業務を自動化するRPAとは?導入事例やツールを選ぶ際のポイント
更新日:2023年1月10日
RPA導入で業務を自動化することによって、効率よく業務を進めたり、コストを大幅に削減したりすることが可能となります。
既存の業務プロセスを大きく変えずに導入でき、かつ短期で効果を出せるため、すでに運用を進めたり導入を検討し始めたりしている企業が増えてきています。
本記事では、RPAの概要や導入するメリットから、実際にツールを選ぶためのポイントまで解説していきます。
自社でのRPA導入検討やツール選定のために役立ててください。
目次
業務を自動化するRPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、定型的な業務を自動化するためのソフトウェアのことです。
RPAを直訳すると「ロボットによる業務の自動化」となりますが、工場のような場所で使われるような機械のロボットではなく、コンピューター内で動作するロボットのことを指しています。
イメージとしては、コンピューター内に住むロボットがユーザーの代わりにマウスやキーボードを操作することで、人間の業務負担を減らす、というものです。
AIとの違い
RPAとAIとの大きな違いは、以下の通りです。
RPA | 教えられたことを忠実に実行する |
---|---|
AI | 実行すべきことを自分で判断する |
RPAは業務を自動化するためのシステムそのものを指し、AIはRPAのようなシステムに組み込まれ、データに基づく判断や作業の振り分けを行う機能のことを指します。
つまり、RPAは基本的には人間が設定したルールに従って作業を実行しますが、AIは膨大なデータをもとに自分で判断して作業を実行する人工知能です。
簡易的な定型業務の自動化を進めるならRPA、より高度な自立化を進めるならAIを導入していくこととなります。
RPAは意味ない?導入するメリット
RPAを導入することのメリットとしては、主に以下4つが挙げられます。
- 生産性の向上
- 業務の精度向上
- コスト削減
- 人手不足の解消
RPAは単純作業や定型業務の自動化を担うため、人間の社員が業務にかける時間を減らすことが可能です。
労働時間を減らせれば、人件費削減につながる上に、少ない人数で業務を回せるため人手不足の解消にもなります。
社員たちがこうした業務から開放されれば、顧客とのコミュニケーションや新規プロジェクト着手のようなクリエイティブな業務に時間を充てられるため、生産性の向上が期待できるでしょう。
なお、人間の作業では起こってしまいやすいケアレスミスも、RPAロボットであれば決まった動作をミスなく繰り返すことが可能です。
ミスがなくなれば修正にかける時間もなくなるというメリットがあります。
RPAの導入にはこうしたメリットがあるため、定型業務に追われている企業はできるだけ早期に導入を検討してみましょう。
RPAの導入事例│自動化できる業務
RPAを導入し自動化が可能となる業務には、以下のような特徴があります。
- 業務内容が定型化できる
- 定期的に発生する業務である
- 大量のデータ処理が発生している
- パソコンで作業が完了する
- 扱うデータがデジタル化されている
そして上記のような特徴に当てはまるものは、以下のような業務です。
- データの集計・分析
- 業務の記録、給与明細作成
- 在庫管理、発注・受注
- システムのモニタリング・メンテナンス
- 電話・メールなどの顧客対応
データの集計・分析
マーケティング部門においては、主にデータの抽出や解析が定型業務となっています。
RPAを導入すれば、例えば複数のWebサイトから自社に関連した製品の記事をピックアップし、口コミやレビューなどの豊富なデータを大量に集めシステムに自動で登録できます。
そのためマーケティング部門の社員は、データ収集や集計などに時間をかけず、データの分析や自社商品の改善案を出し、顧客フォローなどの業務に時間を割けるようになるのです。
業務の記録、給与明細作成
人事・総務部門の定型業務にも、RPAによる自動化が向いています。
- 社員の労働時間の集計
- 求人応募者の情報入力
- 人事考課表の入力催促メールを送信
- 給与明細作成
上記はあくまで一例ですが、このように一つ一つの業務をすべて自動化することが可能です。
たとえば、月末に過重労働になりそうな勤務時間となっている従業員を自動的に抽出し、対象の従業員へ自動でメールを送信します。
また、従業員の勤務情報をもとに、明細書も自動で作成が行われる上に、データ登録まで実行されます。
こうした一つ一つの業務が自動化されることにより、従業員のルーティンワークの削減に成功するでしょう。
在庫管理、発注・受注
調達・購買部門では、以下のような定型業務を自動化することが可能です。
- 受発注
- メール発注
- 在庫管理システム操作
- 仕入れ価格チェック・入力
たとえば、在庫がこれくらいになったらいくつ発注する、といったような指示を入れておくことで、すべての在庫の自動発注が実現します。
仕入れ価格も適宜調査する必要はなく、いつ・どこのデータを引っ張ってくるのか設定し、抽出した価格の入力までを指示することで、一連の作業が自動で行われます。
システムのモニタリング・メンテナンス
従来であれば、社内のシステムのモニタリングやメンテナンスにも膨大な時間を要します。
しかし、RPAの導入によって、どのような状態になったら異常と判断できるのか、シナリオを作成し設定しておくことで、自動で異常の探知や報告の通知が入るようになります。
システムデータの監視も24時間常に対応できる状態となるため、システム上で問題が起こった場合にも迅速な対応が可能となります。
電話・メールなどの顧客対応
RPAは、電話やメールなどの顧客対応も自動化します。
自然言語解析や音声解析機能との連動ができるため、カスタマーサポートに対応し、オペレーターの補佐的役割が可能となります。
回答の精度の向上のみならず、回答までの時間の短縮にもつながるでしょう。
顧客への問い合わせに対する対応に留まらず、今後の回答に必要な情報収集やレポートに必要な情報を収集し送付するといったような作業も自動化されます。
RPAツールを選ぶ際のポイント
RPAツールを選ぶときは、以下のようなポイントをチェックしましょう。
- 自社の導入目的にあった機能があるか
- 自社向けにカスタマイズする必要があるか
- 連携できるアプリケーションは何か
- サポート体制は整っているか
- 無料トライアル期間があるか
- 他の部署でも利用できるか
- 自社業界での導入実績はどれくらいあるか
- 作動形態はどうなっているのか
自社の導入目的にあった機能があるか
まずは、自社の導入目的にあった機能を備えたツールであるかをチェックしましょう。
RPAツールは対応可能な業務規模がそれぞれ異なるため、自社のタイプに合ったものを選定する必要があります。
自動化したい業務を洗い出し、導入規模を明確にした上で、RPAのタイプを決定してください。
単純作業を自動化できるツールだけでなく、複雑な業務にも対応可能なAI搭載ソフトウェアもあります。
そのためかかるコストが大幅に異なるため、必要な機能が備わっているか、逆にいらない機能が備わっていないか、複合的にチェックすることが大切です。
自社向けにカスタマイズする必要があるか
RPA導入の際には、自社向けにカスタマイズする必要があるツールかどうか、見てみてください。
カスタマイズ性が高い汎用型と、特定の事務作業を効率化させる特化型のツールがあるため、自社にはどちらが合うのか見極めましょう。
人事や経理向けに特化したツールの導入で事足りる場合と、より幅広い業務に対応するためにカスタマイズが可能なツールの導入が必要な場合があるため、比較とシミュレーションが大切です。
連携できるアプリケーションは何か
導入を検討しているツールと連携できるアプリケーションを調査することは非常に重要です。
自社で利用しているアプリケーションと連携不可能なツールである場合、導入したとしても活用できなかったり、RPAツールと連携させるためのアプリケーションの導入が必要になったりと、かえってコストをかけるだけになってしまう可能性があります。
あらかじめチェックしておくことで、導入後の失敗を防げるでしょう。
サポート体制は整っているか
自社内にITリテラシーの高い社員が少ない、RPAの専門性に不安がある、という場合には、サポート体制が整っているかどうかも重視しましょう。
RPAの運用にはある程度の知識は必要となるため、RPAを扱える人材が社内にいない場合の対応も考えなくてはいけません。
なお、RPAに関するセミナーを社内で実施したり、RPA技術者検定の資格取得を奨励したりして、社員がRPAに関する知識をつけられるような社内のサポート体制も整えていきましょう。
無料トライアル期間があるか
吟味してツールを導入したとしても、実際の使い勝手や操作感は、触ってみてはじめてわかることです。
そのため、RPAツールを本格導入する前には、無料トライアルが可能なツールで検証してみることをおすすめします。
他の部署でも利用できるか
RPAを活用できる定型業務は、多くの部門に存在します。
もし中規模以上の会社で、部門を跨いだり、子会社や関連会社へRPAを横展開したりするようなことが考えられる場合には、複数の分野の業務に対応可能かを事前に確認しておく必要があるでしょう。
こうした場合には、特化型のツールではなく、汎用性が高く、かつ誰もが使いやすいシンプルなツールを選ぶと良いはずです。
自社業界での導入実績はどれくらいあるか
ツールによって、得意分野・不得意分野があります。
そのため、自社の業界でどのくらいの導入実績があるのか調べておくことで、自社の業態に適したRPAツールを導入できる可能性が高まるでしょう。
作動形態はどうなっているのか
作動形態も、ツールによって異なります。
- クラウド型
- サーバー型
- デスクトップ型
たとえば、現在自社内で利用しているアプリケーションの多くがクラウド型であり、クラウドサービスの業務を自動化したい場合にはクラウド型を選びます。
自社の機密性の高い情報を扱う場合には、サーバー型を選ぶことになるでしょう。
まとめ
RPAの導入により、幅広い業務の自動化が実現し、コスト削減や人手不足の解消によって業務効率化や生産性向上が見込めることがわかりました。
RPAを導入して業務を自動化していくためには、IT人材が必要です。
RPAを扱えるIT人材を育成するためには、研修の受講やコンサルティングを検討しましょう。
DX人材育成会社のデジタルグロースアカデミアでは、DXに関する研修や、いつ・どこにいても受講できるe-ラーニングの整備から企業別コンサルティングまで、幅広いサポートを提供しています。
RPAの導入によって事業を成功させるための人材育成をご希望であれば、ぜひデジタルグロースアカデミアにご相談ください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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