Columnコラム

DX人材育成に最適なブレンド型の学習とは?:DXコラム

  • 公開日:2022年4月28日

デジタル人材育成を「アナログ」に実施していませんか?

「わが社でも、デジタルトランスフォーメーションが重要」

そう書かれている組織の方針が紙面のみで展開され、全くデジタルではない。そんなことが社内で起きていませんか?

紙の資料による展開にも一定の効果があるため、すべて否定するわけではありませんが、DXを推進しようとする手段が何の疑問も持たれず全てアナログであり、デジタル化されないという皮肉な事態が身近にみられる組織も多いでしょう。

これはDX人材育成においても同様です。

コロナ禍に端を発するオンライン会議の定着により、一同が同じ場所に会する集合研修から、オンライン研修への変化は増えているものの、全員が同じ時間を抑えなければならないのは変わらず。更にはテキストも紙ということもまだまだ残り、これでは、単に物理的な会議室がオンライン会議室へ変わっただけです。

いや、わが社はeLearningを導入している、学ぶ手段もデジタル化しているという方も多い事でしょう。

デジタル関連や、ビジネススキル関連などから幅広く、数千を超えるコンテンツをコンテンツが、一人当たり月額千円程度から視聴し放題というeLearningのサービスも増えています。

確かにeLearningはオンライン研修と比べ、自分に合わせたコースが選べることや、受講時間を強制されずに自由に選べること、等倍速や倍速再生・重要なポイントは繰り返し受講出来るなど、数々の利点が挙げられます。

こうして、研修をeLearning化することが、人材育成のデジタル化に成功したと言えるのでしょうか?

導入しても見てもらえないeLearning

残念ながら、eLearningの導入だけでは、却ってオンライン研修よりも効果が落ちる事態が多く起きています。

定額制で膨大なコンテンツ数のeLearningを導入した組織が決まってぶつかる壁が、「導入したのはいいが、見てくれない」という事象です。

人事や教育部門など、導入担当者の方は「数千もコンテンツがあり、どんな人にも合った内容があり、喜んでもらえるはずなのに」と首をかしげている事でしょう。

ここに誤解があり、eLearningに大量のコンテンツが容易されたとしても、残念ながら大半の従業員は受け身であり、自ら選んで学ぶということをまず行わないのです。

「日本人は勤勉、学習好き」という感覚を持つ方も多いかもしれませんが、それに反するような調査があります。

「勤務先以外での学習や自己啓発について、日本は「特に何も行っていない」が46.3%で、14の国・地域で最も高い。近隣の中国は6.3%、韓国は12.3%。2番目に高いニュージーランドの22.1%と比べて24.2ポイントも差があり、断トツで自己研鑽していない。」(引用元:パーソル総合研究所 APACの就業実態・成長意識調査)

日本人の半数近くである日ごろから学習・自己啓発を行っていない人が、会社から大量のコンテンツを提示されたとしても、まずはアクセスしない人が大半でしょうし、アクセスしたとしても次の感情は「何を見たらよいか分からない」という困惑でしょう。

学ばない日本の社会人を強制的に学ばせるという意味で、オンライン研修を含む集合研修でなかば強制的に従業員の時間を抑えるというやり方は、これまで日本のビジネスパーソンに最適化されてきた結果なのかもしれません。

さらには、eLearningは学習したとしても、研修と異なり、アウトプットの場が少ないので知識の身体化が進まなかったり、業界や個社事情、受講者個人の事情を踏まえた「刺さりやすい」学びを行うことが難しかったりといった難点がまだまだ見られます。

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研修/eLearning 双方のメリットを備えた、ブレンド型の学習

DX人材育成と言っても、eLearningは使わずにオンライン研修を含む集合研修で続けることが、学ばない日本人に学んでもらうためにはこれからも最善の方法なのでしょうか?

そこで、eLearningを十分に活用しつつも、参加意欲を高める一つの解決方法があります。

eLearningとオンライン研修を組み合わせ、双方の利点を取り入れた「ブレンド型」の育成手法です。

ブレンド型とは、eLearningで各自インプットを行い、その後、グループワーク主体のワークショップを実施するというものです。

ブレンド型の学習形態の特徴と利点を、オンライン研修やeLearningと比較して以下の表にまとめました。

  オンライン研修 eLearning ブレンド型
特徴 オンライン会議ツールを用いて、数時間~数日、受講者の時間を抑えて同様の講義やグループワークを実施 eLearningのサービスを用いて数千コンテンツを配信、受講者は好きなコンテンツを好きな時間、好きなだけ学習 eLearningで必要なインプットを行った後、オンライン会議ツールを用いてグループワーク主体のワークショップを実施
学習への参加 〇 業務内の固定の時間を抑えて確実に参加させられる × 推奨しても自主的に学習する人は少数 〇 ワークショップは固定の時間を抑えて確実に参加。それに必要なインプットとして、eLearning受講へ高い意識付けが生じる。
業界・企業特性への
最適化
〇 個社ごと、あるいは個人ごとの文脈を抑えた、刺さりやすい内容にすることが可能。 × 個社ごと、個人ごとの文脈に合わせられず、自分ごとにさせづらい 〇 ワークショップにて個社ごと、個人ごとの文脈を抑えた刺さりやすい内容にすることが可能。
受講者のレベルに
合わせたインプット
× 受講者内にレベルの差がある場合、均一な内容を実施することで、退屈または付いていけない人を生じさせる 〇 個人のレベルに合わせたコンテンツを選択しつつ、等倍速や倍速再生など、理解度に合わせた受講が可能 〇 等倍速や繰り返しの視聴、倍速再生での再生など、理解度に合わせた受講や、ワークショップ後の振り返り受講が可能
アウトプットの
有無や量
〇 グループワークや演習を設けることで、個々がアウトプットを行い、インプットを身体化出来る × アウトプットはないか、あってもテストやレポート提出など簡易なものとなり、受講者間で相互に学びを咀嚼する場が取れない 〇 グループワークや演習を設けることで、eLearningのインプットを身体化出来る
学習時間 × 個々の共通の時間をまとめて抑えなければならないため、調整が難しい 〇 各々が好きな時間に受講できる △ eLearningは各々が好きな時間に受講し、ワークショップだけ時間を揃えればよい。

上の表の通り、ブレンド型はオンライン研修とeLearningの利点を取り入れ、学習への参加を確実なものとしつつ、学習の効果を高める、これからの時代で求められる学習形態であると言えます。

デジタル領域は興味のある人、ない人によって学習前の理解の度合が異なることが多く、受講者のレベルに合わせたインプットが特に必要な領域です。加えて、次々に新たな技術や技術の適用事例が生まれている変化の速い領域でもあるため、業界や企業の背景を踏まえて、学習の内容も常に新たなものに更新していかなければなりません。

そうした点も、DX人材育成がブレンド型学習に特に向いている理由です。

ブレンド型学習のメリット

上記の内容以外にブレンド型学習のメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • 受講者同士の交流が活発になる
  • 質問ができる
  • 対面のみで行うよりもコストを削減できる

受講者同士の交流が活発になる

ブレンド型学習では、オンライン会議ツールを使ったグループワークによって、受講者同士の交流が活発になるというメリットがあります。

受講者同士がお互いの考え方や知識を共有することにより、新たな発見や気づきを得られて学習効果が高まります。また、ワークショップ中に講師が受講者の理解度を確認し、必要に応じて補足説明を行うことも理解度の向上に繋がるでしょう。

また、受講者同士の交流が活発化することで、孤独な学習とならずにモチベーションの維持も期待できます。

質問ができる

ブレンド型学習は集合研修と同様に、受講者と講師との間で質疑応答の時間が設けられるため、受講者は理解できない点を学べます。また、講師は受講者の学習理解度を確認しやすくなるのも利点です。

オンライン学習でもビデオ通話やチャットを使えば、受講者からの質問に講師が答えることもできます。そのため、ブレンド型学習はオンライン学習においても、受講者と講師のコミュニケーションを促進し、学習効果の向上が期待できます。

対面のみで行うよりもコストを削減できる

ブレンド型学習では、対面型学習だけの場合よりも会場費や交通費などの費用を安く抑えられるのもメリットです。

本来、対面型学習では研修会場の用意にかかるコストや会場までの移動コストといった費用がかかります。何度も繰り返すとコストがかさむことで、投資しにくいといったことがおきます。

ブレンド型学習は、初期投資としてインターネット環境とデジタル端末だけ用意できればオンライン上でコミュニケーションをとりながら研修を実施できるため、何度も繰り返しかかる費用を抑えられるでしょう。

ブレンド型学習 成功のポイントは

ブレンド型の学習にすれば、何でも成功するというものではなく、ブレンド型の学習特有の3つのポイントを抑えて実施をする必要があります。

  1. 業界、個社の文脈を押さえた学習への動機付け
  2. eLearningとワークショップの一体化
  3. ワークショップはアウトプットだけでなく、インプットによる「持ち帰り」を用意する

業界、個社の文脈を押さえた学習への動機付け

対面研修やオンライン研修であれば、開始時に「なぜこの研修を実施するか」という事が説明されることがあるでしょう。

eLearningの動画の中では、業界や個社の文脈を抑えて動機付けを行うことは難しく、「なぜ学ぶのか」に腹落ちしていないと、学びに対する姿勢が前向きにならず、学習効果が低下します。

受講者を短時間集めて伝える、短い動画を作って配信するなどといった方法がありますが、強制力だけで学ばせることは避け、学ばなければ・学びたいといった動機づけを促すメッセージを伝える事を心がけましょう。

eLearningとワークショップの一体化

ただブレンド型にするために、eLearningの後にディスカッションをすればよいというものではありません。

学習の到達目標を踏まえ、eLearningにおけるインプットに沿った内容で、考え、アウトプットを行うことで学びが身体化するようなディスカッションが必要です。

ワークショップのファシリテーター(講師)の進行もまた重要となります。受講者の発表に対し、良い気付きを称賛し、新たな視点を与えるようなフィードバックを行うことが、学習効果の向上につながります。

eLearningのインプット内容に精通し、経験や実績を持つ講師が運営することが望ましいでしょう。

ワークショップはアウトプットだけでなく、インプットによる「持ち帰り」を用意する

ワークショップはグループワーク中心のアウトプットの場だとしても、参加者は自身の時間を割いて集まる以上、その場から持ち帰れるインプットを求めます。

グループワークのアウトプットによる気付きや学びも重要な「持ち帰り」なのですが、それだけでは、参加して新たに何かを身に着けたことを実感しづらいものです。参加してよかったと思わせるような、新たなインプットを用意しましょう。

インプットの内容は、eLearningの内容を補足してより理解を促すような、業界や個社に寄った事例や、最新の技術・技術の適用事例などを含めると良いでしょう。

定期的にフィードバックの時間を持つ

ブレンド型学習では、受講者と講師によるフィードバックの時間を積極的に取り入れましょう。受講者の理解度を定期的に確認することで、学習効果が高まります。

また受講者同士でのフィードバックでは、グループワークやディスカッションを通じて他者の意見を取り入れ、客観的な目を養うことで学びの精度を高められます。

このように、定期的にフィードバックの時間を設けて、多くの視点を得ながら学習効果を高められる環境を作りましょう。

マインドマップを作り学習した内容を可視化する

ブレンド型学習では、マインドマップの活用も成功のポイントです。

マインドマップは、連想ゲームのように関連する用語をつなげて書く図であり、学習で得た知識を可視化できます。これにより、受講者の理解度を高められて学習効果の向上も期待できます。

社内においてマインドマップを作成できない場合は、専門講師から作成ポイントやノウハウを学ぶのも一つの選択肢です。マインドマップは日々の業務に役立ち、従業員の生産性向上に役立ちます。

まとめ

ブレンド型学習は、オンライン研修とeLearningの利点を取り入れ、学習の効果を高める学習形態です。DX人材育成に向いています。学習の内容を更新する必要があるため、業界や企業の背景を踏まえて常に改良する必要があります。

ブレンド型学習のメリットは、受講者同士が交流でき、質問ができることで学習効果が高まることです。また、対面型学習だけよりもコストを抑えられます。しかし、受講者が動機づけられるようにしたり、学習の成果を出すための時間を設けたり、フィードバックを得るための時間を設けたりすることが必要です。

ディジタルグロースアカデミアでは、多くのお客様企業において、ブレンド型のDX人材育成を実施しております。

以下のインタビューでは、ミズノ株式会社様におけるブレンド型のDX人材育成の実施についてと、その評価について掲載しております。ぜひご覧くださいませ。

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