デジタルリテラシーの必要性 ― デジタルへの不安解消と可能性拡大:DXコラム
- 公開日:2022年6月30日
「自分はデジタルと無関係だから、デジタルリテラシーは必要ない」と考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし、デジタルリテラシーは全員に必要なものです。そこで、今回は、デジタルリテラシーの必要性について解説します。
目次
デジタルリテラシーとは
デジタルリテラシーとは、デジタル技術を使いこなすために必要な能力や知識のことを指します。
インターネット上にはさまざまな情報が溢れていますが、その中には誤った情報や偽情報も含まれています。デジタルリテラシーがあれば正しい情報を見分けることができ、自分自身の判断力を高められるでしょう。
また、デジタルリテラシーは仕事においても必要不可欠です。現代では、ビジネスの多くがオンラインで行われているため、デジタルリテラシーがあればスムーズに業務をこなすことができ、生産性を高められます。
ITリテラシーとの違い
「ITリテラシー」と「デジタルリテラシー」は、似たような言葉ですが、実は異なる意味を持っています。ITリテラシーは、コンピューターやソフトウェアを使いこなす能力を指し、デジタルリテラシーは、デジタル技術を使って情報を収集し、分析、共有する能力を指します。
用語 | 内容 | 例 |
---|---|---|
デジタルリテラシー | 情報を収集するために必要なスキルや知識 |
|
ITリテラシー | コンピューターやソフトウェアを使いこなすためのスキルや知識 |
|
このように、ITリテラシーとデジタルリテラシーは、異なるスキルや知識を必要とするものです。
デジタルリテラシーの習得が必要とされているのはどのような人か
デジタルリテラシーの整備と社会標準実装を目指して、情報発信や啓発活動を行っているデジタルリテラシー協議会(https://www.dilite.jp/)は、2021年に「デジタルリテラシー・スキルフレームワーク」を作成し、公開しました。
この「デジタルリテラシー・スキルフレームワーク」は、デジタルを推進してより良い社会(Society5.0)をつくるために習得すべきスキルや知識・マインドの全体像を構造的に表したものです。図1をみると、4本の赤い矢印が、デジタルリテラシー(図1の「Di-Lite」が示す部分)から「エンジニア」「経営者」「企画者」「利用者」に向かって伸びています。この赤い矢印が示すとおり、デジタルリテラシーの習得が必要な人材は、エンジニアなどのデジタルを作る人だけでなく、利用者のようなデジタルを使う人も対象としていることが分かります。
「デジタルリテラシーの習得は、“全員”が対象である」といったとき、「自分はエンジニアではないし、ITを生業としているわけではないので関係ない」「自分はデジタルとは無縁(むしろ、機械系は苦手)なので興味がない」というように「自分は“全員”のなかに含まれない」という方がいますが、これは誤った認識です。なぜなら、ここでいう“全員”とは、日常生活で何かしらデジタルの恩恵を受けているすべての利用者を指しているからです。
ここまで、デジタルリテラシー協議会が提供する「デジタルリテラシー・スキルフレームワーク」から、デジタルリテラシーの習得が必要とされているのはどのような人かについてお話ししました。次項では、なぜデジタルリテラシーの習得が必要なのかについて解説します。
POINT!
デジタルリテラシーの習得は、下記の両方に必要です。
- “デジタルを作る人材”=エンジニアなど
- “デジタルを使う人材”=利用者など
デジタルリテラシーの必要性
前項では、デジタルリテラシーの習得が“全員”に必要とされているとお話ししました。本項では、デジタルリテラシーの必要性について解説します。デジタルリテラシーを身に付ける必要性として、ポイントは下記の5点です。
- 必要性①:デジタルに対する不安を軽減するため
- 必要性②:デジタル活用の可能性を拡大するため
- 必要性③:生産性の向上を図るため
- 必要性④:DXを推進するため
- 必要性⑤:企業としての競争力を高めるため
必要性①:デジタルに対する不安を軽減するため
デジタルリテラシーの必要性について、1つ目は、デジタルに対する不安を軽減するためといえます。近年、有名企業が顧客の個人情報を漏洩して大きな問題になったり、戦争やテロによって国や民間企業がサイバー攻撃を受けたりと、各地でさまざまな事件が発生しています。そのような報道があると、「デジタル=怖いもの」という印象を受ける方もいると思います。しかし、デジタルを正しく理解している人、つまり、デジタルリテラシーを身に付けている人は、メディアや世論に不安を煽られることなく問題の本質を冷静に分析し、適切な対処法について考えることができます。デジタルに対する不安は、デジタルを知らないことによって生まれてくるものです。したがって、デジタルリテラシーの必要性の1つは、デジタルへの不安を軽減するためといえるでしょう。
必要性②:デジタル活用の可能性を拡大するため
デジタルリテラシーの必要性について、2つ目は、デジタル活用の可能性を拡大するためです。デジタルの基礎を知ることで、その知識を応用して様々なアイデアが浮かぶようになります。インターネットやスマートフォンが広く一般に普及したことにより、データ活用やAIなど様々なデジタル技術が社会に浸透し、私たちの生活を便利にしています。身近な例として、目的地までの電車の乗り換え方法を検索する、外出している最中でも自分のスマートフォンから家の家電を操作できるといったことが挙げられます。今でも充分に活用できているように思われますが、デジタル技術はすさまじい勢いで日々進歩しているため、それに伴ってデジタルの可能性も日々広がっているはずです。これからは、私たちが、個々人の状況に応じて一人ひとりに合ったデジタルの活用方法を考え、提案できれば、多様性のある便利な社会を作っていくことができるでしょう。私たちがデジタルリテラシーを身に付けることで、デジタル活用の可能性を拡大することにつながるのです。
必要性③:生産性の向上を図るため
デジタルリテラシーの必要性の一つに、各種ツールの有効的な活用法を身につけられることによる生産性の向上も挙げられます。
例えば、デジタルリテラシーを持つことでデジタルツールを使ったタスク管理やコミュニケーションの改善により、作業時間の短縮やミスの減少が期待できます。
また、データ分析やプログラミングなど、従来の業務に比べて高度なスキルを必要とする業務にも対応したり、オンラインツールを使ったコミュニケーションやファイル共有を活用したリモートワークに対応もできるでしょう。
必要性④:DXを推進するため
DXが進む現代においてデジタル技術はあらゆる業界に浸透しているため、デジタルリテラシーの必要性はますます高まっています。
例えば、マーケティングにおいてSNSやWeb広告などのデジタルチャネルを使った施策が重要視されたり、製造業においてIoTやAIを活用したスマートファクトリーが普及したりするなどです。
このように、ビジネスにおいては新たなビジネスモデルの構築や業務プロセスの改善を可能にするためにも、デジタルリテラシーを身につける必要があるでしょう。
必要性⑤:企業としての競争力を高めるため
企業が競争力を高めるためにも、デジタルリテラシーは不可欠な要素です。
デジタルリテラシーを持たない場合、オンラインでの販売やマーケティングに取り組むことができず、競合他社に取り残される可能性があります。一方で、デジタルリテラシーを持つ企業は、オンラインでの販売やマーケティングに取り組むことができ、より多くの顧客にアプローチできるでしょう。
極端な例であるものの、デジタルリテラシーを向上させることは競争力の維持や向上に役立つことで、その必要性を時代の変化とともに高めていると見込まれます。
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デジタルリテラシーを高めるためには?
デジタルリテラシーを高めるためには、以下の方法を実践しましょう。
- デジタルリテラシーを高める目的を明確に示す
- IT関係の資格の取得を推奨する
- 研修やセミナーを設ける
デジタルリテラシーを高める目的を明確に示す
デジタルリテラシーを高めるためには、目的を明確に示して共有することが大切です。なぜ高める必要があるのかを具体的なスキルやツールを例に説明することで、従業員自身がデジタルリテラシーに関心を高められるためです。
自らが利用するスキルやツールに関するデジタルリテラシーであれば、従業員はスキルアップをモチベーションにでき、業務の効率性向上にも繋げられます。
IT関係の資格の取得を推奨する
デジタルリテラシーを高めるためには、IT関係の資格取得も有効です。
IT技術は現代社会において必要不可欠なものとなっており、ITに関する知識を身につけることは、仕事や日常生活において大きなアドバンテージとなるためです。
その他にも特化した内容の資格が多く存在するため、必要なスキルを得ながらデジタルリテラシーを向上する際には役立つでしょう。
研修やセミナーを設ける
デジタルリテラシーの向上では、研修やセミナーを設けることも検討しましょう。デジタル技術が進化し続ける時代においては、常に最新の知識やスキルを身につける必要があります。
具体的には、社内で定期的に研修やセミナーを開催し、オンラインでの受講や動画教材の提供など、柔軟な学習方法を提供するなどが挙げられます。
常に最新の技術やスキルを学べる環境を作ることで、ビジネスにおいてより効率的かつ安全なデジタル活用が可能となるでしょう。
まとめ―デジタルへの漠然とした不安を軽減し、可能性を広げましょう!
このコラムでは、デジタルリテラシーの必要性について解説しました。デジタルリテラシーは、デジタルを作る人と使う人の両方、つまり”全員”が身に付ける必要があります。”全員”がデジタルリテラシーを正しく身に付けることで、デジタルに対して漠然と抱いていた不安が軽減され、これまで気付かなかったデジタルの可能性に光を当てることができるようになります。デジタルの可能性を最大限に広げるためにも、デジタルを作る人だけでなく、みなさんのような、日常的にデジタルを使う人もデジタルリテラシーを身に付けることが必要なのです。
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