デジタル技術一覧!身近な例や活用するメリット・デメリットを紹介
- 公開日:2022年11月2日
日本においてデジタル技術を取り入れる企業は増加傾向にあります。
多く取り入れられている技術・サービスとしては、データ分析、クラウド、スマホアプリなどで、生活に欠かせないものとなっています。
ただし日本企業のデジタル技術の活用状況は、アメリカやドイツと比較すると少ないのが現状です。
本記事でデジタル化・DX推進に向けてトレンドの技術やメリット、活用事例をチェックし、技術導入や活用を検討していきましょう。
目次
デジタル技術一覧!トレンドの技術を紹介
近代では、デジタル技術の活用による変革を求めるDXが進められています。
DXの目的は、デジタルシフトやIT化に留まるものではありません。
デジタル技術を活用し、経営体制やビジネスモデルに変革をもたらすことを目的としています。
なおDX実現のために、主に以下のデジタル技術が注目されています。
- AI(人工知能)
- loT(モノのインターネット)
- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
- BI(ビジネスインテリジェンス)
- クラウドコンピューティング
- ビッグデータ
- ブロックチェーン
- デジタルツイン
- XR
AI(人工知能)
AIとは、機械学習やディープラーニングなどの技術により、自律的に情報処理を行うコンピューターのことです。
AIの特徴として、以下が挙げられます。
- 人間の脳をはるかに上回る精度で、人間には処理しきれない膨大なデータの高速処理を行う
- 経験に基づいて学習し、自ら最適な判断を行う
- ビジネスのあり方を大きく変える可能性がある
身近な例として、急速に発展を遂げたChatGPTやBard、Bing AIなどの会話型AIが挙げられます。
そのほか、すでに様々な分野で活用されており、今後もその活用範囲は拡大していくことが予想されています。
社会構造そのものに変革をもたらす技術として注目されており、AIを導入し活用するためにITインフラや運用フロー構築など体制の見直しが行われています。
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loT(モノのインターネット)
モノのインターネットloTとは、製造業で使われる生産機器や家電製品などのモノとインターネットをつなぐことで、たとえば以下を実現します。
- デバイスの遠隔操作
- データの自動取得
- 省人化 など
製造分野において第四次産業革命を実現するために不可欠な技術といわれているため、設備投資や運用体制の整備が順次行われています。
具体的には、生産機器の稼働状況をセンサーで監視して異常を検知した際に自動的に停止するシステムや、生産機器の稼働データを分析して故障の予兆を検知するシステムなどです。
IoTは、例に挙げた製造業だけでなく、今後も多種多様な分野で利活用の事例が広まる見込みです。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、おもにPC業務を自動化するソリューションです。
たとえば、以下のようなルーティンワークを自動化するために適したデジタル技術といえます。
- 伝票の記帳
- 請求書の作成
- 受発注の処理 など
判断や分析が必要な業務には対応していませんが、Excelのマクロのような自動処理をブラウザやアプリケーションを通して実行できます。
それぞれの業務は、人間が行うと単調で繰り返しの作業が多くミスをしやすい傾向にあるため、自動化によって業務効率の向上や人的リソースの有効活用を図ることができます。
また、複雑なプログラミングや専門的な知識が不要で、比較的簡単に導入・運用が可能であるため、多くの企業で導入しやすいデジタル技術です。
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BI(ビジネスインテリジェンス)
BI(ビジネスインテリジェンス)とは、蓄積されたデータをビジュアライズするデジタル技術です。
たとえば、以下のようなさまざまなデータを変換します。
- 経営
- 財務
- 営業
- 売上
- 人事データ など
上記のようなデータをグラフやチャートに変換し見える化することで、経営判断や意思決定を支援します。
また、顧客の属性や購買履歴を営業活動の効率化や新規顧客の開拓に活用したり、生産ラインの稼働状況や品質データから生産効率の向上や品質改善を狙ったりもできます。
このように、BIを活用することは企業のさまざまな課題の解決や新たな価値の創造につながるものだと言えるでしょう。
クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングは、幅広いリソースをオンライン経由で利用できるため、オンプレミスのような物理的なハードウェアは不要です。
代表的な機能には、以下のようなものが挙げられます。
- サーバー
- ストレージ
- データベース
- その他アプリケーション など
リソースの拡張も手間がかからずスムーズに行えるのが特徴です。
たとえば、具体的な活用事例としては、以下が考えられます。
- ビジネス:Webサイトやアプリケーションの構築・運用、データの分析
- 教育:オンライン学習、遠隔授業
- 医療:遠隔診療、電子カルテの管理
- 製造:IoT(モノのインターネット)の活用
こうしたクラウドコンピューティングを利用できると、初期費用や運用コストを削減できるほか、柔軟なリソースの利活用も期待できるでしょう。
ビッグデータ
ビッグデータとは、従来のコンピューターシステムでは処理することが困難なほど大量かつ複雑なデータを指します。
その特徴は、以下の3つのVで表されます。
種類 | 例 |
---|---|
量 | インターネット上の検索データ、SNSの投稿データ、センサーデータなど |
形式 | 数値、テキスト、画像、音声、動画など |
速度 | SNSの投稿データ、センサーデータなどのリアルタイム生成 |
ビッグデータの活用は、ビジネスの効率化や新たな価値創造につながる可能性があり、今後も活用がさらに進んでいくことが予想されます。
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ブロックチェーン
ブロックチェーンとは、複数のコンピューター間で分散管理されるデータベースのことです。
データの改ざんや消失を防ぐための仕組みを備えているため、信頼性の高いデータ管理や取引の記録に活用されています。
金融 | 送金や決済の記録、証券取引、保険 |
---|---|
製造 | サプライチェーンの管理、製品の品質管理 |
不動産 | 不動産の所有権や取引記録の管理 |
医療 | 医療データの管理、医療費の支払い |
行政 | 行政手続きの簡素化、公文書の管理 |
しかし、ブロックチェーンの応用範囲は金融業界に留まらず、新たなビジネスモデルやサービスの創出につながる可能性を秘めた技術です。
デジタルツイン
デジタルツインは、現実世界の物体やシステムの仮想的な複製を作成し、データを利用してシミュレーションや予測を行う技術です。
デジタルツインの特徴は、以下のとおりです。
- 現実世界のデータと同期できる
- 現実世界の状況をシミュレーションできる
- 状況の予測で将来のリスクを把握できる
デジタルツインは、現実世界の状況をより詳細に把握し、効率的な意思決定や問題解決を行うための新たな技術として、大きな注目を集めています。
XR
XRは、現実世界と仮想空間を融合させ、新たな体験を生み出す技術です。
XRには、以下の4つの技術が含まれます。
- 仮想現実(VR:Virtual Reality)
- 拡張現実(AR:Augmented Reality)
- 複合現実(MR:Mixed Reality)
- 代替現実(SR:Substitutional Reality)
VRゲームやARアプリ、MRを活用したビジネスツールなどがあり、教育、エンターテインメント、ビジネス会議など多岐にわたる分野での応用が期待されています。
デジタル技術を活用するメリット
デジタル技術を活用することによって、生産性の向上や高付加価値の創出など、さまざまなメリットがあります。
たとえば、中小製造業は、IoT・AI・ロボット等のデジタル技術を導入・活用することで、作業者負担の低減や単位時間あたりの生産数量増加が見込まれ、生産性を大きく高められるでしょう。
社内業務プロセス全体を見直し、従来の業務をシステムやツールによって遂行できれば、人手不足問題にも対応可能です。
作業の効率化を図れたら、余力のある人員をさらに付加価値の高い新製品開発やサービス考案などに時間を割くこともできるでしょう。
デジタル技術の導入によって、ビジネス・労働環境・生活を大きく変革できるはずです。
デジタル技術を活用するデメリット
デジタル化によってランニングコストの削減は可能ですが、導入するにはまず高額な初期費用がかかります。
初期費用に見合う利益をすぐに得られる試算を出せなければ、デジタル技術の導入の必要性を感じられないこともあるでしょう。
IT化・DX推進を見据えてデジタル技術を導入する場合には長期的な視点を持つことが必要です。
また、高額な費用をかけて導入したとしても、IT人材が不足していれば活用することは困難です。
既存業務システムの運用に手を割かれているITエンジニアが多く、組織のさらなるIT化・変革を起こすほどの業務にまで手を回せないという現状もあるでしょう。
なおデジタル技術を活用する場合にはセキュリティにも注意が必要です。
システムやツールのセキュリティ機能を整えるだけでなく、社内の従業員全員が意識的にセキュリティ対策できることが望ましいと言えます。
デジタル技術を活用するための人材確保やセキュリティ整備に向けて、組織体制の見直しやIT化に向けたチーム編成を検討しましょう。
デジタル技術を活用した身近な例
AI:電話自動応答システム
デジタル技術のAIを活用した電話自動応答システムは、コールセンターなどで広く利用されています。
同システムは、自然言語処理技術を使用して着信した電話の質問や要求に対応し、適切な応答を提供するものです。
- サービスの効率化
- 24時間365日対応
- 人員・設備等のコスト削減
などのメリットが得られます。
今後においては、より高度な応答や問題解決能力を持つ自動応答システムの実現が期待できるでしょう。
IoT:スマートスピーカー
スマートスピーカーは、IoTの代表的なデジタル技術の1つです。
音声認識や音声合成などの機能を備え、音声コマンドによって様々な家電や機器を操作したり、情報を取得したりできます。
たとえば、以下の機能が挙げられます。
- 照明やエアコン等の家電の操作
- 天気予報や交通情報等の取得
- プレイリストの作成や音楽再生
スマートスピーカー技術の利活用は、日常生活の便利さを高めるだけでなく、家庭内のデバイス間における連携も促進できるデジタル技術の代表例です。
RPA:在庫管理システム
RPA(Robotic Process Automation)は、ソフトウェアロボットを使用して、人間が行う定型的な業務を自動化するデジタル技術です。
AIと組み合わせることもでき、従来は人間が行っていた判断や意思決定をRPAに代行させることも可能です。
RPAの導入では、主に以下の効果が期待できます。
- 作業時間の削減
- 人為的なミスの削減
- 時間とミスの減少による生産性向上
- 人件費や材料費等のコスト削減
このように、RPAは業務プロセスの自動化を通じて課題解決に貢献できるポテンシャルを秘めており、データ分析や顧客対応に至るまで適用範囲も拡大が期待されています。
BI:売上管理のレポート化
また、BI(Business Intelligence)ツールを用いた売上管理のレポート化もデジタル技術を活用した身近な例です。
BIは、企業が保有する膨大なデータを収集・分析・可視化し、経営上の意思決定を支援できるため、以下のメリットが期待できます。
- レポートの自動化
- データ分析の効率化
- 新規事業の創出
データドリブンな意思決定を実現し、企業の効率化と競争力の向上を狙うなら取り入れたいデジタル技術と言えます。
【クラウドコンピューティング】勤怠管理システム
クラウド型勤怠管理システムの導入によって、従業員の就業時間を自動で管理・計算します。
就業管理や労務管理に重要な正確さや、人事担当者の作業負担軽減に大きく貢献したデジタル技術といえるでしょう。
ビッグデータ:リアルタイムな交通情報
ほかにも、デジタル技術のビッグデータを活用した例として、リアルタイムな交通情報の提供が挙げられます。
たとえば、GPSデータや交通情報を活用することにより、公共交通機関や車両の動きをリアルタイムで把握でき、以下の情報提供が可能です。
- カーナビやスマホでのルート案内
- 渋滞情報の提供
- 公共交通機関の運行管理
また、車両の走行データを収集・分析することで、事故の危険性を予測し、ドライバーに警告するシステムの開発なども進められています。
ブロックチェーン:仮想通貨
デジタル技術のブロックチェーンは、仮想通貨の取引記録を安全に管理するために広く使用されています。
透明性と改ざん防止の特性は、仮想通貨の取引の信頼性とセキュリティを高める上で役立つためです。
たとえば、取引記録を改ざんしようとすると、膨大な計算量が必要になります。
しかし、共有されている状態であれば誰でも閲覧でき、安全かつ透明な取引が可能です。
デジタルツイン:遠隔監視
デジタルツインは、物理空間のオブジェクトを仮想空間でリアルに表現する技術です。
そのため、物理空間の状況をリアルタイムで把握し、遠隔地から監視できます。
遠隔地から監視できれば、現場に赴く必要がなくなり、監視体制の効率化を実現できます。
また、遠隔監視によって異常や故障の早期発見も可能となり、トラブルの未然防止・被害拡大防止にも役立つデジタル技術です。
XR:VRゲーム
デジタル技術のXRを活用した例としては、現実世界と仮想空間を融合したVRゲームが挙げられます。
HMDを装着して仮想空間の中で自由に動き回り、SFの世界やファンタジーの世界を自由に冒険したり、恐竜やエイリアンなどの架空の生き物と出会ったりできます。
- 没入感や臨場感がある
- 現実では実現できない体験を得られる
- 文字通りの体験でより楽しめる
などのメリットがあり、今後も発展が期待できるデジタル技術です。
デジタル技術を活用する際のポイント
デジタル技術を活用する際のポイントは、以下のとおりです。
- ビジョンと目標の明確化
- データの品質とセキュリティ管理
- 管理目的に合ったツールの選定
- 既存のシステムとの統合
- デジタル技術を活用する人材の確保・育成
ビジョンと目標の明確化
デジタル技術を活用する際には、ビジョンと目標の明確化が必要です。
技術選択、リソースの割り当て、進捗の追跡、そして最終的には望む成果の達成が効率的に行えるためです。
たとえば、明確なビジョンと目標があれば、チームは統一された方向性を持ち、適切な意思決定が可能です。
また、コストとリターンのバランスを考えることも忘れてはいけません。
デジタル技術の導入は投資と考えて、目的から効果を定期的に測定し、必要に応じて修正しましょう。
データの品質とセキュリティ管理
次に、データの品質とセキュリティ管理にも目を向けておきます。
データはビジネスの貴重な資産ですが、同時にリスクも伴うものです。
データの品質が低いと分析や意思決定に誤りが生じ、セキュリティが脆弱だと外部からの攻撃や内部からの漏洩によって、ビジネスや顧客に大きな損害を与える可能性が高くなります。
加えて、個人情報や知的財産権などデータに関する法律や規制の遵守はもちろんのこと、利用者や提供者の同意や信頼を得ることも大切です。
管理目的に合ったツールの選定
デジタル技術を活用する際には、多種多様なツールから適切なものを選定します。
SNSやクラウド、AIやIoTなど、さまざまなツールがありますが、すべて使う必要はありません。
たとえば、最適なデジタル技術を選ぶためにニーズや課題を把握し、どのような解決策がマッチするかによって絞り込みます。
また、ツールの特徴や機能だけでなく、コストや導入期間、メンテナンスやサポートなども考慮すると良いでしょう。
既存のシステムとの統合
デジタル技術を活用する場合、既存のシステムとの統合が課題になることもあります。
たとえば、新しいツールを取り入れただけでは、すぐに改善が見られないなどです。
しかし、既存のシステムと新しいツールがしっかりと連携できれば、パフォーマンスの向上や作業の効率化が期待できます。
この連携を実現するためには、異なるシステムが互いに問題なく機能するように、互換性や相互運用性を確保する必要があります。
また、システムの統合には、組織やプロセス、文化などの変革も伴うことがあります。
その場合は、関係者のコミュニケーションや教育、モチベーションなどにも配慮しましょう。
デジタル技術を活用する人材の確保・育成
最後に、企業はデジタル技術を活用する人材の確保・育成に積極的に取り組む必要があります。
デジタル技術を活用する人材の確保・育成には、以下の2つのアプローチがあります。
- 外部からの採用
- 内部からの育成
外部からの採用では、デジタル技術に精通した人材を積極的に採用する必要があります。
ただし、デジタル技術は常に進化しているため、採用した人材のスキルや知識がすぐに陳腐化してしまう可能性があります。
そのため、外部からの採用と同時に、内部からの育成も並行して行うことが重要です。
人材の育成の際には、社内研修やオンライン学習などの手法を検討しましょう。
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まとめ
デジタル技術は現代社会において重要な役割を果たしており、日本でも企業のデジタル化が進んでいます。
トレンドの技術としては、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、BI(ビジネスインテリジェンス)、クラウドコンピューティングなどが挙げられます。
デジタル技術を活用するメリットには生産性の向上や新製品開発、サービスの創出がありますが、デメリットとなる高額な初期費用やセキュリティ問題、IT人材の不足にも目を向けなければなりません。
デジタルグロースアカデミアはDXに関する研修やe-ラーニング、コンサルティングなどを提供し、デジタル化に必要な人材育成をサポートしています。
まずは、IT人材の確保から段階的にスタートするためにも、ぜひご利用ください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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