DX認定制度のメリットとは?受けられる支援や申請方法について紹介
更新日:2023年4月4日

DX認定制度とは、国が推進するデジタル化に向けた取り組みのことです。認定にはDXにおける一定の評価基準が設けられており、企業はDX認定制度に取り組むことでDX推進を一気に加速させられます。
特に、DXが進んでいると認定された企業に送られるDX銘柄やDX Selectionは、デジタル化によって磨き上げられたビジネスモデルを有することをアピールできる称号です。
制度の概要、認定を受けるメリットとデメリット、申請する方法をまとめました。
社内のDX推進を加速したい、DX認定の申請方法や優遇措置について詳しく知りたいという方はぜひご一読ください。
目次
DX認定制度の施行された理由

DX認定制度が導入された背景には、国が企業のDX推進を後押ししたいという狙いがあります。
DX認定制度は、国がDXに取り組む企業に対して与える称号のことです。具体的にはデジタルガバナンス・コードによって評価され、4段階のレベルによって構成されています。
デジタルガバナンス・コードとは、経営層が情報処理促進法(情報処理の促進に関する法律)に対応して定めた企業の行動指針のことです。経営ビジョンや事業戦略が、DX推進のために必要な社内環境の整備を意識したものになっているかどうかが判断軸となります。
認定企業にはDX認定ロゴマークが付与され、優れたビジネスモデルが認められた企業はDX銘柄やDX Selectionに選ばれます。税金の控除や支援制度などもあるため、あらゆる側面でメリットのある制度といえるでしょう。
DX認定制度の4つのレベル

DX認定制度には、企業のDXに対する取り組みをわかりやすくするための4つのレベルがあります。
- DX-Excellentレベル
- DX-Emergingレベル
- DX-Readyレベル
- DX-Ready以前レベル
DX認定制度には、企業のDX進捗度合いを評価するという側面があります。客観的指標で社内のDX推進が評価されるため、今後のDXに向けた指針も定めやすくなるでしょう。
DX-Excellentレベル
DX-Excellentレベルは、DX推進が実務にもっとも反映されている企業に与えられる称号です。他のレベルがDX推進の準備や期待値が評価軸とされているのに対し、DX-Excellentレベルでは、DXによる業務フローの改善や実績を評価することがポイントです。
優れたビジネスモデルを有する証として付与される“DX銘柄”と“DX Selection”は、このレベルから選ばれます。
DX-Emergingレベル
DX-Emergingレベルは、DXの準備が整っており今後の展望について期待感が持てる企業に与えられる称号です。仕組みを整えて積極的なアクションを起こすと、成果がなくとも評価対象となります。
DX-Excellentと同様、DX-Emergingからも“DX銘柄”と“DX Selection”が選ばれます。
DX-Readyレベル
DX-Readyレベルは、DX推進が進められる体制を整えられた企業に与えられる称号です。
DX認定制度においてもすべての基礎となるレベルで、取得により名刺や自社サイトに使用が許可されている“DX認定”が付与されます。
DX-Ready以前レベル
DX-Ready以前レベルは、DXに向けた準備にまだ取り組めていない企業を意味します。
DX推進指標により、DX推進の方向性を定めていくところから始めなければなりません。
DX認定制度のメリットとは

DX認定制度を導入するメリットは以下の4つです。
- DX推進による企業の成長が見込める
- 企業イメージの向上が期待できる
- 様々な支援を受けることができる
- DX銘柄への応募資格が得られる
DX推進による企業の成長が見込める
企業がDX認定制度に取り組めば、会社がデジタル技術を取り込めるようになり、さらなる成長を見込めるメリットがあります。
どの業種・業界であってもDX推進は急務の課題です。デジタル技術と無縁の会社でも、DX認定制度をきっかけにテクノロジーを導入すればいっきにDXが推進できるでしょう。
企業イメージの向上が期待できる
DX認定制度に取り組めば、企業の世間的イメージも向上します。そもそもDX推進が叫ばれる背景には、2025年の崖のようにデジタル化が進まないために起こりうる経営上のリスク回避があります。
将来的な市場競争力の維持を念頭に置き、DXによる業務改革を行える企業は経営状態も良いと考えられるため、社会的なイメージも良くなるでしょう。
様々な支援を受けることができる
DX認定制度には、税制の優遇措置が受けられるというメリットもあります。
具体的にはDX投資促進税制と呼ばれる措置です。DX推進に必要な要件を満たした企業が利用できる措置で、設備投資に対して3%ないし5%の税額控除か30%の特別控除が適用されます。
他にも 繰越欠損金における控除上限の特例の創設という措置も利用できる場合があるため、DX推進を考えるならこうした支援が受けられないかどうか調べておきましょう。
DX銘柄への応募資格が得られる
DX認定制度に取り組めば、DX銘柄への応募資格が得られます。
DX銘柄とは、DX-ExcellentもしくはDX-Emergingに該当する企業が受けられるレベルのことです。東京証券取引所に上場している企業であり、DX推進における優れた実績があがっていることも応募要件となります。
2022年の実績では33社が選定されました。優れたビジネスモデルを社内外にアピールするため、DXにて体制強化を考えるならぜひ目指したい称号といえるでしょう。
DX認定制度で受けることのできる支援とは?

DX認定制度に認定されることで利用できる支援は、以下の3つです。
- 税額控除、もしくは特別償却
- 金融による支援措置(中小企業対象)
- DX認定制度ロゴマークの使用
税額控除、もしくは特別償却
DX認定制度によって得られる支援の一つに税額控除・特別償却があります。いずれもDX推進に必要な環境構築に取り組んでいる企業が対象です。
適用要件には以下のような項目があります。
- 新規取得したデータと既存データが連携されていること
- クラウド技術が活用されていること
- DX認定制度を受けていること
- DX推進によって製品の製造原価が8.8%以上削減されること
- 売上や生産効率における目標が定まっていること
- 売上高比が投資総額の0.1%以上であること
税額控除については3%ないし5%、特別償却については30%が適用されます。2年間の時限措置のため、申請利用は素早く行うと良いでしょう。
金融による支援措置(中小企業対象)
DX認定制度を利用する中小企業については、金融における支援措置も用意されています。具体的には低利率で融資が受けられる、信用保証枠が拡大されるといった措置です。DX推進のために借り入れる資金について適用されます。
DX認定制度ロゴマークの使用
DX認定制度に認定されれば、DX認定制度のロゴマークも使用可能になります。DX認定制度は国が主導するDX推進キャンペーンであり、DX認定されればデジタル化の進んだ優良企業であることがアピールできるでしょう。
企業のイメージアップ・業務推進にも大きく貢献するため、DX認定制度ロゴマークは取得後も積極的に活用することをおすすめします。
DX認定制度に申請するには?

DX認定制度に申請するには、書類提出の他に6つの基準を満たす必要があります。
- 企業経営の在り方とデジタル技術活用ができる方向性を定める
- 企業経営(体制)とデジタル技術活用(環境整備)の具体策を定める
- DX推進の達成指標を具体的な数値で示す
- DX推進を社内にアナウンスする情報発信方法を整える
- レガシーシステムにおける課題を把握する
- サイバーセキュリティにかかる安全対策を講じる
DX推進はDXによって、企業の経営ビジョンやビジネスモデルがどのような変革を遂げるかを事前に整理しておく必要があります。
段階を追ってどのようにDXを進めるか具体的な方法を定めたのち、達成指標を数字で示せるように目標も定めておきましょう。DX認定制度に申し込む場合においては、詳細な目標の言語化・数値化は必須です。
さらに、DX推進は企業の一組織やチームが主導して進めることも多い現状です。社内外問わず、関連部署に詳細を伝えられるような情報伝達システムについても考えておく必要があります。
また、既存のシステムから新たなシステムに切り替える際の問題点も事前に洗い出し、情報漏洩を防ぐための安全措置をきちんと準備しておきましょう。
基準を満たすよう意識した変革を進めるだけで社内のDXは進むため、これからDX認定制度に取り組む企業はチェック項目として活用してください。
まとめ

DX認定制度は経済産業省主導のもと、DXを推進する企業を国が支援する制度です。
DX認定が受けられた企業は優れたビジネスモデルを有することがアピールできるだけではなく、税制面や制度面で有利な措置を受けられる点に大きなメリットがあります。
特に、DXによる優れた実績を有する企業に与えられるDX銘柄やDX Selectionは、企業の成長性や市場競争力を社内外に存分にアピールできる称号です。
DX人材を育成して会社のDX推進を図り、DX認定制度に申し込めるよう社内体制を整えていきましょう。
ディジタルグロースアカデミアでは、DX人材の育成に取り組んでいます。DX認定を受けるためのDXにも精通しているため、人材育成とDX認定の取得を同時に進められます。
DX推進のゴールとしてDX認定制度を受けたい、社内のDX推進を担うDX人材を育成したいという人はぜひ一度お問い合わせください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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