ある会社の現場において、パスワードを設定せずにファイルを添付して送信したり、PPAP（パスワード付きZIPファイルを送信し、その後に別メールでパスワードを共有すること）を行ったりと、セキュリティ上好ましくない事象が発生した。一見、些細な事象に思えるが、のちに大きなインシデントにつながってしまう。

顧客になりすました人物からPPAPメールを受信し、メールに添付されていたファイルを開いた結果、マルウェアに感染してしまう。その結果、顧客情報を含む大規模な情報漏えいが発生し、一時的に事業が停止。加えて、取引先に自社の社員を装うなりすましメールが送られ、被害が拡大した。ニュースでも大きく報道され、社長が記者会見でお詫びをする事態となる。

サイバー攻撃は年々巧妙化し、システム側のウイルス対策ソフトで防ぐことができないものも増えている。PPAPメールも、暗号化されたファイルが検疫できないというリスクがある。

そのため、一人ひとりがサイバー攻撃の脅威について危機感をもち、会社が求める行動を行う必要がある。クラウドストレージによるセキュアなファイル授受（機密性や完全性の担保）、シャドーIT（チャットアプリやSNS）のリスク（機密性や可用性が担保されない）、セキュリティ事故発生後に必要な対処についても解説する。