商社がDX推進をすべき理由は?事例や成功させるための戦略などを紹介
更新日:2023年4月4日

商社でもDX推進は強く推奨されています。従来の商社のビジネスモデルは、現代の市場にはマッチしません。
DXを活用してビジネスモデルを変革させなければ、これから先の時代で商社が生き残ることは難しいでしょう。
本記事では、商社がDXをすべき理由やメリット、実際にDX推進にて変わった事例やDXを浸透させるための戦略を解説します。DX推進に取り組みたい、DXを進めるために明確な手順を知りたいという人はぜひご一読ください。
目次
商社もDX推進を行うべき理由

商社でも積極的にDX推進を行うべき理由は、以下の2つです。
- WEB・デジタルを活用したビジネスが拡大しているため
- 製造小売業の拡大などにより需要が減っているため
WEB・デジタルを活用したビジネスが拡大しているため
商社がDX推進に力を入れるべき理由の一つに、WEB・デジタルを活用した直販ビジネスの拡大があげられます。
経済産業省の令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書によれば、ECサイトでの物販ビジネスは年を追うごとに増加しています。
WEBサイトを介した物販ビジネスの多くは、商社を介さずに取引されてしまいます。このまま物販サイトの売り上げが増加すれば、商社の売り上げは低迷するでしょう。
時代の流れに合わせたビジネスモデルが展開できるよう、商社は積極的にDXを推進していくべきです。
製造小売業の拡大などにより需要が減っているため
SPAと呼ばれる製造小売業者の台頭も商社の売り上げを脅かす要因であり、DXを推進すべき大きな理由とされています。製造小売業とは、一つの事業所が製品やサービスの製造・販売を一手に担うビジネスの手法を意味します。
こうした開発プロセスを踏んだ製品・サービスは市場競争力も高く、商社を介した販売経路を利用せずとも商売が成立してしまうため、商社にとっては大きな脅威といえるでしょう。
製造小売業にも対抗しうるビジネスを模索するためにも、商社は積極的にDXを取り入れていく必要があります。
商社でDXを推進するメリット

商社がDX推進することで得られるメリットは、以下の4つです。
- 変化する市場に合ったビジネスを展開できる
- 物流の最適化が見込める
- データによる客観的な意思決定が可能になる
- 課題解決がしやすくなる
変化する市場に合ったビジネスを展開できる
商社がDXを推進すれば、ビジネスモデルを時代や市場に合ったものへと変化させやすくなるといったメリットがあります。
従来、商社のビジネスモデルといえば販路の確保でした。売り手と買い手の間に仲買人として立つことで手数料を得るというやり方です。
しかし、現代は商社を介さずとも物を販売できる仕組みが構築されつつあるため、従来のやり方では利益が作りづらくなっています。こうした変化に対応すべく、商社の付加価値を上げるためにもDX推進による新たなビジネスモデルの構築が欠かせません。
物流の最適化が見込める
商社がDXによってビジネスモデルを変革できれば、物流の最適化が見込めます。商社には過去の取引におけるさまざまな商品やサービス、購買履歴といったビックデータが蓄積されています。
このビックデータを利益率に直結する在庫管理や配送先やルートの選定に活かせば、大きなコスト削減につなげられるでしょう。
データによる客観的な意思決定が可能になる
商社がDX推進に取り組めば、蓄積したデータを活用した客観的な意思決定も可能です。例えば、新しい製品やサービスのリリースタイミングや仕様を考える際は消費者ニーズや市場動向を参考にします。
販売戦略一つをとってみても、データを基にすれば優先順位付けや注力すべきポイントは一目瞭然となるでしょう。
課題解決がしやすくなる
商社のDX推進には課題解決の促進という効果もあります。まず、DXによって商社の業務フローは最適化されます。
ビックデータの活用で、客観的な判断のもとビジネスが進められるでしょう。
この業務フローの改善とビックデータの活用により、商社は論理的に構築されたビジネス戦略を取り入れられます。何か課題が見つかった際も、改善計画が容易に立てられるため問題解決がスムーズでしょう。
商社でDX推進を行った事例

商社で実際に行われたDX事例について解説します。
- 電話の自動対応システムの導入
- 需要予測による過剰在庫の対策
電話の自動対応システムの導入
DXは商社にとって重要な電話応対の効率化にも一役買っています。業務のメインフローに受発注がある商社は、他業種と比較しても電話応対が多いとされています。
DXにより電話の自動対応ができると、以下のような業務効率アップが可能です。
- よくある質問に対しては自動応答で対応できる
- SMSの自動送信により対応する手続きの数を減らせる
- 自動音声で対応できる内容であれば問い合わせに24時間対応できる
- 電話でのやり取りや対応履歴を顧客ごとに残せる
- 営業電話対応も自動化できるため主体性を崩さず業務に取り組める
これらの取り組みは、すべて社員の業務負担の軽減につながります。履歴をデータとして残せることも、今後の販売戦略やビジネスモデルの構築に役立つでしょう。
需要予測による過剰在庫の対策
DX推進は、商社の大きな課題でもあった過剰在庫対策にも大きな効果を発揮します。仕入れと小売業への分配がセットで行われる商社のビジネスモデルでは、過剰在庫が大きな課題でした。
DX推進は過去の取引をデータ化してさまざまな指標として活用できるだけではなく、業務フローの見直しも容易にします。市場動向や消費者ニーズから需要を予測することも可能となるため、過剰在庫というリスクを極限まで減らせるでしょう。
商社のDX推進を成功させるための戦略

商社のDXを成功へと導くには、以下のような段階を踏んだ戦略が必要です。
- 経営トップに理解してもらう
- 課題を洗い出す
- DX人材が不足している場合、外部委託をする
- ITツールを活用する
- ビックデータを活用する
- DX人材の育成をする
経営トップに理解してもらう
商社のDXは経営層から理解を得ることが何よりも重要です。一般的にDX推進は、一部の部署やチームからのコントロール・情報発信によって進められるため、よりスピーディーな取り組みに向けた目標設定は欠かせません。
従来の商社ビジネスモデルに精通した経営トップからの理解を得られれば、DX推進はよりテンポ良くすすみます。
課題を洗い出す
DX推進に取り組むことが決まれば、自社が抱える課題を明確にしましょう。DXを考える際、既存の業務のどのポイントに対してメスを入れるか判断に悩む場合があります。
DX推進はやみくもに取り組むより、過去の業績や市場動向・消費者ニーズを参考にしたほうが的確な内容で取り組めます。利益最大化や問題意識を念頭に置いて、現状の業務フローを見直しましょう。
DX人材が不足している場合、外部委託をする
社内におけるDX人材が十分でない場合、人材を外部から投入することも検討しましょう。
DX人材を社内で育成するには時間とコストがかかってしまうため、DXを手早く進めていくならDX人材の育成と並行して社外のDX人材に推進を委託する必要があります。
ITツールを活用する
商社のDXではITツールを積極的に活用しましょう。幅広い種類の商材を扱う商社では、利益創出において業務の効率化が大きなカギとなります。
現状の業務フローに積極的にAIやIoTといったデジタル技術を取り入れてみましょう。ITツールを利用することで業務に対して余裕が生まれるため、ビジネス戦略の見直しに加えて立案しやすい環境が整います。
ビックデータを活用する
商社でDXを推進するなら、必ずビックデータを活用するようにしましょう。ビックデータは販売戦略や意思決定に活用できるため、業務経験の乏しい若手社員でも仕事を任せられます。
業務を効率よくこなせるため、少数部隊でもDX推進が可能となるでしょう。
DX人材の育成をする
商社には、既存業務の見直しと新しいビジネスモデル構築の2つが必要です。ビックデータの蓄積しやすい環境も整っているため、社内にこうしたデータを扱えるDX人材がいれば後々、大きく役立つでしょう。
外部委託にてDXを進める傍ら、自社でもDX人材を育成すれば、市場競争力を損なわずに将来的なDX推進の地盤が固められます。
まとめ

ECサイトの台頭により個人でも販路の確保が容易となった現代では、従来の商社のビジネスモデルが通用しなくなっています。過去の取引から蓄積されたビックデータが活用されないことは大きな機会損失です。
DX人材を投入し、データを適切に扱いながら新しいビジネスモデルや経営戦略を立案できるよう社内環境を整えましょう。商社のDXは、DX人材の投入による推進と育成を同時進行で進めていく必要があります。
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【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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