動画を活用したDXとは?メリットやデメリット、事例なども紹介
- 公開日:2022年11月21日
DXとは、AIやビッグデータなどのデジタル技術を用いて、企業の各部署の業務フローの改善を目指したり、新たなビジネスモデルを創出したりするほか、レガシーシステムからの脱却や企業風土を変革していく大きな取り組みのことを指します。
現代では動画を活用したDXも増加しており、業務効率化のみならず、顧客の記憶に残りやすい資料や講義、営業ツールとしてなど様々な側面で活躍しています。
目次
動画を活用したDXとは
動画を活用したDXは、以下のようなシーンで活躍します。
- 採用活動
- 社内教育・マニュアル
- 広告・営業
たとえば動画ネイティブ世代の採用活動を行う際において、動画は就活生に対しての企業説明の資料として使いやすいものです。動画はイメージをダイレクトに届けやすく、企業で働くイメージを想像させることができ、さらにどのような社会貢献を行っているのかなど、細かい情報も伝えやすい媒体といえます。
また、採用活動だけでなく、動画を活用したDXは、とくに顧客の購買行動につなげやすい側面もあります。
従来のテレビCMと同様の広告がYouTubeなどの媒体内で配信されるケースが増加してきたのも、ネット上での動画視聴のニーズが上がってきたことや、文字だけ・言葉だけで伝えるのではなく、音楽や動きを取り入れられる映像を用いるほうが、より顧客の購買意欲を刺激するという特徴があるためともいえるでしょう。
動画を活用したDXのメリット
動画を活用したDXのメリットとしては、主に以下の4つのポイントが挙げられます。
- 時間・場所を選ばない
- 効果的に伝えることができる
- 繰り返し見ることができる
- 共有しやすい
時間・場所を選ばない
動画は、時間や場所を選ばずに情報を常に発信できるのが強みです。
インターネット環境があれば、いつでも・どこでも視聴できる情報媒体で、スマホでインターネットをつなげるのが当たり前となった現代においては、通勤中の電車や昼休憩中でも気軽に手元で動画のチェックができます。
こうしたメリットは、動画による顧客アプローチのオンライン化が進んでいる大きな理由の一つといえるでしょう。
効果的に伝えることができる
動画は、テキスト情報や静止画と比べると記憶に残りやすいのが特徴です。
視覚だけでなく聴覚にも訴えられ、一度に多くの情報を伝えられます。
また、動画を見ることによる情報の定着率はテキストの2倍高いともされており、従来ではテキストや静止画で行われていた情報発信をより豊富な表現で伝えることができます。
繰り返し見ることができる
動画はスマホやタブレットで、好きなものや気になっているものを繰り返し視聴できるという特徴もあります。
一度制作して公開すれば何度でも再生できるため、「気になる内容だからもう一回見たい」「あとでゆっくり見たい」といったようなニーズに答えられます。
対面のコミュニケーションの場合、説明終了後では振り返りにくいことも、動画なら実現可能です。
都合の良いタイミングで気になるところから再生し、見やすいように調整できるのも、動画で情報を伝えることの大きなメリットといえます。
共有しやすい
動画は、一度に多くの人との共有が可能です。
たとえば、15人に対して10分程度の説明を行うのに、15人全員が同じ日程を確保するのが難しかったとします。
この場合、10分間の説明を15人それぞれに行う必要があるため、合計で150分の時間を取る必要があります。
くわえて、前後の準備の時間も加味するとさらに多くの時間を要するでしょう。
しかし、全員に行う説明が同じ場合は動画に撮って共有すれば、10分間の説明が1回で済みます。
動画の編集に時間をかける場合には、直接説明をするほうが効率的なこともありますが、対象人数や期間が増えれば増えるほど、動画の共有は大きなメリットになります。
動画を活用したDXのデメリット
動画を活用したDXのデメリットには、大きく以下の3つがあります。
- 情報伝達が一方通行になってしまう
- 動画作成できる人材の確保が必要
- 手間がかかる
情報伝達が一方通行になってしまう
動画では、情報伝達が一方通行になる点がデメリットとして挙げられます。
たとえば対面であれば疑問があった場合にその場で解決できますが、動画での情報提供のみではインプットで終わってしまいます。
すぐに疑問や不安を解決できない場合には、動画によって次の行動を促すことは難しい可能性があるでしょう。
動画作成できる人材の確保が必要
動画作成できる人材の確保は、動画のDX活用においては必須事項ともいえるでしょう。
動画制作に割く時間や技術が足りなければ、顧客に響く動画を作る前の段階で躓いてしまう可能性があります。
手間がかかる
動画制作は時間と手間がかかります。
そのため、早くにマーケティングの効果を得たい場合には、制作にかける時間が惜しく感じてしまうこともあるでしょう。
動画の長さや求めるクオリティ、こだわるポイントなどによって制作にかかる期間は大きく異なりますが、おおよその工程としては以下の通りです。
- 企画構成・絵コンテ作成
- 撮影
- 撮影した動画の編集作業
- クオリティチェック
- 完成
一度出来上がったものが顧客のニーズに合わない、購買意欲をそそらない、と感じた場合には、修正の工程も増えます。
思い描いた通りのものができあがらない限り、編集に時間と手間がかかってしまうのが動画でDX活用をする場合のデメリットといえるでしょう。
動画DXの事例
DXに成功するにはどのように動画を活用したら良いのか、成功事例をもとにチェックしていきます。
- オンライン営業時の資料を動画にした
- オフラインで行っていたセミナーをオンラインにした
- 社内マニュアルを動画にした
オンライン営業時の資料を動画にした
動画の活用によって、営業活動のデジタル化に成功した事例があります。
たとえばBtoB企業に向けた展示館をオンラインで実施した企業は、展示会に掲載する資料や営業マンが営業で使用する資料に動画を活用しています。
従来であれば紙の資料を展示したり取引先の1人に口頭で伝えていた情報を動画にまとめることで、短時間でより多くの情報を対象者に届けられるようになりました。
オフラインで行っていたセミナーをオンラインにした
もとはオフラインで行われていたセミナーを全面的にオンライン化した例もあります。
オンライン化する際にライブ配信を中心としていた企業でも、撮影・編集が完了した動画を配信する形式に切り替えることで、ライブ配信よりもさらに工数の削減に成功しました。
またオンラインセミナーの申し込みページのファーストビューにも動画を配置することで、コンバージョンレートが改善された例もあります。
こうした取り組みによって、セミナーの集客・参加率を上げることに成功しつつも、顧客提案の準備やサービスの改善に多くの時間を割けるようになります。
社内マニュアルを動画にした
研修やオリエンテーションの講義・説明の内容を動画資料として1度まとめてしまえば、あとは新入社員を会議室に集めて再生するだけ、または在宅で動画を共有することも可能です。
入社の頻度や人数が多い企業の場合は、同じ研修や説明を繰り返し行い時間を費やされるケースがありますが、動画資料を活用することで全員に同じ精度の情報を伝えられます。
動画DXを推進するためには?
動画DXを推進するためには、以下の流れを踏みましょう。
- 目標設定
- ターゲットオーディエンスの特定
- 配信プラットフォームの選定
- 人材や環境の準備
- プロモーションとマーケティング
- データの収集と分析
- 改善と最適化
目標設定
動画DXを始める前に、何を達成したいのか、具体的な目標の設定が必要です。
例えば、以下のような目標が考えられます。
- 新規顧客の獲得
- 既存顧客のエンゲージメント向上
- 社員教育の効率化
- ブランディング強化
- 売上向上
目標が明確でなければ、効果的な動画制作や効果測定ができません。
SMART(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)のフレームワークを用いて、具体的、測定可能、達成可能、関連性のある、期限のある目標を設定しましょう。
ターゲットオーディエンスの特定
次に、動画を誰に見てもらうのか、ターゲットオーディエンスを明確にします。
ターゲットオーディエンスによって、興味関心や視聴するプラットフォームなどが異なるからです。
例えば、以下のターゲットオーディエンスをペルソナとして具体的に設定することで、より効果的な動画制作が可能です。
- 年齢層
- 性別
- 職業
- 興味関心
- 利用しているプラットフォーム
作成したペルソナに即した、動画の内容やスタイルに最適化しましょう。
配信プラットフォームの選定
次に、動画を視聴者に届けるために、適切な配信プラットフォームを選択します。
- YouTube
- Vimeo
- X(旧:witter)
- 自社サイト
など、それぞれのプラットフォームの特徴やターゲットユーザーを理解し、最適なプラットフォームを選びましょう。
人材や環境の準備
動画DXを継続的に推進するためには、動画制作や運用に関する人材育成と体制構築も必要です。
- 企画・制作
- 撮影・編集
- 配信・運用
- 分析
そのほか、必要な役割分担を明確にし、必要なスキルを持つ人材を育成・確保します。
必要に応じて、研修等を実施する方法も効果的です。
プロモーションとマーケティング
動画を制作しても、視聴者に知られなければ意味がありません。
効果的なプロモーション・マーケティングを行い、動画の存在を広く知ってもらう必要があります。
例えば、SNSでの拡散や広告出稿などが例です。
プレスリリースやイベント開催なども含めて、様々な方法で動画をPRしましょう。
データの収集と分析
動画配信後は、視聴データやアンケートなどを分析し、改善点を分析で見つけ出します。
例えば、YouTubeでは以下の指標でデータを確認できます。
- 視聴率
- 視聴時間
- スキップ率
- エンゲージメント率
- コメント
データを分析し、仮定から課題を特定できればPDCAのサイクルを適切に実施できる準備が整います。
改善と最適化
動画DXは、一度の取り組みで完結するものではありません。
視聴者のニーズや市場環境の変化に合わせて、継続的に改善します。
可能であれば指標を決定し、適切に改善の施策とその効果を測定できる環境を整えましょう。
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動画DXを推進する上でのポイント
動画DXを推進する上でのポイントは、以下の5つです。
- 顧客中心のアプローチ
- ストーリーテリング
- マルチチャネル展開
- データ分析と改善
- 定期的な更新と新しいコンテンツの提供
顧客中心のアプローチ
まず、動画DXは顧客中心のアプローチで行いましょう。
動画DXの目的は、顧客のニーズと期待に応えることです。
そのため、顧客の視点から考えて、求めている情報や体験を提供します。
例えば、動画の内容や形式は、顧客の興味や関心に合わせることが望ましいです。
また、動画の長さや音声は、顧客が視聴する環境や状況に応じて調整すると良いでしょう。
ストーリーテリング
次に、動画DXではストーリーテリングの活用も効果的です。
動画は視覚的にもアプローチできるメディアであるため、物語を用いて情報を伝えることができます。
また、ストーリーは視聴者にメッセージを理解しやすく伝達できるのも魅力です。
例えば、動画で自社の製品やサービスの特徴やメリットを紹介する場合、単に列挙するよりも、実際に使用した顧客の体験談や感想を交えるなどが挙げられます。
マルチチャネル展開
さらに、動画DXではマルチチャネルの展開も効果的です。
マルチチャネル展開は、複数のプラットフォームで動画を配信する手法を指します。
昨今、動画を視聴できるプラットフォームが数多くリリースされている現状です。
そのため、代表的なYouTubeだけでなく、FacebookやInstagram、X(旧:Twitter)などでも動画を展開しましょう。
ただし、各チャンネルに合わせて動画の内容や形式を最適化することも忘れてはいけません。
具体的には、YouTubeでは長めの動画でも問題ありませんが、XやTikTokでは短くてインパクトのある動画にするなどです。
データ分析と改善
また、動画DXの推進方法でも触れていますが、データ分析と改善を継続的に行うことも大切です。
動画の視聴データを収集・分析してパフォーマンスを評価し、必要な改善点を特定しましょう。
例えば、データ分析からどの部分が視聴者に興味を持っているか、どのチャネルが視聴者に届いているかなどです。
このように、データ分析と改善を行うことで、動画の効果や問題点が明らかになります。
また、データ分析と改善を行うことで、動画の品質や効率性を向上できます。
定期的な更新と新しいコンテンツの提供
最後に、動画DXでは定期的な更新と、新しいコンテンツの提供を行うこともポイントです。
次々に新しいことが生まれ、急速に消費される現在のビジネス環境で、視聴者は常に新しい情報や体験を求めています。
例えば、トレンドに合わせて動画のテーマやスタイルを変えたり、シリーズ化したりするなどです。
また、視聴者からのフィードバックやリクエストに応えて動画を作ることも視聴者の満足度を高める施策の1つとなります。
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まとめ
DXにおいて動画を活用することで、顧客は好きなタイミングで資料を繰り返し確認できたり、動画を提供する企業側の業務効率を上げられたりと、多くのメリットがあることがわかりました。
DX人材育成会社のデジタルグロースアカデミアでは、DXに関する研修が充実している上に、いつ・どこにいても受講できるe-ラーニングの整備からコンサルティングまで、幅広いサポートを提供しています。
動画DXを進めるために、まずは外部リソースとの連携から検討してみてください。
【監修】
日下 規男
ディジタルグロースアカデミア マーケティング担当 マネージャ
2011年よりKDDIにてIoTサービスを担当。2018年IoTごみ箱の実証実験でMCPCアワードを受賞。
2019年MCPC IoT委員会にて副委員長を拝命したのち、2021年4月ディジタルグロースアカデミア設立とともに出向。
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