DX人材をeラーニングで育成しよう!メリット・デメリットや講座内容
- 公開日:2023年2月14日
優れたIT技術の発展により、デジタル技術を取り入れる必要性が高まり、DXの推進は多くの企業で取り組まれているものになりつつあります。しかし、実際にDXを進めるためにはIT人材の育成・確保が求められるなか、人材不足によって実現できない現状があるのも事実です。
そこで今回は、DX人材を育成・確保するべき理由と、積極的に取り入れたいeラーニングのメリットを紹介します。社内の人材を効率良く育成し、DXを推進するための参考にしてください。
目次
そもそもEラーニングとは?
Eラーニングとは、インターネットを通じて学習する方法であり、学習管理システム(LMS)を中心に構築されます。この方法を利用することで、パソコンやタブレット、スマートフォンを使って学ぶことができ、時間や場所に制約されることなく、自由に学習できます。
企業研修や学校教育など、さまざまな目的で利用されており、「いつでも、どこでも、何度でも」学ぶことができます。この柔軟性の高い学習スタイルは、現代の教育や研修において、効率化と品質向上に大きく貢献しています。
Eラーニングは、約20年前から急速に普及し始め、技術の進歩とスマートデバイスの普及により、ますます進化しています。継続的に改良され、オンライン教育の分野において、AIやビッグデータの活用で革命的な進歩を遂げているのも特徴です。これからも、技術の進歩や社会のニーズに合わせて進化し続け、より良い教育・研修の実現に貢献していくと考えられます。
企業がDX人材を育成・確保すべき理由
企業がDX人材を育成・確保すべき理由は、急速に成長するIT技術の発展によって、ビジネスへのデジタル技術の活用が求められているためです。
市場に加えて顧客ニーズが激しく変化する現代、その流れに合わせて成長し、生き残るためにはDXの推進が必要となります。また、既存の業務の見直しによって、生産性の向上およびレガシーシステムが抱える複雑化・ブラックボックス化のリスクを回避する必要性も一つの理由として挙げられます。
しかし、DXを推進するために必要となる優秀な人材が不足しているという問題があります。
さらに、多くの企業がDXの推進に動き出せば、転職市場でその人材の需要が高まり、徐々に確保が難しくなることは容易に想定できるでしょう。例として、GeeklyMediaの調査では、SE(システムエンジニア)の内定数が増加し、4倍にまで増加していることが公開されました。
こうしたDX推進における人材不足へ対応するためには、採用による人材の確保だけに限らず、社内において育成し、確保する動きも必要となりつつあります。そこで検討したいのが、eラーニングによって社内で育成する方法です。
eラーニングでDXを学ぶメリット
DXの人材育成および確保の方法としてeラーニングを導入し、学ぶメリットを紹介します。
時間・場所の制限がない
eラーニングでDXを学ぶ場合、スマートフォン等のモバイル端末を使えるときであれば、いつどこでも勉強することができます。
時間・場所の制限がないことで、5?10分といった短い時間でも活用でき、多忙を極める部署の社員であっても導入ハードルが低いという利点があります。
何度も見直すことができる
eラーニングによるDXの学習は、何度も繰り返し同じ内容を見直せることで、理解を深め、知識を定着できるのも利点です。また、覚えたはずなのに思い出せないときの復習としても便利です。
DXで使われる用語は、まとめて覚えるのが難しいものも含まれ、さらには専門性が高く記憶に定着させるまでに時間がかかります。
何度も見直せるeラーニングは、研修および講座と比べて基礎を積み上げるという観点から見てもおすすめです。
研修などに参加するより比較的費用が安い
DXをeラーニングで学ぶ方法は、研修や講座に参加する方法と比較して、費用を安く抑えられるのもメリットです。
研修の場合、一般的には講師の費用などが都度かかるため割高になる傾向があり、講座に参加するには移動費が毎回かかるといったデメリットがあります。
一方で、eラーニングはスマホやパソコン等のモバイル端末があれば、一定のデータ通信費用と規定の費用を支払うだけで何度も視聴し学習することができます。
eラーニングでDXを学ぶデメリット
DXの人材育成等にeラーニングが便利な一方で、デメリットも存在します。
他の人とコミュニケーションが取りづらい
eラーニングでDXを学ぶデメリットの一つとして、他の人とコミュニケーションが取りづらいことが挙げられます。基本的に、モバイル端末等を用いて一人で学習していくため、気になることや疑問があってもすぐに誰かに聞くことはできません。
どうしても理解できない部分において、講師に質問できない状況が続けば、何が正解なのかを判断しにくい状態となり、他人の存在がないことでモチベーションの維持も本人次第となります。
eラーニングを用いた学習であっても、社員をグループに分けて学ぶ内容を決め、ディスカッションを定期的に開催するといったマネジメントの工夫をすると良いでしょう。
モチベーションの維持が必要になる
先ほども軽く触れましたが、eラーニングは一人で学習していく場合が多いため、モチベーションの維持が非常に大切です。
個人差があるものの、モチベーションが低い状態では効率が低下し、記憶へ定着しにくいことで育成もなかなか進まなくなる可能性があります。DXが必要だとして、ITに明るくない社員であれば、こうした部分が顕著に出てしまうこともあるでしょう。
他者の存在を感じにくく、モチベーションの維持が効率に影響することを考えて、どのように継続的な学習を促すかといった視点のマネジメントが大切になります。
実技は習得しづらい
eラーニングによるDXの学習は、知識を手軽に得られるメリットがある一方で、技術(スキル)を習得しづらいというデメリットがあります。
プログラミング言語の習得といった、環境構築さえできれば実際に動作できるといったものでは問題ないものの、チーム全体でのマネジメント等は実際に経験しなければ得られないものもあります。
可能な範囲で実技(実践)を想定した学習を取り入れたり、実技に触れられる場を用意したりする工夫でうまくデメリットを補いましょう。
よくある講座内容
DX人材の育成として用いられるeラーニングでよくある講座は、以下が挙げられます。
- DXの基礎
- DX企画/提案の進め方
- ビジネススキルを活用したDXプロジェクト(実行・管理)
- DX推進に向けた経営の意思決定
- DX時代の働き方変革 など
また、DXの知識をつけるために必要となる基本的なIT技術およびその知識に関する講座を用意している場合には、社内の人材を一から育成する際に役立ちます。
なお、DXの推進をより進めるにあたっては、基礎知識・スキルを身につけられる講座だけに限らず、ビッグデータの利活用(分析等)に関する内容まで用意されていると便利です。
Eラーニングプラットフォームを選ぶポイント
- カスタマイズ性があるか
- コンテンツの種類はどうなっているか
- ユーザビリティとUI/UXが優れているか
- ソーシャル・コラボレーション機能があるか
- サポートとトレーニングが充実しているか
- コストは予算以内か
- 評判が良いか
1. カスタマイズ性があるか
カスタマイズ性のあるEラーニングプラットフォームは、企業ごとの独自の要望に応じて機能を調整できる強みを持ちます。この特性は導入期間や要望に応じた機能の実装に影響を及ぼします。
例として、クラウド版の場合、カスタマイズをせずに導入すると数日から数週間で可能ですが、カスタマイズをする場合は数週間から数か月の期間が必要になるでしょう。
カスタマイズによる柔軟性は、企業の独自性を反映させる重要な部分であるため、期間を考慮した慎重な選定が求められます。
2. コンテンツの種類はどうなっているか
Eラーニングにおいて、シミュレーション、演出、講座など、コンテンツの種類の多様性は重要な選定ポイントです。自社の目的に合った教材を配信する能力と直結するものなためです。
講座内容や教材の充実度は当然重要で、自社で教材コンテンツを作る場合のノウハウやツールの提供が考慮されるべきです。例えば、新製品の販売戦略に特化した教材を作るケースでは、独自のシミュレーション教材が必要となります。コンテンツの種類が豊富であれば、企業の教育戦略に柔軟に対応できるでしょう。
3. ユーザビリティとUI/UXが優れているか
操作性も、Eラーニングプラットフォーム選定の重要な部分です。学習者が直感的に学習コンテンツを選択できるか、管理者が手間なく学習者の管理を行えるかなど、ユーザビリティとUI/UXの優れたプラットフォームは効率的な運用を可能にします。
具体的な例として、パネル式で直感的に選択できるものや、分析データが視覚的に理解しやすいデザインなどが挙げられます。実際の操作イメージを確認することで、選定時のリスクを軽減できるでしょう。間接的ではあるものの、ユーザビリティの高さは、学習者のモチベーション向上や効果的な人材育成につながります。
4. ソーシャル・コラボレーション機能があるか
現代のEラーニングプラットフォームにおいて、ソーシャル・コラボレーション機能は学び合う文化を築く重要な要素となっています。この機能があると、学習者同士が情報共有やディスカッションを行いやすく、学びの深化が期待できます。
具体的には、オンライン掲示板やチャット機能を通して質問を共有したり、プロジェクト単位で協働を進めたりすることが可能です。コラボレーションは、個人の成長だけでなくチームの一体感も高める効果があります。
5. サポートとトレーニングが充実しているか
Eラーニングプラットフォームの導入において、サポートとトレーニングの充実はその成功への道筋となります。操作研修や管理者権限の設定、テスト運用などのプロセスは、利用者にとって新しいものであるため、適切なサポートが不可欠です。
例として、リアルタイムのカスタマーサポートや各段階に合わせたトレーニングプログラムの提供などが挙げられます。サポート体制がしっかりしているプラットフォームを選ぶことで、スムーズな導入が実現するでしょう。
6. コストは予算以内か
Eラーニングプラットフォーム選定において、コストと予算のバランスは最も基本的ながら重要な考慮ポイントです。初期費用や1ID毎の課金、月額料金システムなど、金額形態は多岐にわたります。
そのため、自社のニーズや規模に合わせた料金プランを選ぶ必要があります。スモールビジネス向けの月額課金プランや大企業向けのカスタマイズプランなどがあります。予算内で最適なプラットフォームを選ぶことが、長期的な運用の基盤となるでしょう。
7. 評判が良いか
プラットフォームの選定に際して、市場での評判が良いかどうかをチェックすることは重要です。評判に関する情報は、ユーザーレビュー、口コミサイトなどから収集できます。
こうした情報から、実際の利用者が感じた利点や問題点を知ることが大切です。例として、特定のプラットフォームのサポート体制やユーザビリティが高評価であれば、信頼の一因となるでしょう。評判のチェックは、プラットフォーム選定のリスクを低減させ、成功への道を確実なものにするために不可欠です。
EラーニングによるDX人材の育成を成功させるに
Eラーニングは、ただ導入するだけではなく、成功への道筋は下記のような工夫が必要です。
- 人材に合わせたプログラムを選定する
- インタラクティブな学習を取り入れる
- Eラーニングの学習に合わせて実践的な内容を取り入れる
- モチベーションを保たせる
- 評価と改善を行う
- 専門家のガイダンスを取り入れる
人材に合わせたプログラムを選定する
DX人材の育成においてEラーニングの効果的な活用が急増しています。その中でも、学習者のレベルや目的に合ったプログラムの選定が重要なキーとなっています。企業は自社の業務内容や人材のスキルレベルに合わせたカリキュラムを提供可能であるEラーニングサービスを選ぶべきです。
カリキュラムが充実している場合、社員は自分に合ったコースを選び、基礎から実践まで段階的な学習が可能です。具体的には、初級者向けの基礎講座から、エンジニアやデータアナリストなどの専門スキルを深化する上級者向けの講座まで、多岐にわたるプログラムが必要となるでしょう。
学習者一人ひとりが自分のレベルに合ったコースを選ぶことで、最大限の学習効果を引き出し、企業全体としてもDX推進の一翼を担う人材育成が実現します。
インタラクティブな学習を取り入れる
Eラーニングでは、リアルタイムかつオンラインでの対話が可能なインタラクティブな学習の導入が重要です。双方向のやり取りをオンラインで実現することで、対面研修と変わらないクオリティの企業内研修を提供できます。
具体的には、オンライン上でのグループワークや質疑応答、さらには講師との個別指導などを実施します。例えば、ビジネスプロジェクトのシミュレーションを行う際、リアルタイムでのフィードバックが受けられる仕組みがあれば、現場で即座に役立つスキルの習得が可能です。
インタラクティブな学習の取り入れにより、単なる情報の伝達だけでなく、実際の業務に活かせる実践的な知識とスキルの獲得を促進し、さらなるDX人材の育成が可能になるでしょう。
Eラーニングの学習に合わせて実践的な内容を取り入れる
EラーニングでのDX人材育成において、実践的な内容の取り入れが求められます。最新の情報技術に基づく講座内容や、業界の第一線で活躍するプロフェッショナルからの直接の指導など、即戦力となる人材の育成を目指すべきです。
例えば、AIやデータ解析などの最新技術に関する講座を提供するだけでなく、実際の業務で使用されるシステムを模した実践演習なども取り入れるとよいでしょう。さらに、定期的に内容のアップデートを行い、常に最前線の技術を学べる環境を提供することで、企業が求めるDX人材育成の強力なサポートが可能です。
こうした取り組みにより、Eラーニングは単なる教材提供の手段でなく、人材育成の中核としての役割を果たせます。
モチベーションを保たせる
DX人材育成において、学習者のモチベーションの保持は重要です。なぜなら、ITやAIといった高度なスキルの習得は長期間にわたり集中が求められるからです。
学習者のモチベーションを保つために、報酬制度などの評価機構が有効で、ポイントや認定証の提供、コンテンツの紹介や講座向けカリキュラムの設計などがあります。Eラーニングを活用することで、DX人材育成において、学習者個人の学びの進捗に応じた評価や報酬が可能となり、学習意欲を高められるでしょう。
評価と改善を行う
Eラーニングにおいては、学習の進捗状況を自動的に記録し、進捗の確認を容易にするシステムが不可欠です。学習の進捗を自動記録し、学習者が確認できるようにするため、定期的なテストや課題の実施、データ分析による進捗の可視化、実践的なプロジェクトへの適用などが求められます。
企業がEラーニングでDX人材育成を推進する際に、進捗の自動記録や学習内容の評価は、個人のスキル向上だけでなく、組織全体の質の向上にも貢献するでしょう。
専門家のガイダンスを取り入れる
最後に、Eラーニングにおいても、学習中のトラブルや、理解不足の際のサポートが欠かせません。たとえば、オンライン講師の提供、動画教材による解説、エンジニアや業務経験者によるリアルタイムサポートなどが考えられます。
サポート担当者が迅速に対応することで、DX人材の育成におけるEラーニングは、より有効かつ現実的な学習方法となります。社員一人ひとりの理解を深めることが、企業全体のデジタル推進力を高めるためのポイントです。
eラーニング以外でDXを学ぶ方法
DXの人材育成・確保は、eラーニング以外にも以下の方法で学べます。
- 独学
- 研修に参加する・講座を聞く
- DXに関連する業務を経験する
それぞれの特徴と、メリット・デメリットを紹介するので参考にしてください。
独学
DXについてeラーニング以外で学ぶ際に、よくある方法として独学が挙げられます。主に本を用いて、自宅およびスキマ時間を活用した学習に向いています。
DX検定の公式サイトでも挙げられている参考書は、以下の通りです。
- いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略
- 図解コレ一枚でわかる最新ITトレンド新装改訂4版
- イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション)
独学のメリットは、自分のペースで学べること、自らが不足している内容を中心に苦手を克服するといった目的に合わせて学習できることなどが挙げられます。一方で、わからない部分を聞くことができず、自ら解決する必要がある他、モチベーション次第で効率が上下することがデメリットです。
研修に参加する・講座を聞く
DXはeラーニングの他にも、研修に参加したり、講座に行くことでも学べます。
社内研修である必要はなく、他方で開催されている研修および講座に個人で通うことができ、特定の内容に特化して行われているので不足を補う際にも便利です。また、質疑応答をうまく活用できればその場で疑問を解消できます。
デメリットとしては、学習したい内容の研修・講座を見つける必要があること、一定の費用がかかることが挙げられます。また時間・場所が決められていることで、場合によっては参加そのものが難しいことも一つです。
DXに関連する業務を経験する
DXの知識・スキルを学ぶ際には、実際に関連する業務を経験することも一つの方法です。
DXの推進には多種多様な技術・スキルが必要になるため、具体的には以下のような職種が当てはまります。
- プロダクトマネージャー(PM)
- ビジネスデザイナー
- テックリード(アーキテクト)
- データサイエンティスト先端技術エンジニア
- UI/UXデザイナー
- エンジニア(プログラマー)
リーダーの役割を担う人材に加えて、プランをデジタル技術に落とし込むためのテックリードや、実際に動作するシステム等を実現するためのエンジニアおよびデザイナーなどは必要不可欠です。
こうした業務を経験しながら、多方面からDXの知識・スキルを身につけることで、学ぶだけではわからない現場での感覚まで養えるのがメリットです。
なお、まとめていずれも経験できず、さらには一定の基礎知識がなければ経験できないこともあり、時間がかかることが大きなデメリットです。
まとめ
DXの推進が進められる昨今では、それを担うIT人材の需要も同様に高まりを見せて確保が難しくなっているのが実情です。そのため、自社でIT人材の育成および確保のために、eラーニングを活用した学習や、研修・講座の開催を行う方法も検討する必要があるでしょう。
ディジタルグロースアカデミアでは、DXに関する研修や、時間・場所を選ばずに学べるeラーニングのサービスを提供しています。DX人材の育成・確保を検討した際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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