Columnコラム

データサイエンティストはなくなる?そう言われる理由や将来性を解説

更新日:2023年7月3日

データサイエンティストという職種は、近年大きな注目を集めています。しかしながら、その将来性については意見が分かれています。データサイエンティストは自動化や機械学習の進歩によって不要になるとされる一方で、ますます需要が高まる職種であるとも言われているのが実情です。

この記事では、データサイエンティストがなくなると言われている理由を分析して紹介します。

データサイエンティストがなくなると言われている理由

データサイエンティストという職種は、近年注目されてきたものの、その将来性についてはさまざまな見解があります。まず、データサイエンティストがなくなると言われている理由を以下の4つの観点から分析していきます。

  • 自動化と機械学習が進歩しているため
  • ツールやプラットフォームの普及しているため
  • 高度なスキルが必要になるため
  • 「つらい」と言われているため

自動化と機械学習が進歩しているため

データサイエンティストが行っていた作業が自動化される可能性があるというのが、最もよく聞かれる理由です。データの収集や前処理、分析や可視化などの一連の流れを、機械学習のアルゴリズムやツールを使って自動化できるからです。

たとえば、Google Cloud AutoMLやAmazon SageMakerなどのプラットフォームは、コーディングや専門知識がなくても、簡単に機械学習モデルを作成したり運用したりできます。

このように、データサイエンティストが必要とされる領域が狭まることで、その需要が減少するという見方があります。

ツールやプラットフォームの普及しているため

データサイエンティストの役割が他の職種に分散される可能性があるというのも、ひとつの理由です。

データ分析や機械学習に関するツールやプラットフォームが普及し、それらを使える人材が増えることで、データサイエンティストに依存しなくてもデータ活用ができるからです。

たとえば、TableauやPower BIなどのビジネスインテリジェンス(BI)ツールは、ドラッグアンドドロップでデータを可視化したりダッシュボードを作成したりを簡単に実現できます。また、Microsoft ExcelやGoogle Sheetsなどのシートは、関数やマクロを使ってデータを加工したり分析したりすることが可能です。

このように、データサイエンティスト以外の職種でも、データに関する作業を行えることで、その存在意義が薄れるという見方があることもひとつの要因でしょう。

高度なスキルが必要になるため

データサイエンティストのスキルレベルが上がりすぎて求人に応募できる人材が少なくなる可能性があるというのも、考えられる理由です。これは、データサイエンティストは単にデータを分析するだけではなく、ビジネス課題を解決するためにデータを活用することが求められるからです。

たとえば、データサイエンティストは、データの品質や信頼性の担保や、データの倫理や法律への適合を確認することが必要です。また、データの分析結果をビジネスに落とし込むことや、ステークホルダーに対して分かりやすく説明するというのも求められるでしょう。

このように、データサイエンティストには、データに関する技術的なスキルだけでなく、ビジネスやコミュニケーションに関する高度なスキルが求められることで、そのハードルが高くなるという見方があると考えられます。

「つらい」と言われているため

データサイエンティストの仕事に対するイメージが悪くなる可能性があるというのも、無視できない理由です。多くの時間をデータの前処理やクリーニングに費やしたり、さまざまな課題や障害に直面したりすることが多いためです。

たとえば、データサイエンティストは、欠損値や外れ値などの不正確なデータを修正したり、異なる形式やソースのデータを統合したりする必要があります。

また、データサイエンティストは、機械学習モデルの精度や性能を向上させたり、実際のビジネス環境に適用したりする際に、さまざまな問題に直面する可能性もあるでしょう。

このように、データサイエンティストの仕事は、「つらい」と言われることで、その魅力が低下するという見方もあります。

データサイエンティストはなくなる?将来性について

データサイエンティストはなくならないどころか、ますます重要になる職種です。データの量や種類が増えていく中で、データを分析し、価値を生み出す能力は必須となるからです。

たとえば、ビッグデータやAIの活用によって、さまざまな業界や社会課題に革新的な解決策を提供できる可能性があります。また、DX推進にあたってもデータサイエンティストは必要不可欠な存在です。

昨今では、データサイエンスがIT業界以外でも求められつつあり、日本でも、IT企業だけでなく金融や製造業などさまざまな業界で採用が増えています。

データを使って顧客のニーズや行動を予測し、最適な商品やサービスを提供したり、問題や課題に対して効果的な解決策を提案したりできることは、データサイエンティストだからこその強みです。

このことから、データサイエンティストは技術が発展しても将来性があり、今後も需要が高まると考えられます。

データサイエンティストとして成功するためには?

ここからは、データサイエンティストとして成功するために知っておきたことを、下記にわけてそれぞれ解説します。

  • 持続的な学習とスキルのアップデート
  • 実践的な経験の積み重ね
  • 特定の業界や領域のドメイン知識の習得

持続的な学習とスキルのアップデート

データサイエンティストは、常に新しい知識やスキルを身につける必要があります。膨大な量や種類のデータを効率的に分析し、価値ある洞察や予測を導き出すことが求められるからです。

データサイエンティストとして成功するために知っておきたい、下記の4つを解説します。

  • 深層学習(ディープラーニング)とニューラルネットワーク
  • 自然言語処理(NLP)
  • ビッグデータ処理のための分散処理フレームワーク
  • 時系列データ分析
  • エンドツーエンドのデータパイプライン構築
深層学習(ディープラーニング)とニューラルネットワーク

深層学習とは、人間の脳の仕組みを模したニューラルネットワークというモデルを使って、大量のデータから複雑なパターンを学習する技術です。深層学習を使えば、画像認識や自然言語処理など、従来の機械学習では難しかった問題にも対応できます。

これは、データから自動的に特徴量を抽出できるからです。特徴量とは、データの重要な情報を表す数値や記号のことで、この特徴量は人間が手作業で設計する必要がありました。

しかし、深層学習では、ニューラルネットワークが多層になることで、低レベルから高レベルまでの抽象度の高い特徴量を自動的に生成できます。

たとえば、画像認識では、最初の層ではエッジや色などの基本的な特徴量を抽出し、次の層では形やパーツなどの複合的な特徴量を抽出します。最後の層では、顔や物体などの意味的な特徴量を抽出するといった流れです。

自然言語処理(NLP)

自然言語処理(NLP)とは、人間の言語をコンピュータに理解させる技術のことです。テキストや音声の分析、生成、翻訳など、さまざまな応用があります。データサイエンティストとして自然言語処理のスキルを身につけることは、市場価値の向上や新しいビジネスチャンスの創出につながります。

なぜなら、自然言語処理は、データの量や種類が増えるにつれて、ますます重要な役割を果たすようになっているからです。たとえば、SNSやレビューサイトなどのテキストデータから、ユーザーの感情や嗜好を分析することで、マーケティングやCRMに役立てることができます。また、音声認識や機械翻訳などの技術を使って、言語や国境を越えたコミュニケーションを可能にすることもできます。

自然言語処理のスキルを身につけるためには、基礎的なプログラミング能力や統計学・機械学習の知識が必要です。また、対象となる言語の文法や文化にも精通しておく必要があり、最新の研究動向やツールにも常にアンテナを張っておくことも大切です。

ビッグデータ処理のための分散処理フレームワーク

ビッグデータとは、一般的なコンピュータやソフトウェアでは処理できないほど巨大で複雑なデータのことです。ビッグデータを効率的に処理するには、分散処理フレームワークを使う必要があります。

分散処理フレームワークは、複数のコンピュータを連携させて、データの分割や並列化などの処理を自動的に行えます。ビッグデータの特徴であるボリューム(量)、ベロシティ(速度)、バラエティ(種類)、バリュー(価値)にも対応できるでしょう。

たとえば、データを小さなブロックに分割して、複数のコンピュータに分散して保存したり、データをリアルタイムに処理したりするなどです。このように、分散処理フレームワークは、ビッグデータを活用するための必須の技術といえます。

時系列データ分析

データサイエンティストとして成功するために必要なスキルのひとつが、時系列データ分析です。

時系列データとは、時間の経過に伴って変化するデータのことで、たとえば株価や気温、売上などが該当します。そして、時系列データ分析とはこのようなデータを扱って、過去の傾向や現在の状況、未来の予測などを行う分析手法のことです。

たとえば、株価の変動を予測することで投資戦略を立てたり、気温の変化に応じて商品の需要を見込んだり、売上の増減に影響を与える要因を分析したりできます。

そのため、データサイエンティストとして活躍するには時系列データ分析についての深い知見が求められます。

エンドツーエンドのデータパイプライン構築

エンドツーエンドのデータパイプライン構築とは、データ収集から分析まで一連の流れを自動化することです。構築を行うことで、効率的かつ正確にデータを扱えます。

たとえば、ウェブサイトやアプリからユーザー行動やフィードバックなどのデータを収集し、クラウドやデータベースに保存できれば、定期的に分析やレポートを作成するといった流れを自動化できます。

これにより、手動でデータを処理する手間やミスを減らし、最新のデータに基づいてビジネスにおける意思決定を行えるでしょう。

実践的な経験の積み重ね

実践的な経験の積み重ねは、データサイエンティストとして必要不可欠なスキルです。データ分析は単に理論やツールを知っているだけではできないからです。

実際のビジネスや業界の背景や目的を理解し、適切な問題設定や仮説検証を行い、分析結果をわかりやすく伝えることが求められます。これらの能力は、実際にデータ分析のプロジェクトに参加して、さまざまな課題やフィードバックに直面することでしか身につきません。

実践的な経験の積み重ねは、データサイエンティストとして成功するために必要なスキルを身につけることにつながります。

特定の業界や領域のドメイン知識の習得

特定の業界や領域のドメイン知識の習得も、データサイエンティストとして必要なスキルです。単にデータを扱うだけではなく、データが表す現実の事象や意味を理解することが重要だからです。

分析対象となる業界や領域の背景や傾向や課題を把握し、データを正しく解釈し、有効な提案を行うことが求められます。しかし、特定の業界や領域に関する知識や経験を持たなければ対応できないでしょう。

そのため、特定の業界や領域のドメイン知識の取得は必要不可欠となります。

まとめ

データサイエンティストは、将来的にも需要が高く、やりがいのある職種です。しかし、そのためには、多くのスキルや能力が必要となります。たとえば、プログラミングスキル、統計学、機械学習、データ解析、そしてビジネス知識が必要です。

こうしたスキルを身につけるためには、自分で学ぶ姿勢が大切です。自己学習と継続する意志がある人にとって、データサイエンティストになることは、非常に魅力的なキャリアパスとなります。

ディジタルグロースアカデミアには、データサイエンティストの育成研修があります。ぜひチェックしてみてください。

資料・研修動画ダウンロード申し込みページ

DXに関する様々な資料や動画がダウンロード可能です。

資料DL申し込みはこちら

Downloads資料DL申し込みはこちら

DXに関する様々な資料や動画がダウンロード可能です。

Contactお問い合わせはこちら

デジタル人材育成にお悩みの方は、ぜひ一度無料でご相談ください。
まずはお気軽にどうぞ。