWOT分析 |
以下4点に着目
|
企業の内部環境および外部環境における「強み・弱み」などを分析 自社における「伸ばすべき点」や「改善すべき点」を客観的に把握 |
PEST分析 |
以下4点に着目
|
自社に影響を与える外部環境を露呈・分析することで、時代に合致した戦略策定を可能とする |
VC分析 | 主活動と支援活動に着目 | 事業工程を可視化し、個別に分析することにより、「どこに」「どのような」付加価値が発生しているかを分析 |
まとめ
DX推進のためには、ロードマップの作成は重要です。組織や社員が優先的に取り組むべき課題を明確にし、効率的にDX実現に向けて動く必要があるためです。
DX推進のためのロードマップ作成においては、まず必要なDX人材の確保・育成が急務となります。
DX人材育成会社のデジタルグロースアカデミアでは、DXに関する研修や、いつ・どこにいても受講できるe-ラーニングの整備から企業別コンサルティングまで、幅広いサポートを提供しています。
デジタル化やDXによって事業を成功させるための人材育成をご希望であれば、ぜひデジタルグロースアカデミアにご相談ください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
資料・研修動画ダウンロード申し込みページ
DXに関する様々な資料や動画がダウンロード可能です。